第35話 選抜決め
帰りのHRが終わった後、俺とメイダは生徒会室に向かった。
「こんちわー」
「やっと来たか。今日は重要な仕事をしてもらう」
「重要な仕事? なんですか?」
「体育祭の選抜選手の選考だ」
あーあれね。 まだやってなかったんだ。
「それぞれの組の生徒会役員が、自分の組の選手を決めることになっている」
なるほど。
「ジャズが赤、テカーリアが青、ぽみぃが黄、バルトが黒、そして俺が白を担当していた。だが今回は俺は選抜から降り、レイとメイダに白を担当してもらう」
俺白組なのかよ。俺の体毛黒いし、黒組の方がマッチしてて良かったんだけどな……。
そんなくだらないことより、会長の代わりに出ることの方が気になる。
「新参の俺に譲っちゃっていいんすか?」
「普通なら許されないことだが、俺にはこれまでの功績があるからな。選抜から降りるのは許してもらえた」
「じゃあ今年は任せてくだせえ! 絶対勝ちます!」
「2人とも俺を楽しませてくれよ」
楽しませられるかどうかは分かんないけど、勝利は贈呈してしんぜよう。
「では早速立候補者たちが集まっているグラウンドに向かう」
グラウンドに向かうと、思ったより多くの生徒が集まっていた。
あっ、アル達3人組もいんじゃん。
「結構多いな」
「当たり前だろ。自分の力を見せつけたいやつはたくさんいるんだからな! しかも選抜に出ればモテる!」
「ジャズはモテたいの?」
「少しはそう思ってるが、1番はフレンダさんに認めてもらいたいからだ! 毎年フレンダさんはこの体育祭を見に来てくれんだよ」
フレンダ来るんだ。じゃあ俺も訓練の成果を見せるために本気でやらないとな。
少し時間が経った後、会長が集まっている生徒を静かにさせた。
「全員静粛に! 告知していた通り、これから選抜競技の選手を決める! 赤はジャズ、青はテカーリア、黄はぽみぃ、黒はバルト、白はレイとメイダの場所にそれぞれ集まってくれ!」
「赤の奴らは俺のとこに来いや!」
「青組の人は私のとこに集まってください」
「黄色のみんなあーしのとこにきてねー」
「黒組の選手はこちらに」
生徒達がそれぞれの組の生徒会役員に集まっていく。俺も早く集めなきゃ。
「白ー! 全員集合ー!」
他の組と同じようにぞろぞろと白組の候補者が、俺とメイダに集まってきた。良い眺めですな。
全部で10人かな? 白の候補者少ないな。選ぶの楽になるからいいけど。 あ、ミライいる。
「アルとネスは?」
「アルは赤……ネスは黄だから私と違う」
「あーね」
5人までで俺とメイダもいるから、この10人から3人選べば良いんだよな。
後衛希望はメイダに見てもらって、前衛は俺が見るとしよう。
「ご主人様は後衛希望集めて2人選んで。 ミライのこと贔屓しちゃダメだからな」
「えぇー、私が好きな人選べば良いじゃない。……何よその不満そうな目は。はぁ、わかったわよ。ちゃんと選ぶから。後衛したいのは私に集まりなさい!」
これならあっちはメイダに任して大丈夫だな。
俺は残った前衛の人達を審査するとしますか。
数は全部で6人。各々武器を待っていたり、素手のやつがいる。模擬戦でもするか。
「はい模擬戦しまーす。俺のこと魔獣だと思ってかかってきな。俺に攻撃当てれたら合格ね。1人ずつどうぞ」
「なんだと? そんな簡単なことで良いのか? ケビン会長から変な獣人に変わったと思ったら、こんな簡単な試験になるとはな。今年はラッキーだぜ」
お?なんだぁ?調子に乗りやがって。 ふっ、軽く捻ってやんよ。
「じゃあお前一番手ね。好きなタイミングで来てどーぞ」
俺はその自信満々な奴を最初に試すことにした。
「獣人風情が余裕そうにしやがって。その態度がいつまで続くか見ものだぜ!」
そう言うなり、片手剣を右手に持ってそいつはこちらに駆け出してきた。
ちょっと遅いか? これならフレンダの方が断然速い。
「オラっ!」
剣を俺目掛けて縦に振り下ろしてくる。特に何かできる感じもしないし、早く終わらせる。
俺は剣を横にステップして避け、相手の足を蹴って転ばせた。そいつは剣を持っていたので、手で支えることができずに頭から落ちていった。
「ふぐっ」
「終了〜。次の方どうぞ」
その後も転ばせたり、時には腹パンして相手をノックダウンさせていった。
もう後1人しかいない。難易度下げるべきか?このままだと誰も選ばないで終わっちゃう。
まあそれは最後の1人が終わった後に考えよう。
「そこの君で最後だよ」
最後は、俺よりも身長が低い可愛らしい少年だった。
彼は無言で立ち上がり、俺と対峙した。
「なんも武器持ってないけど大丈夫?俺は爪とかあるけどそっちはないでしょ」
「心配しなくていい。もうあなたの動きは分かったから」
声高いな。
そこまで言うならちょっと期待しようかな?
「いきます」
掛け声と同時に、少年は颯爽と俺の方へ向かってきた。
まあまあ速い。けど期待してたよりは遅い。
そんな風にじっくりと少年の出方を観察していたら、何か違和感を感じた。
気配を感じる。周りの人間の気配じゃない。もっと無機質なものの気配だ。
どっからだ?下か?上か? これ後ろだ!
もうすぐそこまで迫ってきている気配を感じたので、俺はすぐに体を捩って横を向いたら、目の前を氷の刃が通り過ぎた。
あっぶな! 頭に刺さったら死ぬだろこれ。
そう思った束の間、こちらに向かって来ていた少年は、俺が避けた氷の刃を掴み、すぐさまこちらに振り下ろして来た。
「やべ」
驚きの連続で反応が遅れた俺は、避けるのは無理そうなので、氷の刃を爪で受け止めた。
つめたい。爪がひんやりする。
俺は一旦冷静になって、少年を弾き飛ばして距離をとった。
「へへっ、面白いことすんじゃん。でももう俺に小細工は通用しないぜ」
「いや、もう終わり。あなたに傷を負わせた」
「え? まじ? どこに?」
「足」
俺は自分の足を見てみると、血が少し垂れていることに気付いた。
いつこんなのつけられた?
「あなたは感覚が異常なほど優れているけど、目の前の敵とぶつかったら興奮状態になって、警戒が疎かになる。だから、剣と爪がぶつかった瞬間に、あなたの足目掛けて気付かれない程度の、極小の氷を放った」
「あっ、解説ありがとうございます」
「これであなたの言う通りなら合格だけど。何か文句ある?」
「いや、ないっす」
自分を囮にしたのか……。俺にダメージを負わせたらって言ったし、合格なことになにも文句はない。
合格だとわかると、少年はすぐに元の位置に戻り、ちょこんと座った。
まあこれで1人は選べたし、メイダの様子確認しよ。
「ご主人様はどう? 決めれた?」
「2人いい感じのがいたわ。1人はミライよ」
「ミライってすごいの?」
「魔力量が他と比べて断然多いわね。しかも貴重な回復役だから、選ぶのは当然よ」
「もう1人は?」
「まあ1人は魔力量は普通だけど、すごく繊細な魔法を使うのよ。応用がきいて使えると思ったから選んだわ」
これでメイダが2人で俺が1人選んだから、5人になったな。
「白の選抜はこれで終わりー。選ばれた人はまだ残ってな。この結果に言いたいことがあるやつは、俺のとこに来てくださーい」
俺に太刀打ちできないことが分かったのか、最初威勢が良かったやつも、とぼとぼと帰っていった。
来年がんばってくれ。
俺とメイダ合わせて5人以外が帰った後、俺は自己紹介タイムを設けることにした。これから頑張ってくチームだし、互いの理解は重要だって漫画で見たからな。




