魔道大会 ③
その会場は熱気に包まれ、観客は狂ったように試合を見ては騒いでいた。
「す、凄い……まるで何をしているのか分からない程だ!!」
自分の出番を待つ間に観客席から試合を眺める。出場者達はいずれも名のある者ばかりで、私は興奮して手に汗を握っていた。
「じいや! 私はこの中で戦えるのだぞ!? 例え負けても誉れだ! 悔いは無いだろう!! 見よ! あの負けた老魔法使いの清々しい顔を!!」
「うむ、左様でございますな。どれ、何かお飲み物を買ってまいりましょうか?」
「いや、私が行こう。ちょっと緊張してきたから気晴らしにもなる」
「そうですか。ではお気を付けて……」
私は高鳴る鼓動を押さえ込む様にお手洗いへ行き手を洗った。そして売り子から飲み物を二つ買い、一つをじいやに差し出した。
「はい」
「ありがとうございます」
興奮でカラカラに渇いた喉へ瑞々しい果実のエキスが注がれてゆく。
「そろそろか…………」
「お気を付けて。ココから応援しております」
ムキムキの髭男爵と老婆が熾烈な魔法合戦を繰り広げる最中、私は控え室で迫り来る出番を待った。
「さて……私の魔法が何処まで通用するか…………」
私は掌で魔法陣を一つ作り出した。
(……?)
しかし魔法陣は意に反して途切れ途切れに薄く千切れ、すぐに消えて無くなってしまった。
「―――続きまして特別推薦枠!! グレイト魔道学校卒業生ナターシャ!!!!」
「―――で、出番か!?」
私は名を呼ばれあたふたしながら扉を開けた。とりあえずやれることをやるだけだ……頑張ろう!!
先程まで居た観客席からの歓声を受け、会場の真ん中へと辿り着いた私の緊張は最高潮へと達した! 心拍は常にMAX。血流の流れを自分で把握出来るほどに心臓がバクバクと脈打っている。
「そして対戦相手は…………水の魔術師グレイトダーンの末裔であるフルダーン!!!!」
「!?」
…………私は扉から現れたその姿に緊張を超えた何かを感じた。
「な、何故お前が……!?」
「偶然俺も出られる事になってね。いやいや……まさか対戦相手がナターシャだったとは……偶然にも程があるなぁ?」
嫌そうな顔をしつつ戦闘の構えを取るフルダーン。私の思考は白黒入り乱れ一つの結論へと辿り着く。
「ま、まさか……貴様仕組ん「おいおい何を言う。抽選は公平に委員会が行ったんだぞ? 妙な言いがかりは止めてくれよな」…………」
食い気味に言葉を遮るフルダーン。顔では否定しつつ態度は裏腹だ。証拠は無いが奴が仕組んだと見て間違い無いだろう。
(……負けなければ良い…………そうだなじいや)
私はじいやが居る観客席の方を見た。顔は見えないがきっと気付いてくれているだろう。
「全て出し切れば悔いは……無い!!」
「そうそう! その顔が見たかったんだよ俺は!!!!」
私は覚悟を決めて彼と対峙した!




