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聖女召喚 アルベルト視点

魔法関連設定が他の方の解釈と違います。

独自の解釈なので、宜しくお願いします。


 私はアルベルト·フォン·シュナウザー。

 代々外務大臣を世襲している筆頭侯爵家の嫡男でヴィーことヴィクトーリアの2才上の兄だ。


 王太子になるリヴァルドの側近として昨年から登城するようになり明日から王立ヴィルム魔法学園の3年生、生徒会副会長兼任もしているので忙しい毎日を過ごす事になる。


 聖女召喚の儀。

 満月の日の陽が沈む頃…所謂『逢魔が時』(おうまがとき)に行われる。

 異世界で魔物や妖怪が現れる時間帯と文献に書かれていて、本来なら王族のみ閲覧出来る書物なのだが聖女の後見人の家族なので今回特別にと読ませて貰い、あらゆるシミュレーションしていたが目の前に起きている事実は想定を遥かに超えたものだった。


 この世界は魔法と魔術があり、それ以外を秘術と分類されている。

 魔法はイメージし呪文を唱え(熟練すると無詠唱でも発動する)大きく火、風、水、氷、雷、土と聖、闇の系列になるのだが、メインが1つだけではない。

 例えば私はメインが氷系なのだが、氷を作るには水と風も操る事が必要で火も風が必要。

 雷は水と風と氷、水も風、土も風が必要で残りの風系のみ単一。

 聖と闇は特殊で後天的に得ると言われている系列だ。

 その他に魔力が少ない者でも使える生活魔法がある。

 代表的なのが部屋に明かりをつけたり、クリーン魔法は一瞬で身体と服を清潔にしたりと冒険者達に重宝されている。


 魔術は魔法陣を展開させる事で発動、秘術はそれ以外の全てだが主に特殊で高度な魔法陣を展開させる(大掛かりな魔法陣は複数人の魔力が必要)と言われている。


 因みに聖女召喚の儀は複数人の魔力が必要な高度で特殊な秘術で、神殿主導で行なわれる。

 魔を退ける聖女の『聖なる祈り』は大神殿で行われるが、召喚の儀式は伯爵家以上の当主と次期後継者に認定されている(この王国では女子も継承可能)貴族と王族が見守る王城の大広間の中央に7名の高位神官が魔力を込め八芒星の魔法陣を描き、その一角にいる大神官カイル様がコントロールし行なわれるのだが何と言っても御歳99才。


 幼い頃に聖魔法の才能を見出され前聖女様に育てられた恩を返すのだと、この聖女召喚の儀に命をかけていると聞いている。 


 100年毎に行なわれる魔を退ける『聖女の祈り』の儀式を最後に引退されるのが決まっており、周囲は流石にお年だから次代の大神官に総指揮を譲ってはと打診されたのを誰よりも優秀なのだからと撥ねつけたのだとか。


 しかしプルプル震えながら文言を唱えているのを見ていると、この世界で聖魔法の最高峰(くどいが御年99才)が未だ最強と言われていて、それに劣る次代が継いでも大丈夫だろうか…などつらつらと考えていたら、いつの間にか儀式が進行していて、大神官が最後の文言を唱える…。


 目を開けていられない程の眩い輝き、魔法陣から光の柱が消えて現れたのは聖女だけではなかった…そして前代未聞の状況に広間にいた者は皆絶句した。


「「「「「……」」」」」


 本人(達)はまだ周りの状況に気づいてないようだ。


「ウォッホン」


 宰相がわざとらしく咳払いする。

 ビクッとして離れ周りを見回す若い男女、正確には聖女召喚ではなく聖女カップル召喚だ。

 抱き合い熱烈な口づけを交わしていたのを広間に居る神官や王侯貴族に見られてたのだからいたたまれないのだろう。

 ディープキスでなかったのが幸いだ。


「聖女様と従者の方ですかな?ようこそヴィルム王国へ」


 我に返ったカイル大神官が恭しく声をかける。

 口端が引き攣って見えるのは気のせいではないな。

 いやどう見ても只のイチャコラカップルだろうがと広間に居る皆が心で突っ込んでるだろう。 


「あの…ここはもしかしなくても異世界ですか?」


 そろそろと手を上げて聖女が聞いてくる。

 ふわりとウエーブがかかったセミロングの黒髪には金色の髪飾りがついていて、黒曜石のような美しい黒目、身長は155cm位だろうか。

 小動物を思わせる柔らかな雰囲気を持つ聖女の服装は歴史書に載っている絵姿とは違いスカートの丈が短っ…アレ階段とか下から見えるだろ…。


 男は茶髪のスッキリとした短髪に茶眼、細身だが武術を嗜んてるのような鍛えた体格で175cmと目測する。

聖女とお揃いの服装はブレザータイプの紺色ジャケットのポケット部分に紋章のような刺繍がされていて白いシャツにネクタイ、チェックズボンに黒靴で隣国の学園の制服と似ている。

 二人共見たことのないお揃いの鞄を持ち、聖女のには大きな魔物らしきぬいぐるみと飾りが重たそうにくっついている。


「そうです。聖女様達は、ヴィルム王国に召喚されたのです」


「ねぇねぇ!!!蓮聞いた??ラノベのテンプレ展開キター」


 男の二の腕をバシバシ叩いて喜んでいるように見える聖女。


「…それって元の世界には帰れない…んだよな」


 レンと呼ばれた男は表情変えず落ち着いた声色で一見冷静そうに見えるが、普通もっと驚くんじゃないのか?


「定番だと帰れないね。

 …じゃ私が聖女でパーティー組んで魔王を倒すんだ!!?」


 一瞬しんみり俯いていだが、すぐ顔を上げて両手をパムッと合わせて何だか嬉しそうな感じだ。


「いえ、魔物はいますが、魔王と呼ばれる存在はおりません」


 宰相が答えると、


「え〜魔王いないの?じゃあ乙女ゲー?

 私ってばもしかしなくてもヒロインなの??

 キャー嘘〜私には蓮がいるのに攻略しなきゃなんて〜!!

 ハッ!!!悪役令嬢ドコドコ??」

 

「オト…?コウリャ…?アクヤクレイジョ…??

 いえ、魔が強まるので大神殿で聖女様に聖なる祈りの儀式をしていただく事になります」


 「そうなの?」ボソッ


 キョロキョロ周りを見回すもここにいる唯一の女性は王妃殿下だけ、他に令嬢達が居ないのに気が付き肩を落としてガックリしているとか、ボソっと「残念…」呟いた本音まで丸聞こえで天然正直か。

 あまりのテンションの高さに押されていた大神官がこの場を落ち着かせようと咳払いする。


「ゴホン、ところで聖女様の御名を教えていただけますか?」


「あっ!!!私は茉莉亜と言います。そして彼氏の蓮です」


 ペコリと頭を下げる身振りもちょこまかした感じだ。


「マリア様…何と神々しい御名で。

 陛下、これにて聖なる聖女様の召喚完了致しました」


 どう見てもカップルで乙女(処女)なのが必須である聖女様が口づけ交わしまくっていた事実を、今現在乙女ではあるだろうから(召喚条件に含まれる)見て無かった事にするらしい。


 『聖なる』部分にアクセント入れてるし。

 これは早急に先ずはマリアの乙女を守らればならなく、その辺りの説得面倒くさそうだ。


「マリア様そしてレン様、国王陛下、王妃殿下の御前へ」


 広間中央の魔法陣から離れ玉座に坐っている両陛下の元へ自ら案内する宰相に大人しくついてくる2人。


「国王陛下、そして王妃殿下。

 聖女マリア様とレン様です。

 二人にお言葉をお願い致します」


 玉座を見上げた後直ぐに頭を伏せて短いスカートをちょんと摘んでカーテシーする聖女。

 隣で頭のみ下げるレン、礼儀とか良識はあるようだ。


「よく来てくれた聖女マリアとレン、面を上げよ。

 私はこの国の王、エリアス·フォン·ヴィルムだ。

 突然の召喚に驚いていると思うが、異世界からの渡り人でないとこの世界を救えないのだ。

 貴女方を無理に召喚した事は私の責。

 この国で生活や安全は王の名において保証する。

 世話係をつけるので先ずはこの国に慣れて欲しい」


「聖女マリア様、国王陛下にご挨拶を」


 宰相が聖女マリアを促す。


「はい。初めまして、私は茉莉亜、そして彼は蓮と言います。

 あの…国王陛下にお願いがあります。

 どうか蓮と離れ離れにしないで下さい」


 目を潤め祈るように両手絡め祈りのポーズで懇願する聖女。

 プルプルと震えながらと庇護欲を感じさせる。


「…分かった、これにて召喚儀式を終了とする。

 皆は下がって良い、後は大神官と宰相、第1王子のリヴァルドらに任せる」


「「「「「御意」」」」」


 皆が臣下の礼をする。

 先ず国王陛下と王妃殿下が下がり、その後に兵士によって広間の扉が開かれ貴族達がぞろぞろと出ていく。

 残ったのはマリアとレンそしてリヴァと宰相に大神官、外務大臣の父と私だ。


「私がこの国の第1王子、リヴァルド·フォン·ヴィルムだ。

 リヴァルドと呼んでくれ。

 聖女マリアとレン、無理矢理呼び出す事になりすまない。

 だがこの世界の者では出来ないのだ。

 どうか聖なる祈りで世界を守って欲しい」


「はいリヴァルド殿下、私で出来る事ならやってみます」


「…」


 聖女マリアは答えるが、レンは沈黙したまま状況を見ていて賢明な判断だなと感心する。


「先ず二人にはこの国や世界を知って貰いたいので別室に行き説明したい。

 それから世話係の者と後見人に会って貰おう」


 宰相を筆頭に大広間から客室に皆で移動する。

 後ろから聖女達を観察していると視線を感じたのかレンが振り返り、一瞬目が合うが直ぐにマリアに視線を戻し声をかけて手を繋いでたのだが、よく見ると聖女マリアの手が震えていてかなり不安だろうなと、もし自身がその立場だったらと気遣わねばと思う。


 客室に入り侍女がお茶を出し去っていく。

 皆が着席し私が扉まで行き内鍵をかけ情報が漏れぬよう部屋に防音魔術を展開させ、私はリヴァの後ろに立ち控える。

 先ずはこのメンバーで話を進める。


 宰相からこの世界の状況を説明され、お茶を飲みソファーで寛ぎ落ち着いたようだ。


「魔法や魔術が使える世界なんですね…ねぇ蓮聞いた?」


「あぁ。良かったな、お前の好きな展開で」


 頭を撫でられ嬉しそうに微笑む聖女。

 これまで聖女は落ち着くまで王城に滞在し、その後神殿に保護され役目を全うしたら王立ヴィルム魔法学園に通い卒業後に王族に嫁ぐのが通例となっていたのだが、初のカップル召喚に協議が必要だ。


「さて、婚約者だとしても流石に部屋は別になるが隣を用意するので安心してくれ。

 御身の安全の為に扉の前に兵士が立つ、身の回りの事は王宮専属侍女をつけるので、何かあればベルを鳴らしてくれ。

 聖女は儀式が終わるまで乙女でなくてはならないのだ。

 年末の儀式までは自重して貰いたい」

 

「はい。どちらにしても卒業まではしないと決めてますし」


「…」


 話は早いが何とも赤裸々な聖女だ。

 先ずは暫く王宮でこの国の基本的な常識を教えてから神殿にて聖魔法の儀式を行う。

 落ち着いた頃に王立ヴィルム魔法学園に通って貰い、氷の季節に行なわれる『聖女の祈り』の2週間前から神殿に移動して貰い禊をすると宰相が説明する。


「わぁ〜やっぱり学園入学するんだ。

 蓮も一緒に通えるんですよね?」


「勿論一緒に通えるよう手配する。

 王立ヴィルム魔法学園は全寮制だからそれも手配しておく。

 さて、隣の部屋にこの国で君たちの後見人になる貴族が来ているのだが…」


 宰相が締めくくりリヴァがチラリとこちらを見たので、私は頷きパチンと指を鳴らし防音魔術を解く。


 耳に付けていた魔石付きのカフスに魔力を流し母のイヤリングを通してこちらに来てくれと念話を送り、内鍵を開け大神官にここで下がって貰う。

 

 扉の前に控えていた王宮侍女に茶と菓子を人数分頼んだ所で、隣の部屋から出てきた母とヴィーを部屋に招いた。

やっと聖女召喚まできました。

宜しくお願いします。

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