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ぼっちが転移で自由人。  作者: 浅野陽翔
なんの変哲も無いプロローグ
2/271

勇者召喚だってさ。

「よく来てくれた、勇者様方」

 霧也が国王の姿を確認した直後、国王からそんな声が発せられる。

(勇者召喚ってか? どうせ本命の勇者は天野あたりなんだろうが……こんなこと本当にあるんだなぁ……)

 国王の言葉を聞いた霧也は、そんなことを考える。状況の割に冷静なのは、日頃から人と関わらず、物事を1歩引いたところから見ているからだろうか。

 霧也以外のクラスメイトは、その声に初めて他に人がいることに気が付いたようで、一斉に国王のいる方向を見る。

 皆が自分に注目している事を確認した国王はおもむろに立ち上がり、頭を下げた。その姿に、周囲に控えていた大臣や護衛騎士と思しき人達がざわめき、頭を上げるよう促すが、国王はそれを無視して口を開く。

「まずは、こちらの都合で勝手な事をしてしまった事に謝罪申し上げる」

 その言葉に配下のみならずクラスメイトからも困惑の声が漏れるが、国王はそのまま頭を下げ続ける。

 そして、ようやく声がおさまり、国王が頭を上げた直後、その隣の玉座よりも少し小さい椅子に座っていた少女が立ち上がり、こちらも頭を下げる。

わたくしからも、謝罪申し上げます」

 再びざわめきが漏れるが、少女もそれを気にもせず、国王より少し短めの時間で頭を上げる。

「あの……」

 やっと復活したのか、紘輝がおずおずと手を上げる。普段の明るさからは考えられない姿だが、有り得ない事態に慎重になっているのだろう。

 それを見た国王(再び座っている)が視線で先を促す。

「勇者がどうとかよく分からないんですけど……ここはどこで、あなた方は誰なんです?」

「ここは、君達から見た異世界にある、エルガド王国の王城、その謁見の間だ。そして私は、エルガド王国現国王、アルフレッド=タナリア=エルガド。隣にいるのは娘の――」

「エルガド王国第一王女の、エステリアと申します。よろしくお願い致しますね、皆様」

 エステリアが、スカートの端をつまみ優雅にお辞儀をする。更に、最後に笑顔1発だ。大半の男子はノックアウトされたらしい。

 エステリアは、琴音とタメを張れる程の美少女だ。年はそう変わらないだろう。紘輝のそれよりも輝きの強い金髪をまっすぐ下ろし、質が良いのが見て取れる。あと、琴音よりも大きい。何がとは言わないが。

 そんなどうでもいい事を霧也が考えていると、アルフレッドが口を開く。

「さて、君達を喚んだ理由だが――」


==========


(ド定番じゃねぇか……)

 話を聞き終えて、いや、聞いている途中から霧也が思っていた事だ。地球のサブカルで良くある感じ、と言えば分かるだろうか。

 要するに、魔王を倒して欲しいとの事だ。それだけ。散々長ったらしい話を聞かされた霧也だが、その大部分が魔王、またその配下である魔物の残忍さや、魔物に受けた被害などの話で、まとめるとそれだけになってしまう。中身のすっからかんな話だ。

 更には、紘輝主導で倒す流れになってしまうのだからもう大変。束縛を嫌い、自由である事を何よりも大切にする霧也にとって、それは悪手以外の何物でも無い。

 そのため霧也は、さっさとここから出て行ってしまおうと考えるのだが――

(この世界の事とか全然知らないしなぁ……1人で生きていく方法も何も無いんだよなぁ……)

 大問題だ。

 どうしようか首を捻って考えていると、魔王討伐を引き受ける旨を紘輝が伝える。伝えてしまう。

 それを聞いたアルフレッドが狂喜乱舞(と言う程でも無い)し、それをエステリアがおさめる。そしてアルフレッドは、何事も無かったかのように口を開く。

「さて、それでは君達に、自身の力を認識してもらいたいと思う。“ステータスオープン”と唱えてくれ」

 その言葉に、意味をいち早く理解したオタク勢が反応し、それに続けてその他のクラスメイトもその言葉を唱える。

 普段から公共の場で声を出す気など微塵も無い霧也も、仕方ないかと小さく、それはもうとても小さく発音する。

「……ステータスオープン」

 その瞬間、目の前にステータスウインドウとでも言うべき半透明の薄い板が出現する。

「そこに書かれているのが君達の能力だ。ステータスは、成人男性の平均がおよそ100。また、スキル数はおよそ1〜3個程だ。参考までに確かめてみてくれ」

 そのアルフレッドの言葉を受け、霧也含み全員がウインドウを凝視する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 村崎霧也 男 17歳

 職業 異世界人、学生


 体力    238

 攻撃力   213

 防御力   207

 敏捷    209

 魔力    221

 魔法攻撃力 202

 魔法耐性  218


 スキル

完全模倣コピーⅠ][自動翻訳]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(お。スキルはちょっと少ないけど、ステータスが大分高いな。体力が結構多めか? ま、最初はこんだけありゃ十分か)

 その表示に概ね満足した霧也は、ふと気になって意外と近くにいた紘輝のウインドウを覗き込む。

 それが間違いだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 天野紘輝 男 16歳

 職業 異世界人、学生、剣士、勇者


 体力    1006

 攻撃力   1183

 防御力   1097

 敏捷    1173

 魔力    1034

 魔法攻撃力 1154

 魔法耐性  1016


 スキル

[聖剣生成][聖剣術Ⅰ][聖属性適性Ⅰ][聖属性強化Ⅰ][全属性耐性Ⅰ][物理耐性Ⅰ][身体強化Ⅰ][気配察知Ⅰ][自動翻訳]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……」

(は? 何これ、10倍? 平均の10倍超えてますけど? スキルも無駄に多いし。頭おかしいんじゃないの?)

 それに加えて、職業が勇者である。勇者系男子は、本当に勇者だったと言う訳だ。

 霧也は更に、やめておけと言う心の声に反発して、紘輝の近くにいる琴音のウインドウも覗き込む。

 当然、後悔する事になる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 橘琴音 女 16歳

 職業 異世界人、学生、魔術師、聖女


 体力    623

 攻撃力   587

 防御力   609

 敏捷    596

 魔力    1943

 魔法攻撃力 1832

 魔法耐性  1854


 スキル

[回復魔法Ⅰ][回復力強化Ⅰ][基本属性適性Ⅰ][魔力増幅Ⅰ][無詠唱Ⅰ][自動翻訳]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 十分過ぎる程のチートだ。特に魔法関係なんか、勇者の2倍近くある。

 霧也はもう、笑うしかなかった。

 ステータス考えるのって大変なんですね。とても適当にやってますけど。

 あと、スキルは「あ、これ必要じゃん」とか思いつく度に増えていきます。要注意ね。

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