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71 天照大神

「嘘でしょ……?各国のレジェンダリが全敗って……」

 夢葉は映像を見て、思わず口から零れた。

 「これで分かったでしょ?私たちに歯向かう奴はこうなるって!」

 氷菓がそう言った。

 「これだけの戦力差……。やっぱり我々じゃ負け戦か……」

 海人がそう言ったときだった。瓦礫に挟まっていたティーチが飛び出してきた。

 「……死人のくせにタフね。私の彼氏にしても良いわね」

 氷菓がそう言うと、ティーチは大笑いしながら断った。

 「俺様が惚れた女は宝鐘(ほうしょう)とかいう女だけさ!……それより、このままだと俺様が負けちまうぞ?本気を出しても良いのか?」

 ティーチがそう言うと、刀から禍々しい殺気が放出された。

 「ねえ、海人。今更だけど、どうしてあの刀は黒いの?」

 夢葉がそう言うと、海人が答えた。

 「僕も詳しくは知らないけど、どうやら生前のティーチの“麒麟”が色濃く残っていてな。それを纏い続け、ただのピストルソードだった刀が、異名が付くまでになったんだ」

 「“麒麟”……?外国人が神域なんて使えたの?」

 「ああ。古い文献だと神域に似たものが記載されていることが少なからず存在するんだ。それに、キャプテン・スターライトだって田中さんに教わって、神域を取得していたし」

 「話はそれくらいで良いか?……この力は今の俺様では抑えきれん!できるだけ近寄るなよ!!!」

 ティーチはそう言って、刀を振った。攻撃は誰にも届かなかったが、遥か後方の氷山を斬り飛ばした。

 「凄い……!」

 夢葉が言った。

 「かなり手ごわそうだね」

 入江がそう言うと、ティーチの元へ歩み寄った。

 「ちか、近寄るな……!」

 ティーチがそう言うと、強力な“麒麟”が飛んできた。夢葉たちは思わず膝をついた。しかし、入江は微動だしなかった。

 「こんな“麒麟”、Z様の足元にも及びませんね」

 入江はそう言って、ティーチを斬りつけた。ティーチの切り傷が、ノコギリのように抉られていた。

 「“(のこぎり)”、“状態悪化(じょうたいあっか)”、“裂傷(れっしょう)”、“鋼鉄化(こうてつか)”の組み合わせによって、より深化していった恩寵です。良いものでしょう?」

 「ちょっと待ってよ。お前の恩寵のストックは10なはずでしょ!?」

 夢葉がそう言うと、入江は答えた。

 「誰がそんなこと言いましたか?登録する上で記載するのが面倒だったから、10ってことにしたまでです」

 夢葉はそれを聞いて、一気に身震いした。少しは勝ち目があると思っていた入江にも敵わないことを悟ってしまった。

 (取り敢えず、今一番大事なことは、戦力の確保!……でもどうしたら)

 そのときだった。夢葉に頭痛が襲う。脳内で女性の声が響く。

 (突然のことで申し訳ないわ。でも、今は時間がない!私の力を貸しましょう)

 すると、夢葉の手には、金色(こんじき)の扇が握られていた。夢葉は訳も分からないまま、ティーチに向かって、金色の扇を仰いだ。その風は淡い金色でそれを受けたティーチは、風間と分離した。風間はその場で倒れると、妖刀 ティーチを手放した。

 「そこにいたのか……!!」

 Zが夢葉を見ると、血相を変えて、迫った。Zが指を鳴らすと、黒い球体が夢葉の目の前に現れた。

 「貴様が死ねば、我の計画が完全遂行される!我の糧となれ!」

 その球体は物凄い勢いで、周りの次元を歪ませた。

 「そうはさせねえよ」

 突如として、その球体は真っ二つになった。夢葉の目の前には炎司が立っていた。


 「遅かったじゃないか!」

 海人がそう言うと、炎司が呆れたように答えた。

 「遅かったって……。こうも例外なことが起きてたら、俺でも焦る」

 夢葉は炎司の背中を見ていた。

 (名前も見たこともないはずなのに、どうして、こんなにも愛おしいの?)

 「夢葉。今はお前に頼みたいことがあるんだ。……素戔嗚、頼む」

 すると、炎司は一度目を閉じた。再び目を開けると、夢葉の額に指を触れた。

 「目ェ覚ませ、天照」

 炎司がそう言うと、夢葉から金色の衝撃が走った。夢葉の後ろには後光が光っている。

 「久し振りね、素戔嗚」

 夢葉の声のはずだが、雰囲気はまるで違った。

 「お互い、考えてることは一緒だ。今は時間がない!早く八咫鏡(やたのかがみ)を!」

 「うむ。じゃが、私はまだ完全じゃない」

 天照がそう言うと、炎司が答えた。

 「その問題は大丈夫だ」

 炎司がそう言うと、右手で天照に触れた。その瞬間、天照に強大な力が溢れた。

 「これは……!神皇の力?ただの人間であるはずのお前がどうして……」

 天照がそう言うと、炎司が答えた。

 「俺の身体には2柱の神が宿っている面倒な身体なんだ」

 炎司がそう言うと苦笑いした。

 「いや待て!例えここで貴様が現れたからと言って、状況が好転すると思わんぞ!」

 入江がそう言うと、炎司は携帯電話の画面を見せた。そこには、無数のチューブに繋がれた機械を被っている操園(そうえん)・ダニエル・(りょう)が映っていた。横には、田中も立っていた。

 「どういうことだ……?」

 入江がそう言うと、田中が答えた。

 「これは“恩寵拡大装置おんちょうかくだいそうち”です。私と大道寺海人君が共同して作りました。これを装着すれば、短時間ですが恩寵の範囲が拡大します。本題に入りますが、彼は私の友人の涼です。彼の恩寵の一つの物体同士の瞬間移動“クラシックパス”があります。本来の範囲は、数十メートル程度ですが、これを装着した彼の“クラシックパス”の範囲は2万キロ。余裕で地球のどこへでも移動が可能です。次にこの映像をご覧ください」

 田中はそう言うと、モニター越しの映像に切り替えた。そこには、各国の様子が映されていた。状況は変わらないはずだが、そこにいたのは、『徒陰』のメンバーだった。

 「彼らは……!」

 夢葉が映像越しの彼らを見て、呟いた。

 「これは、ある男への入れ知恵です。彼らなら、『徒陰』の柱たちなら“終わりを告げる者達”を完封できると……」

 田中の言葉の通り、『徒陰』の柱たちは“終わりを告げる者達”を完封していた。

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