8話
◇ アロウを追放したガード家
「ねぇ?ルドルフどうして殺さなかったのよ」
サマンサのルドルフへの抗議が大声でがなり立てる。
渋い顔をするルドルフが嫌そうに低い声で返答をする。
「今の時点で始末してしまえば周りの貴族からの印象が悪くなろうが、わざわざ路銀を多めに渡しているのだ。あいつはそこそこ頭が良いからな、すぐに王都を離れるだろう」
バルクはその話を聞きニヤリとする
「父上、なら王都さえ出れば始末してしまって良いと言うことですね?」
ルドルフもニヤリと笑い
「そういうことだ。始末はバルクお前に任せよう」
バルクは焦ったように
「は? なんで俺なんですか? 父上の方が顔が広いでしょう?」
イライラした様子でルドルフが急ぎ早にバルクに返答をする。
「儂はクロウに追放の件が耳に入らんように画策せねばならん!」
クロウの名前が出たことにより、3人がはぁとため息をつく。
そうなのだ、この3人は既に追放していることから分かるがアロウのことを疎ましく思っているが、クロウは違うのだ、同腹の血の繋がりもあるがアロウを物凄く可愛がっていた。
この件が知られれば確実にこちらにクロウとの関係に不利益になると踏んでいるのだ。
しかもクロウはユニークスキルのおかげもあり既に軍の中隊長にまでになっている。
軍の中では出世頭で権力も持ち始めているのだ。
衝突しようなら軍との間に思わぬ軋轢を生んでしまうのであった。
バルクはため息をさらにつき
「分かりましたよ父上。俺がします。クロウは俺の手には負えませんからね」
バルクは執務室からそう言うと出ていった。
サマンサは本当はアロウを早く始末してその路銀をちょろまかそうとしていたので少しイライラしていた。
「私はお茶会がありますのでこれで失礼しますね」
サマンサはそう言うと執務室から出て行き若い執事を呼んだ。
「アロウの動向を調査して、バルクの補佐をしてちょうだい。それと早く始末する様突っついといて」
そう指示してその場を後にした。
それを1人の兵士が壁の角から覗いてるとも知らずに。
「これもクロウ様に渡す手紙と一緒に渡しておこう。アロウ様には恩がある」
実はアロウが金貨を渡したその夜、兵士さんの息子さんが急に病気に罹ったが薬代が高くて本来であれば手には出来なかったのだが、
あの金貨のおかげで薬を手に入れる事が出来て何とか難を逃れたのであった。
「アロウ様ご無事でありますように」
そんな蠱毒とも言える状況の中執務室では。
ルドルフが頭を抱えていた。
「クロウもそうだが。王より最近新しい魔道具のアイディアが無いか聞かれている方がまずい」
そう、この男ルドルフは前にアロウのアイディアを自分の物にしてしまっていた為、王よりまた何か思い付かないか? と言われ焦っていたのだ。
自業自得と言うしか無いが、そもそもルドルフは魔術を扱うのは上手いがアイディアを生み出すタイプでは無いため地獄を見ている。
実現可能かどうかは置いておいて少しは意見を出せればその場しのぎは出来たのだろう。
人に頼りっぱなしに慣れてしまったこの男にはもう自分で考えるという思考はなくなっているのであった。
面白ければ評価頂けると幸いです。




