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え、そ、そんなに怯えなくても…

書き方が、途中から違うかもしれません。

まずは、動物病院に連れてかれました。因みに、永江さんの車です。助手席に乗せて貰えましたが、席の下にバスタオルを敷いてもらい其処に座ってレッツゴーです。

着いて直ぐに、鼻に感じた日常では臭わないあの独特の病院の臭いを私の鼻は拾い上げた。むう、なんか緊張する臭いだな…。

永江さんの隣にピッタリくっ付いて、と言っても今日はスーツなので毛がくっ付く可能性を考えて数センチは離れてるけどね。永江さんの隣に張り付いて、扉を潜った。ムワッと広がる臭いに噎せないように気をつけながら、カウンターに向かう永江さんに寄り添う。入って直ぐにあるカウンターに数人の医療者の人と、待つ為に置かれた椅子にはまばらに座っていた人が一斉に此方を向いて驚く。

まあ、私の体が大きいからなんですけどね。でも、此処まで反応するとは、もしかして私って予想以上にデカいのか?あれ、もしかして、そうかも。カウンターに着くと、永江さんがワクチン接種を頼んだが、新規だったので書類を書く羽目になったらしい。バインダーを持って、カウンターから離れて行く。ついて行くと、椅子というかソファーに座り書類を書き始めた。私はする事も無いので、足元に張り付いておすわりをした。永江さんは、バインダーから視線を上げて私を見ると良い子だと囁いて頭を撫でてくれた。なんか、嬉しかった。うへへと、顔がニヤけそうになるのを引き締めてシャキンと背筋を伸ばして永江さんを待つ。

ふ、とまた顔を上げた永江さんが困った様に眉を寄せて私を見た。なんだか、深刻そうでは無いものの心底困ったと言う顔をしているので私をクゥン?と鳴いてしまった。はっとしたが永江さんは余り気にせず、私の頭を撫ぜた。


「名前、何にしようか…。」


あ、そういうば、永江さんから名前付けられてなかったなぁ。どんな名前付けてくれるんだろう。素敵な名前が良いなあ。ポチとかは、ヤダなって永江さんならそんなセンスの無い名前は無いかー。


「ポチで良いかなぁ。」

「……クゥン、クゥン。」


まさかだったー!この人、センスの欠片もねぇー!!やめて、嘘絶対ヤダよそんな名前は!ブンブンと頭を振ると、永江さんは嫌なのかと言うので、わふっと鳴いて自分の意思を告げた。うーん、と唸りながら永江さんはまた頭を捻り出したが私は、めっちゃ心配だ。

腕を組んで小さく唸る永江さんは、見ている分にはとても絵になるが見惚れて居る場合ではない。これから、一生そう呼ばれるだろう名前を決めているのだから!お願い、素敵な名前よ!永江さんの頭に降りて来て!!


「……なら、マックスとか?」

「クゥーン…」


まだマシか、うーん、だけど私女の子だよ?マックスって男の子の名前じゃないかなぁ……。私の返事に気がない事が分かったのか、よく知らないが永江さんはまた唸り出した。

と、その時永江さんの名前が奥の部屋から呼ばれる。


『ーー永江さん、永江冬也さん。診察室まで起こし下さい』


私は、よっこいしょっと腰を上げて永江さんを見やれば、未だ眉を寄せながら名前を考えている。

これは、明らかに放送聞いてないよなぁ。おーい、永江さーん?行かないと、お医者さんが待ってますよ。喋れないので、集中を解く為に膝に顎を乗せて顔を近づけてみる。永江さんは、直ぐに目を見張って少し仰け反った。まあ、自分の顔が怖いのは分かるけど、そこまで驚かなくても……。

少し、少しだけ悲しくなったが、其れよりも早く診察室に行かないとね。私は、診察室とプレートが扉の上に貼ってある部屋に向かって永江さんの持つリードを引くと、永江さんはどうしたんだ?と言う顔をする。放送があったんだよ、なんて言えない私は仕方なくワフ!と鳴いて診察室と永江さんを交互に見る。そんな中、もう一度放送が入った。


『ーー永江さん、永江冬也さん、診察室まで起こし下さい』


永江さんは、困ったようにバインダーを持ちながらカウンターを見る。確かに、まだ書類を書き終えてないのになんで放送が入るんだろう?同じ苗字の違う人が居たのかなぁ?


「あ、バインダーを持って其の儘診察室までどうぞ。」


カウンター越しに、女性の方が教えてくれる。そんなに、適当で良いのか?私と同じ事を考えていたのか、永江さんの顔を不審そうに女性を見ていたが気を取り直して、リードを引いて私を促す。

ういっす、永江さんが言うのなら着いて行きます!スーツからまた数センチ離れた隣をピッタリくっ付いて診察室の部屋に入った。

鼻から入る独特の匂いが、一段と酷くなった。鼻の穴にティッシュ突っ込みたいわー、とおかしな事を考えて居たがお医者さんと看護師さんは、私の大きさに驚いていたらしいく無言で私を凝視していて無言が続いていたが、永江さんは痺れを切らして問う。


「すいません、どうかされましたか。」

「あぁ、すいません!余り見ない大きさだったもので。ビックリしてしまいました。」


お医者さんらしき男性は、ハッとして私から視線を逸らすと永江さんに視線を向けて話し出す。やっぱり私の体、大きんだぁ。うーん、周りから怯えられたらどうしよう……。子供とか、すでに一回泣かれたけどさぁ、外に出かける度に泣かれたりしたら、どーしよー。はぁ……、困ったなぁ。


「今日は、どうなさったんですか?」

「……私は犬を飼うのは始めてなんです。先程、保健所から引き取ったんですが、まずはワクチンを打って下さいと言われたので此処に来ました。」


その言葉に、お医者さんと看護師さんは、揃ってフリーズしてしまったのだった。









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