表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
商人の男と貴族の女ーー婚約破棄から始まる成り上がり――  作者: 葉月奈津・男
【戦場にて】編~麦を植える前には土を耕すもの~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
121/246

第1話 麦を植える前には土を耕すもの ①

1/5

 


 とある夜。

 帝国の一角でのこと。


 兵を未だ動かしていなかった、ある日のことである。

 二人の人物が差し向かいで座っていた。


「意外にいけるな」

 のんびりとした様子で、酒精を含んだ息を吐き出し豪奢な金髪男が感想を述べた。

 傾けているグラスでは、血のように赤い液体——ワイン——が揺れている。


「だが、わたしはやはり麦の香りのするやつを煽るほうがいい。酒を飲んでいるという気持ちにさせてくれるからな」

「左様でございますか」

 赤みの強い茶髪男が、曖昧な口調で応じた。


 金髪のほうが年若く、茶髪は中年である。

 しかし、身分という点では金髪が上で茶髪は下だ。

 返答には気を遣わねばならなかった。


 なにより、麦酒がワインより好きだなどと言うありもしないことを聞かされては慎重にならざるを得ない。

 何かしら、言外のことを伝えられているに違いないのだから。


 一体、何を言おうとしているのか?

 思考力をフル稼働して謎解きをしなくてはならない。


「お前は、王国出身だったな。取引もするのだったか?」

「伝手がございますので、取引はございます」

「麦を買ってまいれ」

「麦をでございますか?」

 麦酒が好みというのは麦を買ってこいとの暗喩だった?

 なぜ、そんな遠回しに?

 麦が欲しいのなら、そういえばいいだけだ。

 謎かけなどと言うまどろっこしい表現をする意味が解らない。


「ありったけな」

「ありったけ・・・ッ?!」

 ようやく意味するところを知り、茶髪は青褪めた。

 帝国内での動きについての情報は得ている。


 この時期に、『王国内』で麦を『ありったけ』買うことの意味。

 茶髪は父祖の地を待ち受けるだろう未来を慮った。


 決して、明るくはないだろうと。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ