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龍泉寺の尼僧

ハアハア言いながら息を切らして、ようやくお寺についた。まず、手を合わせてお参りした後、寺務所に向かった。


「すみません。誰かいますか~?。」

「はいはい。参拝者かな?御朱印ですか?お守りか何かですか?」

「アッいえ…。その。ちょっと伺いたいことがあって。」

「はて?まあまあ。それでは、こちらにお上がりなさい。」


寺務所の尼僧様は、そう言って客間に案内してお茶を出してくれた。


「はああ~生き返る。おいしい、お茶ありがとうございます。」

「それは、良かった。この寺務所を訪ねる方は、めったにいませんからね。なんのご用ですか?」

「この本なんです。」

「ああ。由利姫様の日誌ですね。」

「ご存じ

なんですか?」

「ええ。ええ。知っていますとも。」


尼僧は、そういうと奥の間に下がってから、古い本を持ってやってきた。


「これが原本ですよ。」

「え?原本?」

「はい。この寺の古くからの言付かりものです。いつか…。これについて聞いてくるものあらばこれを見せて答えなさいと…。ずっと、引継ぎされてきました。」

「だから…。すんなりと答えてくれたんですね。」


圭太は驚きながらも尼僧に言った。


「なんとなくですよ。それに狐さんも連れていらっしゃる…参拝者さんなんていませんからね。」

「あら~気づかれちゃったわ。コン。」


狐仙女さんは、尼僧の前に姿を見せてにっこり笑った。


「見えますからね…。これでも。ふふふ。」


柔らかにほほ笑む尼僧に狐仙女さんもご機嫌で微笑み返した。


「で。蛇ちゃんもここにいるんでしょ?尼僧様。」

「いいえ。祠に行くとだけ言って出ていかれました。」

「蛇ちゃん、子供連れてきた?」

「はい。ご一緒でしたよ。」

「祠ってどこですか?私たち、蛇仙女さんにも会いたいんです。」


尼僧は、微笑んですぐに、道案内をかって出てくれた。


「この庭の奥に小道が見えますね。その小道を10分ほど歩くと展望台のような開けた場所に出ます。そこに祠が在ります。この寺の者以外行くものはいませんから。」


尼僧の案内で小道を行くと本当に急に広がった場所が出てきた。すると、どこからともなく何とも言えない香りが漂ってくる。


「ああっこの香り、箱の!!」

「うん。」

「コン。蛇ちゃん?どこ?」


狐仙女さんの声にこたえるように突然、ぶわ~っと風が急に吹き、香りが急に消え、蛇仙女さんが現れた。


「狐ちゃん。お久ぶりね…。こんなとこまで来るなんて。ちょっとした、いたずらのつもりだったんだけどね~。ふふふ。」


蛇仙女さんは、鈴がなるような美しい声の持ち主で、狐仙女さんとはまた、違った透き通るような綺麗な仙女さんだった。


「いたずら?いたずらで出てきて…。人を巻き込んだの?」

「そうね。最初は、この子を外に連れて行って見たくなったの。康栄さんにも合わせたかったの。そしたらね…。人って儚いね。もういなかったわ。由利ちゃんも…。もう、梅って呼んでもらえなかった。」

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