こんな世界
短いです。ごめんなさい。
そうそう、サブタイですが、句点に繋げるのが面倒になってきたので、やめました。いやホント、ちゃんと繋げようとすると、似たパターンになっちゃうんですよね。
霧也達が異世界に召喚されて――地球で集団失踪事件が大々的に報道されて、およそ1ヶ月。
村崎沙菜は、失意の底にあった。
もうここ何週間かは、学校にも行っていない。それどころか、家からもほとんど出ていないのではないだろうか。
「お兄ちゃん……」
もう沙菜には、霧也の部屋で、彼の僅かな痕跡を感じることしか出来ない。
沙菜は、所謂ブラザーコンプレックスだった。しかしそれには、理由がある。
沙菜が物心付いたとき、両親は既に交通事故により帰らぬ人となっていた。
そのため沙菜と霧也は、祖母に育てられることとなった。
――しかし祖母も、数年の後に、病気により亡くなった。
彼女達には他に、親戚と呼べる者が存在しなかった。
祖父は2人ともとっくにいなかったし、もう1人の祖母も亡くなっている。曾祖父母など、言わずもがなだ。
正真正銘、2人を育てた祖母だけが、兄妹を除いて最後の親族だったのだ。
祖母が亡くなったとき、霧也は中学2年生。沙菜は小学6年生だった。
身寄りを無くした2人だったが、両親や祖母の残したさほど多くもない遺産をどうにかやりくりして、果ては霧也が学校に内緒でアルバイトをして、なんとか生活を保つことが出来た。
だから沙菜にとって霧也は、絶大な信頼を寄せる相手であり、ある意味では親代わりであり、唯一の心の拠り所であった。
となれば、沙菜が霧也に兄妹としての親愛を超えた感情を持ってしまうのは、ある意味仕方のないことだと言えるだろう。
そして、そんな霧也を失った沙菜は、一瞬にしてふさぎ込んでしまった。
不登校となる沙菜だが、事情を知ってしまっている以上、教師達もあまり強くは言えない。それをいい事に引きこもり続けた。
もう、涙は流し疲れた。
もう、霧也の痕跡も薄れてしまった。
もう、家の中にすら生きる意味が無くなってしまった。
「――そうだよ」
そして沙菜は、ふと思い立つ。
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久しぶりに、外に出た。
生きるために最低限必要な食料等は、基本的に家にあった物でどうにかしていたし、そもそも、この状況では沙菜にも食欲など無かった。
だから、今までは外に出ずとも生きてこれたのだ。
目的地に向かう道中、知り合いとも何度かすれ違った。だが、その誰もが沙菜には気が付かなかった。
元気を失い、栄養も足りていなかった沙菜は、見るからに痩せこけていたし、サラサラだった髪もひどくボサボサだ。前の、元気いっぱいな可愛らしい姿は、見る影も無かった。そのため、誰にも気付かれることが無かったのだ。
「……ここでいいや」
沙菜が適当に選んだのは、家からほど近い廃ビルだった。高い所ならどこでも良かった。
何も言わず、俯いたまま階段を上がって、屋上に出る。そしてそのまま、柵を越えて、縁に立つ。
彼女は、何を考えているのか。
その顔はただただ無表情で、どこか遠くを見るように虚空に目を彷徨わせていた。
下の通行人が沙菜に気付いたようで何やら言っているが、それも彼女の耳には入らない。
何故ならそれは、絶望しているから。
霧也が、自分よりも、誰よりも、何よりも大切な彼がいない、この世界に。
だから、彼女は、思う。
「もう、こんな世界――いらない」
最期、彼女の口元には、どこか霧也に似ている、不敵な笑みが浮かんでいた。
重かったかな?
いや、俺に重い話なんて書けないか(おい)。
……あ、次回からは普通に今までの軽い感じですよ? そんな、シリアスとか耐えられないし。俺が。




