カルッタ商会
累計PV5万突破です! え? お祝い回? だからそれは、日間が5000行ったらだって。あと、ブクマ数なんかでも書くかもしれませんね。まぁ、あれです。ほれ、広めろ(またかよ)。
「どうやら、お気に召されたようですね」
ニッコニッコしながら霧也に声をかけるデリフ。
その目には、どこか$マーク(単位違うけど)が浮かんでいるように見える。
もしこの場で売ることが出来れば、自分の商店を持っているデリフでも、食費や世話のための人手に伴う人件費など、様々な維持費を削減出来る。例え少しだけだとしても、通常より利益が増えるだろう。
「もしよろしければ、お礼の意味も込めて、市場価格よりもお安く出来ますが?」
これが自分の欲を全面に押し出すタイプであれば、いやらしい笑みを浮かべて揉み手をするくらいのことはしそうだ。もっとも、彼はそんなタイプでは無いようだが。
しかし、いくらこのケモミミ少女達が気に入ったとは言え、霧也が奴隷を嫌っているのに変わりはない。彼女達なら解放しても霧也に付いて来そうではあるが、人を売買して、一瞬でも縛ることが霧也にはどうにも許せない。
「いや、別に――」
いい、と言おうとしたところで、目の前でこちらをまっすぐに見つめるウサミミっ娘の姿が目に入る。どこか、拒絶しづらいような目だ。
霧也はそれを見て目を覆い、ため息を吐く。
「……分かった、考えておこう」
買う、と宣言した訳ではない。だが、ウサミミっ娘は嬉しそうに、その長い耳を揺らしている。思わず霧也の目が釘付けになる。
それを見ていたデリフは、よくもまぁ奴隷をこの短時間でここまで懐かせたものだ、と微笑みながら口を開く。
「えぇ、良い返事を期待しております。……さ、外へ。お連れ様は、もう降りてしまいましたよ」
その言葉に霧也が改めて車内を見ると、確かにソニア達の姿が消えている。霧也も、周囲のケモミミ少女達を優しく離しながら馬車を降りる。
そして振り返ると、そこには、ベルメルタの外壁があった。
「……でっ、か」
セイグラッドに着いた時と同じような感想が漏れる。
あの時は外壁そのものに対する驚きだったが、今回は違う。
外壁自体も確かに大きいが、それよりもそこに付いている門が、ここまでは必要ないだろ、という程に大きかったのだ。
ここは商業都市。当然、商業に関する設備はとても充実している。
そしてそれは、魔物の素材を売るための処理をする解体屋も数多く存在するということであり、魔物の中には、ドラゴン等、見上げる程の巨体を持つものもいる。そんな魔物が普通の街に運び込めるかと言われたら、答えは否だろう。
しかし、ここは違う。
そういった巨大な魔物等を運び込むことを考えて、門を大きくし、その中に入れば、道も普通より圧倒的に広いことがよく分かるだろう。
“冒険者の街”セイグラッドが冒険者ギルドを中心としているように、“商業都市”ベルメルタもまた、商業を中心として栄えた街なのだ。
「さ、こちらへ。私の商店に案内します」
デリフに促され、街の中に入る霧也達。一応待機列なんかもあったのだが、そこは割愛だ。
そのまま、しばらく街道を歩く。そして、恐らく街のほぼ中心であろう場所に、デリフの商店はあった。
「すごい、立派ね……」
「はい、本当に。こんな商店、王都でも中々……」
リラのソニアが、そんな感想を漏らす。
そう。デリフの商店――「カルッタ商会」の本店は、王都でもほとんど無いような、立派な商店だったのだ。
「私の商会は、日常品から冒険者向けの品、貴族向けの品まで、様々な商品を取り扱っています。そしてその中でも最も規模が大きいのが、奴隷商売。そちらに関しては私達の右に出るものはないと自負しております」
そう自慢気に語るデリフ。
霧也は、やはり少し気に食わないのかほんの少しだけ顔を顰めるが、この世界ではこれが普通なんだ、と割り切って、その感情を抑える。
「どうぞ、お入り下さい。是非ともおすすめしたい品があるのです」
正面ではなく、従業員用の入口なのだろう、裏から中に入っていく霧也達。そのまま、高そうな調度品が置かれた部屋へと案内される。
「ここはVIPルーム。普段は、貴族相手の商売に使われる部屋です。……では、少々お待ち下さい。今、商品を連れてまいります」
デリフが踵を返しながらそう言うが、それを霧也が止める。
「……ちょっと待て」
「はい、なんでしょう?」
振り返って聞き返すデリフ。霧也は、彼を軽く睨みつけながら質問する。
「お前さっき、連れてくるって言ったか? まさか、お前の言う『商品』って奴隷のことか?」
「はい、その通りです」
「……それは、俺が奴隷は嫌いだってことを理解した上での行動なんだろうな?」
「えぇ、もちろん、理解はしております。……ですがどうやら、獣人の女奴隷はお気に召したご様子。実は最近、上玉の猫獣人を入荷したのです。もっとも、何があったのか、元気は全くありませんが……あの短時間で奴隷達に心を開かせてみせたあなたになら、もしかしたら、その猫獣人も心を開くやもしれません」
セールストークでマイナスポイントをしっかりと言うあたり、デリフはごく真っ当な商人なのだろう。
霧也も、その、見るだけでいいから、というような態度に押されて、帰ろうと浮かせていた腰を落ち着ける。もっとも、舌打ちが付いていたが。
それを見たデリフは、すぐさま部屋を出ると、数分して、数人の人を連れて戻って来る。その内1人は、目深にフードを被っていて顔は見えないが、お尻のあたりから黒い猫の尻尾のようなものが覗いている。恐らく、デリフが霧也に薦めたいという猫獣人だろう。
その猫獣人は、隣に立っていた男に言われて、ゆっくりフードを外す。
「――えっ?」
「――は?」
そこに待っていたのは、霧也も、誰も、全く想定も想像もしていなかった再会だった。
みなさんお察しの通り、この猫獣人、あいつです。一応名前は出さないでおくけど、まぁ、分かるよね?




