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【SF5位達成】『哀しみのマグナム』リバイバル  作者: 虫松
第六部 宇宙空間戦線

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第七話 細菌兵器(バイオ・マグナム)

宇宙戦艦《ノア》前方宙域。

火星航路上で静寂を裂くように、数百の推進炎が散開した。

それはまるで、地獄の底から吹き上がる赤黒い嵐だった。


「地獄の傭兵部隊、《ブラッディ・キャンディ》接近中!」

通信士の報告に、艦橋の空気が一瞬で凍りつく。

レーダー画面には、異常な生体反応を帯びた敵機の群れ。

それはただの機械ではなかった。機体と生物が融合した“バイオ兵器マグナム”だった。


「お菓子の国を作るんだぁぁ!」

「戦艦を沈めれば、ボーナス倍増だぞ!」


傭兵どもの狂った叫びが通信を通じて響く。

その中心に双子のように並ぶ二つの機体。

兄ヘンゼルの《エボラZ》と、妹グレーテルの《サルモネラY》。

どちらも、生体細菌を組み込んだ禁断のマグナムだ。


「来るぞ!」

マーシャルが短く指示を飛ばす。

艦内スピーカーが鳴り響き、ジャンヌが笑いながら立ち上がった。


「ほら、男ども。迎撃しな!ついでに一人二人、宇宙の塵になってこい!」


「了解だ……」

バーバラが立ち上がる。金属の義手が鈍く光る。

「どうせ行くなら、派手に踊らなきゃね。」



◇◇◇



五機のマグナムが射出ゲートから宙へ放たれた。

アクスの《ホワイトアーク》、ディックの《ミサイルアーミー》、イーグルの《ブルーバード》、バーバラの《レッドパッションダンサー》、そしてマーシャルの《ホワイトナイト》。


無重力空間で光の尾を引き、敵陣へ突入していく。


「宇宙での初戦だ。目で追うな、感覚で読め!」

マーシャルの声が響く。


「天の怒りの三連メガビーム砲、発射ぁっ!」

ジャンヌの叫びとともに、ノアの艦首から閃光が走った。

空間が歪み、白熱の光線が敵群を貫く。


「うわぁああ!アーマーが溶けるぅ!」

「甘く焦げた匂いがするぅぅ!」


爆発。衝撃波。断末魔。

虚空で咲く光の花――しかし、敵はまだ生きていた。


「お兄ちゃん、きれいだね……」

グレーテルの舌なめずりが通信に混じる。

「じゃあ、ボクらもプレゼントをあげようか。あははは!」


赤い霧が放たれた。

それはただの煙ではない。超微細なバクテリアの群れが、電磁波を媒介して機械に侵入する“細菌兵器”だった。


「バーバラ、離れろ! それは毒ガスだ!」

マーシャルが叫ぶが――もう遅い。


赤い霧に包まれたマグナムの装甲が泡立ち、内部から軋みを上げた。

「ぐっ……!動きが……」

バーバラが唇を噛む。

視界が赤く染まり、センサーが次々に死んでいく。


「効かないねぇ。私たちのマグナムは“再生”するんだよ。」

グレーテルが笑う。

その声の裏で、兄ヘンゼルの《エボラZ》が緑の霧を噴き出した。


「緑と赤のダブルウイルス、いっくよぉ!」


ガスが傭兵の仲間をも呑み込んだ。

「ぎゃあああっ!」

味方のマグナムが次々に感染し、動力停止。中の人間は熱を上げ、発狂し、沈黙した。


「緑色と赤色の機体に同時にギャラクシー5を仕掛ける」


「同時って離れているぞ!」


マーシャルがモニターにむかって叫んだ。


「イーグル、囮になって引きつけろ! 時間を稼げ!」


イーグルは片手でスロットルをにぎり締め、軽口を投げつける余裕のないまま返す。

「アクスちゃーん、ヒドーイ! ガスに当たったらどうするんですかァ!」


「お前の機動性でギリギリ交わせるだろ!」アクスの返答は即答だった。声には覚悟が滲んでいる。


ディックは手元のパネルに集中しながらも、震える声でつぶやく。

「ミサイル、準備……もうすぐ全弾発射できる!」


「プログラム ギャラクシー5 発動!」


「もう、やる事決まったんですか!独裁者め!」

イーグルの機体はグレーテルの機体に突撃した!

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