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ビリでインキャが嫌だったから国公立大学に合格しようとしただけ
「勇希、お前は何でこの大学に入ろうと思ったの? 英語が話せるようになりたかったから? 留学したい、とか」
電車の席がちょうど2人分空いたから、2人で座って話した。
「いや、えーっと、共テで……」
「あー……まあ俺もそんな感じかな」
「空蘭もそんな感じなんや」
「うん」
空蘭の方を見ると斜め上を見ている。広告を見ているような、ぼーっと上を眺めているような。
「本当は、高校俺インキャでさ、だから、国公立に入れば陽キャになれるかなみたいな。共テ見たら外国語系なら国公立行けそうやったから……」
俺がそう言うと空はカッカッカと口を押さえながら笑った。
「いや〜、お前らしいわ。うん。俺も、インキャやったし。ずっと。てか、普通に考えて、昔たくさん暴力振るわれてたような俺たちが、人をいじったりして笑いとったりする陽キャになんてなれるわけねえんだよ、そんなの辛いから」
「……そう、それはそうなんだよ。もう、自分も傷つきたくないし、誰も傷つけたくない」
「でも俺たちは、それでいい気がするんだよ。そっちの方がいいよ」
「はは、それはそうやね」




