56 神の邂逅
このストーリーはフィクションです。登場する人物や団体と関係はありません。又、一部性的な描写がございますのでご注意ください。そして、この作品は日本の歴史や神話を基にした構成があり、一部の方々に怒られそうな内容が記載される場合がございますので、先に謝ります。申し訳ありません。
「仲間を事前に呼んだ……?」
Zはそう言いながら、炎司を睨みつけた。
「何故僕の計画を事前に知った?内通者でもいたのか……?」
「俺の方に誰がいると思ってるんだ。“刻”の力だ。……さぁ、戦いの続きといこうか」
炎司の言葉にZは怒りを露わにした。
「ベルフェゴール!さっさと起きろ!こいつらを蹂躙しろ!」
ベルフェゴールはゆっくりと起き上がった。
彼はホワイトキラーの祖であり、百目鬼拳武にインスパイアを受けたDr.ゴーストによって作られた人造人間である。恩寵はホワイトキラー同様七個である。彼本来の恩寵は“強固”であり、その恩寵が故に彼は改造手術をすることなく、自我を残したまま恩寵を七個有することができている。他の恩寵は“巨大化”、“鱗”、“螻蛄”、“四本腕”、“剛筋”、“光合成”であり、長期間の戦闘が可能となっている。
ベルフェゴールは螻蛄の鋭利な爪で炎司に襲い掛かる。そのときだった。
「誰だか分からないけど、助けます!」
空から二千メートルほどある巨大すぎる大男が現れた。
「大典太か!」
炎司はそう叫ぶと、何故自分の名前を知ってるのかという表情を大典太はした。
彼の名前は大道寺大典太。『徒陰』の山柱である。彼の恩寵は“だいだらぼっち”であり、体を約2千メートル巨大化することができる。また、土を自在に操ることもできる。大典太はベルフェゴールよりも一回り大きい。
「さっきの続きでもするか……」
炎司はそう言って、刀を手に持った。炎司を邪魔する者はもういない。はずだった。炎司を無数のベストロンが襲い掛かる。気づけば氷菓が起きている。
「貴方はお兄ちゃんの仲間ってことで良いのね?それじゃあ、ベストロンたち!赤毛の男たちを殺しなさい!」
ここはベストロンに基地であるため、見たことのないベストロンが無数に現れる。
「そこの女」
Zがそう言うと、氷菓がZに近寄る。
「ベストロン(こいつら)の制御は何でやっている?」
「何?……まあ、基本的に私の声帯に反応するようにプログラムミングしているけど、お兄ちゃん含め『終わりを告げる者達』の声の分かるメンバーの声帯にも反応するようにしているわ」
「分かった」
そのとき、Zは氷菓を粉々に砕いた。
「與からの伝言だ。『今までご苦労。地獄で待ってる』とな。……さあ、ベストロン、僕の下僕として蹂躙するぞ!」
ベストロンたちが襲い掛かる。そのときだった。ベストロンたちが瞬く間に切り裂かれていく。聖剣エクスカリバーだった。それを見た夢葉が叫ぶ。
「王!?」
王は死んだはずだった。しかし、王は立っている。意識は朧気であるが、呼吸は微かにしている。
「夢葉ちゃん……。風間さん……。今まで騙しててごめんね。でも本当だったんだ。僕の恩寵……“革命”……、それにエクスカリバー……。最期に僕と共に歩んでくれるのかい」
王は独り言のように呟く。
“革命”。死ぬことが発動条件であり、火事場の馬鹿力のような能力で数分のみ無敵の状態となる。
王は聖剣エクスカリバーを構えた。見据える先はベストロンたち。
「……“光ノ型 明けの明星”……」
無数に発生した三日月のような斬撃に、更に斬撃を加えていく。斬撃は竜巻のように荒々しく威力が増していく。巻き込まれたベストロンたちは粉々に砕けていく。
(僕の宿命を全うしろ!今までの贖罪を糧に動き続けろ!罪悪感を心の動力源にしろ!)
王は呼吸もせずに攻撃を続ける。体から血が噴き出す。
「王!」
夢葉の叫び声はもう届かない。
「興覚めだ」
Zはそう言うと、指を弾いた。王の片腕が吹き飛ぶ。しかし、王はZに斬りかかる。Zは再び指を弾くと、王に無数の切り傷が生まれる。
(たとえ蝶のように些細な羽ばたきによって生じた風でも地球の反対側では台風になるように……!)
王は唱えるように願った。しかし、ベルフェゴールの拳が王を襲う。王は地面に勢いよく叩きつけられる。王は立っているが精一杯のようだ。
「今度は傷だけじゃ済まないぞ」
Zは王に忠告する。しかし、王は聞かない。聞こえないのかも知れない。
そのとき、王に金色の風が吹く。夢葉だった。金色の風に押され、王は歩み始める。夢葉の瞳からは涙が溢れている。
「……“光ノ型”……」
しかし、Zの凶刃によって王は倒れてしまう。王はもう起きない。夢葉は膝から崩れ落ちてしまう。炎司の刀を握る手が強張る。
「Z!」
炎司は獣のように叫び、Zに向かっていく。
「炎司君!……待ってくれ、炎司……?」
海人が叫んだときだった。海人は頭が痛そうにうずくまった。それは夢葉も同様のようだった。
「炎司……、君は大道寺炎司なのか……」
「お兄ちゃん!」
海人たちの記憶が戻っていた。
「萬ノ刻神産岐!これはどういうことだ?」
炎司が脳内に語り掛けると、刻の神は戸惑った様子で口を開いた。
「分からない。いや、まさか……。炎司!最悪だ!世界線が収束している!」
「まさか……、このタイミンでか……」
世界線収束。それは計り知れない数のある世界線が一本に収束することである。炎司が全世界の人たちの記憶からいなくなっていたのは、炎司が存在しない世界線を無理やりくっつけたからである。その理由は、炎司、つまり創始神と終焉神がぶつかるほどの衝撃で、混沌が気づくのを防ぐ必要があった。しかし、混沌によって歪となった“輪廻”はその周期を滅茶苦茶にしてしまう。数千年に一度だった世界収束が身近に起きてしまう。
空間の隙間から“奴”が訪れてしまう。
炎司にとって、いやZも同様最悪のタイミングだった。
「分かっているな、創始神!奴にどこから見られているか分からんぞ!」
Zがそう言ったときだった。炎司とZの真横に慶喜が現れた。彼は満面の笑みで二人を見つめた。そのときだった。二人は吹き飛ばされた。いや、地面にへばりついた。と思ったら、地面から顔だけを出していた。滅茶苦茶である。
「慶喜……」
Zがそう言うと、炎司は訂正した。
「國崎慶喜は四年前に死んだ。こいつは……“混沌”だ」
Zは顔を引きつった。
「……まさか既にこの世界線に顔出してたとはな」
混沌はどの世界線にも存在せず、たった一つの存在である。そのため、炎司とZが邂逅しなければ数多ある世界線から、見つかるわけなかったはずだった。
「しかし、世界収束とは別に起きた現象によって、僕たちが勘付かれた訳か……」
混沌は慶喜の上顎と下顎を掴むと、引き裂いた。そこから宇宙のような球体が現れた。体は半身が白で半身が黒である。体つきは人であった。
「誠に不本意だが、共闘する他なさそうだ」
Zがそう言うと、炎司は口を開くが、女性の声を発した。
「我々の勝手に一人間(炎司殿)を巻き込むわけにはいかないでしょう。……私自身が赴きましょう」
炎司の体が創始神へと変化していく。人のような顔に目の描かれた布で口元を隠し、姿は伝説の龍そのものである。尾には人の顔が連なっている。
「その姿は久しいの。創始神」
「アンタも本当の姿見せたらどうだい」
Zは言われるがままに、姿を変えた。全身が様々な動物の骨の鎧を身に纏い、顔も髑髏であった。背中には黒い三日月のような翼を持ち、大きな刃を持つ鉈を持っていた。
「久しいねえ、ええ、お父さん、お母さん」
混沌が口から言葉を発する。
「黙りな、アンタを産んだ覚えはないよ」
創始神は言い放った。混沌の顔は球体で表情は分からない。しかし、混沌から発せられる殺気や好奇心を感じることができる。
「天照大神、今は神楽夢葉殿だったかな?今すぐにでも“最神器”を作ってもらいたい」
「“最神器”……?」
夢葉は言葉を反芻した。
「ああ。私が混沌を倒すために作り上げた“始まり”そのものの武器さ。それに “赫鏡”もあれば尚良かったんだけどね……」
「分かりました。やってみます」
夢葉は天照大神に体の主導権を渡した。天照大神は懐から三種の神器を取り出した。
「『創始に始まり終焉に終わる。それ即ち輪廻の如く。転生せよ。力の権化。目覚めよ、最神器』……」
天照大神が唱えると、三種の神器は光りだし、一つの存在へと変化していく。混沌はその様子を見て、天照大神に襲い掛かる。突然の出来事に天照大神はおそか創始神や終焉神も反応できなかった。そのとき、田中の盾が混沌を弾き飛ばした。
「何が何だか分かりませんが、今の判断は合ってますか?」
「君は確か……」
創始神は田中を見ながら口を開いた。
「田中雫です。初めまして……。それより、状況は?これはどういうことですか?」
田中はどうやら混沌にしがみついてここまで来たようだ。
「どうやら役者が揃ったようだね」
混沌は訳の分からないことを言っている。




