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涼宮鷹尾の歴史改変日誌~令和のアラサー女子、明治の時代に転生して無双する。電子の技術は最強です!~  作者: 島風


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69トラック島奇襲1(第一艦隊壊滅)

一九四一年、十二月八日。トラック諸島に集結していた日本海軍主力艦艇は、来たる対米開戦に備え、激しい訓練に明け暮れていた。


南雲機動部隊は二手に分かれ、島嶼防衛とうしょぼうえいを想定した大規模な実戦演習をトラック島沖で展開中。しかし、その静寂は一通の電信によって切り裂かれた。


「・・・どういうことだ?」


旗艦赤城の艦橋に、困惑と緊張が走る。


「偵察機より入電。空母三隻からなる機動部隊を発見した、とのことです」


「三隻だと? 二隻(二航戦)の間違いではないのか?」


南雲長官が海図を睨みつける。演習相手である山口多聞少将率いる第二航空戦隊は、空母二隻のはず。


「偵察員の誤認では? あるいは付近を航行中の大隅級強襲揚陸艦を見間違えたか?」


「・・・いえ、無線封止中につき確認は困難ですが、第二報が入りました!」


加賀から飛び立った偵察型九七式艦攻からの絶叫。


『敵艦隊は空母三隻! さらに空母二隻を含む別動隊もあり! 各群に駆逐艦十隻以上を随伴!』


「情報の真偽を疑うより、まずは敵空母群が接近していると断定して動くべきです」


航空参謀源田実の進言に、参謀長草鹿龍之介が頷き、南雲もついに決断のあぎを引いた。


「全艦隊、攻撃準備! 無線封止解除。二航戦、山口君へ連絡、敵空母を攻撃せよ!」


艦内は瞬時に戦場へと変貌した。デジタルスクランブル暗号化通信が飛龍へと飛ぶが、歴史の悪意はさらに先を行っていた。


「対空監視員より報告! 十二時の方向、敵味方不明機多数!」


「多数とは何機だ! 正確に言え!」


「・・・報告を待つまでもありません。敵機、数百です!」


「一体どこの国だ、これほどの艦載機を・・・」


「言うまでもない。この数、米海軍(USネイビー)以外にありえん!」


電探の火が入り、赤城、加賀から四機の零戦が、プロペラ音を響かせながらスクランブル発進。護衛の金剛、榛名が咆哮を上げ、空母を守る輪形陣を組み始める。


だが、空を覆ったのは第17任務部隊 (ヨークタウン)、第16任務部隊(エンタープライズ、ホーネット)の航空攻撃隊、総数一七〇機の飽和攻撃。


「撃て! 撃ちまくれ!」


スバル製の電探連動12.7cm速射砲と、20mm3銃身CIWSが、無慈悲な弾幕で第一陣、第二陣を粉砕。空に黒い花をいくつも咲かせたが、あまりの数に、ついに弾薬が尽きる。


「右舷対空砲火、給弾作業に入ります!」


「左舷、CIWSともに残弾なし!」


「敵、急降下――ッ!!」


加賀の電探員の絶叫。給弾は間に合わない。加賀の飛行甲板後部に一発、続いて三発の五百キロ爆弾が着弾。甲板がめくれ上がり、紅蓮の炎が天を衝いた。


「加賀、炎上!」


「・・・な、なんと!」


その直後、赤城の上空にも死の塊が逆落としにやって来た。急降下爆撃機ドーントレス。


「爆弾が丸い! 直撃コースだ!」


「総員、衝撃に備えッ!」


凄まじい衝撃。爆弾は飛行甲板を貫き、格納庫内で炸裂した。しかし、この世界線の日本空母は少し違う。一層式の開放型格納庫が爆風を舷側へと逃がし、さらに揚弾前だったことが幸いし、致命的な誘爆は免れた。


「・・・直掩隊が間に合いました! 金剛、榛名、防空体制完了!」


「利根、筑摩も展開!」


遅ればせながら展開した護衛艦隊の猛烈な対空砲火が、残るアメリカ軍機を嵐のように掃討。十分足らずで空の脅威は消滅した。


赤城は迅速なダメージコントロールで鎮火に成功。しかし、加賀とともに攻撃能力は失われた。


「加賀より入電。航行に支障なし。・・・なれど、攻撃能力を喪失せり」


「本艦も加賀も、今はただの巨大な的にすぎんな」


南雲は苦渋を滲ませながらも、冷静に下令した。


「赤城、加賀、および護衛部隊は戦場を離脱。対空警戒を厳にせよ」


一発の赤城、三発の加賀。傷ついた第一航空戦隊が退却を開始する。しかし。地獄は、ここからもう一つの戦場にもあった。




同時刻。トラック島の基地司令部は、阿鼻叫喚の渦中にあった。


「やられました! 一航艦の演習隊だと思われていた機影・・・そのすべてがアメリカ軍機です!」


「そんなことは言われずとも、この惨状を見ればわかるッ!」


司令官の怒声が響く中、窓の外では地上で翼を休めていた航空隊が、飛び立つ暇もなく爆炎に包まれていた。約百機の奇襲――その結果は文字通り、牙を抜かれた鷲のように無残にいともたやすく地上で破壊された。


しかし、悪夢は始まったばかりだった。


「見張り員より緊急入電! 北北西より敵機、その数・・・およそ、二百!」


一瞬の静寂。そのあまりの数に、司令部の誰もが耳を疑った。


「二百だと・・・? 奴ら、一体何隻の空母を動員したんだ!?」


「そんなことより、奴らの狙いは係留されている戦艦群です! 逃げ場はありません!」


「至急、第一艦隊、第二艦隊に電! 可能な限りの対空攻撃を行わせろ! 鉄の城を沈ませるな!」


しかし、不意打ちを食らった動けない巨艦たちは、死肉をついばむハゲワシのごとき米軍機の絶好の標的に成り果てた。


戦艦陸奥は、三番砲塔と四番砲塔の間で凄まじい大爆発を起こした。爆風が天を突き、巨大な三番砲塔が玩具おもちゃのように吹き飛ぶ。扶桑、山城の姉妹艦は、数えきれないほどの爆弾と魚雷を浴び、断末魔の爆発とともにその流麗な姿を海底へ横たえた。


比叡、霧島もまた、逃れる術なく炎の海に沈んでいった。


地形の妙で辛うじて致命傷を避けた伊勢もまた、満身創痍。隣の日向は三番砲塔に被弾し、砲塔旋回機能が完全に沈黙した。幸運艦長門だけは損傷こそ軽微だったが、隣で爆発し、残骸と化した陸奥に航路を塞がれ、出航は絶望的な状況にあった。


「・・・な、なんてことだ・・・」


変わり果てた連合艦隊主力の姿を前に、山本五十六連合艦隊司令長官は、絞り出すように呟いた。


戦わずして、主力戦艦五隻を喪失。ここは環礁のただ中。ドックもないこの島で、着底した巨艦を修理する術などない。辛うじて戦力として残ったのは長門、伊勢、日向の三隻のみ。それも、次に来るであろう第二波、第三波の猛攻を凌ぎ切れたらの話。


絶望が重くのしかかる中、山本の視線の先に、一筋の希望が走った。一縷の望みにも似た彼の想いに呼応するかのように、一通の電が司令部を震わせた。


『第二航空戦隊より入電――「我、飛龍、蒼龍をもって敵機動部隊を殲滅せん」。・・・繰り返します。山口多聞少将、全速にて反撃に移れり!』

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