一芝居
ようやく馴染みの町にたどり着いた頃、久々に冬華さんが口を開いた。
「お、報告が来たようだ。」
「報告?なんかあったっけ?」
「研究員の皆に持ち出されたアリエボを追跡させていたのだ。あまり情報を公にしたくはないからな。」
「なるほどね。だったらそれが今後の目標になるのかな?」
「そうだな。だが、その前に櫻良に一芝居うってもらいたい。」
「んえ?なんで私が_」
あぁ…ついた。ここが私たちの町の冒険者ギルドだ。おどおどしながらもその扉をくぐる。
ギルドに来るのは初めてだ。それもそのはずで、基本的には教場を卒場してからギルドに行くのが一般的な流れだし、それゆえ緊張する。
なんだか周りの視線をすごく感じる。うぅ、見慣れない人だからかなぁ…。
深呼吸をする。これからやることは緊張してちゃ上手くいかないもんね。
「突然すみません!私は源好櫻良と言います!実は私たちは魔敵と手を結んでいる人間を発見しまして、私の仲間が今追跡しています!これを正式な依頼として処理してほしいんです!
私たちは確かにこのギルドに属していません、ですから今から登録手続きをお願いできませんでしょうか!」
「えっと~、櫻良さんですね~。…分かりました~。おっしゃっていることは嘘じゃないみたいですね~。ではギルドの登録手続きを手短に行いましょう。こちらの書類に記入をお願いします。えと、背負われてる方はどういたしましょ?」
「あー…今は私だけで大丈夫です!」
ふぅーー、ひとまず問題なかったみたい。ぱぱっとちゃちゃっと色々書いた。
「は~い確認できました~。これがギルド証明書です~。気を付けてくださいね~。」
よし、冬華さんのとこに合流しなきゃ。
あれ?冬華さんとどうやって会話したらいいの?私アリエボないし…
なんて思いながら外に出たら。
「櫻良、無事できたみたいでよかっ_」
「んあれ?冬華さんここにいたの?」
「あー、えっと、あのギルドの受付娘は何かしらで嘘がわかるようなんだ。それで、その嘘の範囲が、"相手の知っている・思っているいること"までだと知っていたからな。
事実じゃなくて、思い込みが大事だったんだ。」
「なるほどね。冬華さんにおいて行かれるのかと思ってちょっと焦ったよ…。」
「…まあ流石に私一人で行って勝てる相手じゃないからな。」
「んあ、冬華さんの趣味って攻撃系じゃないんだった…
私一人でやんなきゃいけないのーー???」




