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ぼっちが転移で自由人。  作者: 浅野陽翔
なんの変哲も無いプロローグ
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専属メイドが出来ました。

 書いてるの楽しいです。いえ、決して前作が書いててつまらなかったと言っているわけではありません。本当ですよ?

 あの後、さりげなく他のクラスメイトのステータスも見た結果、紘輝と琴音の2人以外にも、たまにチートスペックを持つ者がいた。勇者がバランス型だとすれば、琴音の様なその他チート勢は特化型。特化している能力に関しては、琴音の魔法関係と同等の数値だった。

 しかし、それ以外の者は霧也と同程度。霧也のステータスは決して低くなどないのだ。至って平凡だ。別に霧也は、普通だと知って落ち込んでなどいない。絶対、落ち込んでなんか、ない。

「それでは、君達には1人1部屋ずつ用意しておいた。食事の時間まで、自室でゆっくりしているといい」

 そのアルフレッドの言葉に、疲れた様子で素直に従おうとする紘輝達だが、霧也としては何を考えているんだ、と言った心境だ。

(お前等、まだ大事な事聞いてねぇだろうに……)

 しかし、皆はそれに気が付く様子が無い。

 だから、霧也は久々に、それはもう久し振りに沙菜以外に冷たくない声を聞かせる事になる。

「……なぁ、王様」

 その聞き覚えの無い声に、クラスメイトの大半は辺りをキョロキョロと見回す。しかし、この場において今の声を聞いた事がある紘輝と琴音は違う。超が付くほど驚いた表情で、霧也の事を見ていた。その視線に気が付いたその他クラスメイトも、それを追って霧也に行き着いた結果、驚愕をあらわにする。

 霧也はその視線を全力で無視する。

「む、何かな?」

「……俺達は、帰れるのか?」

 その言葉に、紘輝達がハッとする。何故今までそれを気にしなかったんだ! と言った表情だ。

(お前等実はアホだろ。ただのアホだろ)

 もちろん、声には出さない。

 そして、アルフレッドも言うの忘れてた! と言う表情をしている。エステリアも同じ。――いや、違った。少し顔が赤い。霧也はそれを見て少し不思議に思うが、1つの可能性に思い至って何とも言えない表情になる。

 それはある日、妹の沙菜にふと言われた事だ。

 沙菜曰く、「霧兄はちょっと有り得ないくらいのイケボなんだから、普通に喋ってれば絶対にモテると思うんだけど」との事だ。

 それを聞いた時は「何言ってんだお前」と軽く流した霧也だったが、どうやらエステリアの様子を見る限り冗談では無かったようだ。

(マジかよ……いや、そこまでじゃねぇ。よな……? あぁ、そんな事はどうでもいいな。とりあえず、あの王様もただのアホだろ)

 声には出さない。出してはいけない。

 そんな事を考えている間に立ち直ったアルフレッドが、1つ咳払いをしてから口を開く。

「すまないが、今は不可能だ。ただ、魔王の居城には、召喚ではなく転移用の術式が保管されていると言われている。魔王を討伐した暁には、術式を解読し、必ず君達を元の世界に帰すと約束しよう」

「そうか。ならいい」

 正直、沙菜を心配させてしまうであろう事以外、地球への未練など何1つ無かった霧也にとって、これはただ聞いておいただけの事だ。そんな固く約束されても逆に困る、としか考えていなかった。

 そのため、とても適当な返事をした霧也は、さっさと部屋に行こうと近くにいた美人メイドさんに案内を頼み、顔を赤くさせる。何故か嫌な予感がしてクラスメイトの方を見ると、ほとんどの女子がボーッと霧也を見ている。

 霧也はすぐさま目を逸らし、メイドに着いて行くが、部屋を出るまで視線を感じっぱなしだった。

(嘘だろ? そんなに破壊力抜群なの? 俺ヤバくね? あーもう、やっぱ喋んねぇ方がいいのかな……でも、コミュニケーション取らないとさすがに1人じゃ生きていけねぇしな……先が思いやられる……)


==========


「すっ、げ……」

 霧也がメイドに案内された部屋は、何と言うかもう、凄かった。日本の自室より余程広い。

「あの……」

 ほえー、となっていた霧也は、メイドの呼びかけに振り向く。改めて見ると、やはり普通に美人だ。琴音やエステリアには及ばないが、少し失礼な言い方をするとこのぐらいの方が丁度良いとさえ感じる。

 肩より少し下まであると思われる長さの薄めの赤色をした髪は、全て右側にまとめられている。サイドテールと言う奴だ。

 髪と同じ薄赤色の瞳に、これまた同じ色の眉、睫。顔のパーツはバランスが取れていて、パーツだけ見ると少し地味だが、髪や瞳などの派手めな色と合わせてこちらもバランスが取れているように思える。

 あと、琴音より大きいエステリアより大きい。何がとは言わないが。絶対に言わないが。

 だが、そんな物には魅了されない(どころかする側)霧也は、平然と聞き返す。

「ん? 何?」

「あの、その、失礼ですが、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか……?」

 恐る恐る聞いて来るメイドに、霧也は苦笑しながら答える。

「そんな事か、別に良いよ。霧也だ。村崎霧也。あぁ、こっちの言い方だと、キリヤ=ムラサキってことになんのかな?」

「あ、は、はい、そうなると思います。えっと……キリヤ様、と呼ばせて頂いても……」

「ご自由に」

「その、では、キリヤ様……あ、そうだ、申し遅れました、私はソニア=グランディです。どうぞお気軽にソニアと……ではなく、いえ、それもそうなのですが、その、1つお願いしたい事が……あ! 大変差し出がましいとは重々承知しております! ですので、あの、聞いて頂けるだけでも結構ですから……」

 怒涛の口撃(?)に、あたふたしてるの可愛いなぁ、としか考えられないポンコツと化していた霧也だが、どうにか内容を飲み込んで先を促す。

「あの、その……わ、私を、キリヤ様の専属メイドにして頂けないでしょうか!?」

 やりきったぜ! と言う顔をするソニアだが、専属メイドと言う物がいまいちピンと来ない霧也は、首を傾げるばかりだ。

「えっと……その専属メイドってのは何なの?」

「はっ! そ、そうですよね! 説明しないと分かりませんものね! こほんっ。専属メイドと言うのは、その名の通り、自分の主人のためだけのメイドです。メイドは主人のみに尽くし、主人は専属メイドのみに身の回りのお世話などをさせる。普通であれば、キリヤ様も他の勇者様方と一緒に複数のメイドでお世話させて頂く事になるのですが、その、それを私だけに任せて頂けないかと……べ、便利なパシリと考えて頂いてもよろしいのです! それに、ひ、必要とあれば、その、よ、夜のお相手も……」

「ストーップ!」

「わひゃうっ!?」

 何やら変な事を口走り始めたソニアを滅多に出さない大声で制し、霧也はとりあえず目を閉じて内容を整理する。

「……で、ソニアを専属メイドにした場合、俺にはどんなメリットがある?」

 そう言った後目を開いてソニアを見ると、色々とヤバそうな顔になっている。霧也は気にしない事にした。

「うふふ、ソニアって、ソニアって、名前で……きゃーっ! ……はっ! ごほんっ、うぉっほん! ……えぇと、メリットですか? そうですね、専属メイドであれば、他の方のお世話が必要無い分、キリヤ様お1人に尽くせる時間が増えます。と言うか、四六時中キリヤ様に尽くす事が出来ます。そうなれば、キリヤ様の命令もより迅速にこなす事が出来ますし、キリヤ様の事を理解できれば、キリヤ様の望む行動を先読みして取れるようにもなるでしょう。私を専属にするメリットとなると、それはもうキリヤ様のお好みで、としか言えなくなってしまうのですが……私では、ご不満でしょうか……?」

 最後の部分を、少し縮こまりながら上目遣いに聞いて来る。並の男なら既にアウトだろう。かく言う霧也自身も、相当キている。

「あー……そう言うの、俺が勝手に決めちゃって平気なの?」

「……多分」

「んっ?」

(ちょっと待て。今、多分って言わなかったか? それ平気じゃない奴だよな?)

「だ、大丈夫です! なにせ、私はこう見えてもメイド長ですから! えぇ、大丈夫ですとも!」

「それ、より駄目なやつだよな!?」

「ひぅっ!?」

 思わずツッコんでしまう霧也。

(メイド長は、メイド長は駄目だろ。メイド長が専属になるのは本気で駄目だろ)

「……本当に、私ではいけませんか?」

 先程の上目遣いに加え、涙目まで追加して来た。ここまで来ると、さすがの霧也もアウトだ。

「……あーもう、勝手にしろ」

 頭をガシガシと掻きながら言い放つ霧也だが、顔を背けていなければソニアからもほんのり赤く染まった頬が見えた事だろう。

 そして、霧也が顔を背けていなければ、ソニアの花が咲くような笑顔を見ることが出来ていただろう。

「は、はいっ! ありがとうございます、ご主人様っ!」

 案内メイドは案内メイドで終わらせるつもりだったんだけど、気が付いたら専属メイドになってました。そして、書いてる途中に生まれたキャラなのにかなり気に入ってしまった。メイドコワイ。

 元々、今回は霧也が能力確認をする予定だったんですけどね。メイドコワイ。

 あと、メイドコワイ。

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