君と殺し合う運動会……ですわ! ②
辺りを見渡すと、あれだけ居た生徒達は半分以下へと減っていた。辺りには動かなくなった生徒達がゴロゴロと転がっている。
「死屍累々……ね」
「あまりに酷い死体には自主規制魔法が入りますのでご安心を……」
「配慮する点はそこじゃない気がするわ」
―――ガンッ!
一際激しい音に振り向くと、近くでエリカと盤古蘭先輩が激しく火花を散らしていた。
「綺麗は花を摘み取るのは一瞬で儚い……だがそれが快感となる」
「相も変わらず憎たらしい先輩で……!!」
木刀で地面から生えた蘭の花を切り先輩に襲い掛かろうとするも、蘭の花から飛び出す弾丸に当たり地面に倒れ込むエリカ。
「エリカ……!!」
慌てて駆け寄るもエリカの脇腹からは止め処なく血が流れている。
「盾突く後輩は容赦しない主義でな……私のモノになれば可愛がってやるものを……」
「ゴメン、ルルルゥちゃん……先に逝くね」
そのままエリカは力尽き動かなくなった。
「髭面の後輩は……初めて見る。確か新入生だったかな?」
そう言えばじいやが記憶をいじって覚えていないんだっけ? ま、私は覚えてますけど……。
「じいや、速攻で終わらせますわよ……」
「かしこ♪」
ヒゲをピクピクさせてウキウキなじいや。私が先輩に指を指すと炎を一発お見舞いする!
―――ゴォ!
「おっと! 君も私に盾突く気か……良かろう。その花摘み取ってやる!!」
―――ボコボコボコ
地面から無数の白い蘭の花が咲き始めた!!
「踊れリリウム―――」
「じいや焼き払いなさい!!」
「かしこ~♪」
―――ゴゴゴォ!!
私の周りを炎の渦が取り囲み白い蘭の花を片っ端から焼いていく。
「くっ……!! 私の花たちが……!!」
「先輩は『木属性』の魔法使いみたいですね。私の炎とやりあうのは不利かと……」
「頑張れ蘭先輩ーーーー!!」
「先輩負けないでーー!!」
気が付けば周りには先輩の取り巻きが多数集まっており、アウェー感が漂い始めている。
(私……悪役みたい?)
蘭先輩は腰に手を当て手で銃の形を作った。人差し指が蘭の花へと変わり、その花は一際美しく禍々しいオーラを放っている。
「上級クラスを侮らないで頂きたい。他の属性も使い熟せてこその上級さ!!」
―――ドゥ!
先輩の人差し指の蘭の花から鈍い音と共に何かが射出された!
「じいや!?」
「はい!」
―――カンッ!!
咄嗟に目の前に分厚い氷の壁を作り出したじいや。その氷の壁には先輩が放った弾丸が突き刺さっていた…………。
「君も色々と多芸な様だな……」
「多分先輩よりは出来ると思いますよ?」
「先輩やっちゃってー!」
「殺してー!!」
「そろそろ可愛い子達がお待ちかねだ……本気で行くぞ!!」
先輩の指が全て蘭の花へと変わっていく―――!!
「じいや!!」
「かしこまりました」
―――キュラキュラキュラ…………プチ
「うぎゃぁ……」
目の前を通過する一台の戦車。そして潰された蘭先輩。
「30分になったわ~。ルルルゥちゃん! リベンジリベンジ~♪」
戦車から顔を出すノノ先生。やりたい放題とは正にこの事だろう。戦車が退いた後には、自主規制魔法で見えなくなった蘭先輩が居た…………




