第26話 もしかして!?
神社で出会った男性の話に、大きなヒントをもらった。
早速、昔からこの辺りに住んでいそうな人を探してみる。
でも、このあたりは新興住宅地で、引っ越してきた人ばかりだった。
もう少しで、何かわかりそうなのに、進まないのがもどかしい。
「うーん、なかなか難しいな」
「難しい顔をしてどうしましたか?」
頼んでいた資料を届けに来た永瀬くんが、唸っている私に気がついた。
「この辺りに、昔から住んでいる人を探しているんだけど、なかなか見つからなくてね」
「そうなんですか。確かに、みんな離れたところから会社に来てますよね。」
「でも、なんで探しているんですか?」
まあ、確かに不思議だよな。
なんて答えたらいいか考えていると、
相沢くん(永瀬くんの奥さん)がやって来た。
「お弁当、渡し忘れてた〜!ごめんね〜!」
永瀬くんは、お弁当を受け取ると、照れくさそうにしている。
「今日は、いなり寿司にしたの。張り切って作っていたら、渡すのを忘れてた」
「ぜんぜんいいよ。お弁当、いつもありがとう」
なんとも初々しい会話だ。
二人の幸せオーラが眩しいぞ!
「いなり寿司を作れるなんて、はるかさんすごい!」
「私も、作ってみようかな……」
相沢くんの手料理に感心した静田くんが、ポツリと呟いた。
なるほど、彼に作ってあげたいんだな!?
うちの課のメンバー、みんな幸せそうじゃないか!!
「なんだよう、みんな幸せで羨ましいぞ!!」
静田くんの隣の席から、突然、嘆き声がした。
あ。佐藤くんには、まだ春が来ていないんだっけ。
「あー、佐藤くん、君も頑張り給え」
前の彼女と別れて以来、独り身らしい。
「佐藤、だから早く、神社の狐の像を直せって言っているのに。」
永瀬くんが、佐藤くんに言った。
「そうですよ、佐藤さん。神社の狐にぶつかって倒したから、罰が当たったんですよ」
相沢くんも、佐藤くんに厳しめだ。
「わざとじゃなかったんだ。それに、石でできているんだぞ。そうそう持ち上げられないって」
「そんなこと言ってるから、彼女が戻ってこないんじゃない?」
静田くんまで、加わった。
「なんだよなんだよ、みんな自分が幸せだからって!」
「茜〜!!戻ってこ〜い!!」
佐藤くんは、机に突っ伏してしまった。
これはダメだな……。
というか、佐藤くんは、狐の像を倒したって言ったか!?
これは、もしかして……?
「佐藤くんが倒した狐の像、どこにあるんだい?」




