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【SF5位達成】『哀しみのマグナム』リバイバル  作者: 虫松
第二部 ヨーロッパ大陸戦線

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第八話 宿命の対決

象部隊は次々と内部から破壊されていった。

腹部に仕掛けられた爆薬、神経系へのジャック、そして装甲裏からの銃撃

地球軍の象部隊はその巨体ゆえに、崩れ落ちる時の衝撃もまた甚大だった。


ズズゥゥゥン!!

ガゴォン!!


爆音と共に、砕けた象の残骸が地面を転がる。


ハンガリー前線、マーシャルとバーバラの機体の前に、火星軍の中核部隊が現れる。


ドミノ軍曹が率いる特殊部隊、そして――

アーマドコアの精鋭、アクス・ディック・イーグルの三機が、静かに立ちふさがった。


(真ん中の機体……あれがアクスね)


バーバラのマグナム機は即座にロックオン。


そのとき―


「おいおい、どーすんだよ、アクス。何か手があるのか?」


ディックは背筋を走る悪寒に、思わず声を震わせた。


「白い機体がマーシャル大佐デスネ。隣の赤いのは……誰でしょうネ」


イーグルは淡々と、しかし慎重にガドリング砲を構える。


アクス「…………」


マーシャル「…………」


その沈黙を破ったのは、バーバラだった。


「大佐ができないようなら、あたしがやるよ」


突如、赤いマグナム機が疾風のように突進してきた。


「ひぃーっ!赤い機体がしかけて来たぁー!」


「プログラム、デルタアタック発動!」


「トライアングルフォーメーションね……」


◆戦術名【デルタアタック】◆


挿絵(By みてみん)


三機のアーマドコアが縦列から三方向へ分かれ、鋭い三角形を描く。

中心にバーバラを包囲し、一斉に銃撃。


ダダダダダッ!!


しかし。


「……遅い!」


バーバラの機体は、まるで戦場で舞うバレリーナのように、弾幕を優雅に舞ってかわす。



「機体の性能が違いすぎるようだね。それっ」


バーバラのナイフがディックの膝関節を斬り裂いた。


ブチッ!


「足が動かない!」


次の瞬間、バーバラはイーグルの右足に飛びかかり――


メキィッ!!


「オーノーウ、動けマセーン!!」


アクスは茫然と、その光景を見ていた。


(駄目だ……実力の差がありすぎる)


三機が一瞬で壊滅状態。自分が動いても結果は同じだと、心のどこかで悟っていた。


「大佐、いいのかい?」


バーバラは静かに、アクスの機体に近づいていく。

ナイフを構え、振り上げた。


その刹那。


ガシッ!!


マーシャルの白い機体が、バーバラの腕をつかんで止めた。


「バーバラ、撤退するぞ!」


「…………」


(お前にはあの時の貸しがある。生きのびろよ!)


その言葉は言葉にせずとも、伝わった。


マーシャルとバーバラの機体は、戦場を離脱し、輸送機に収容された。

その姿をアクスは、沈黙の中で見送った。



戦場でドミノ軍曹が動いた。


「……ハンニバル将軍、ついに止まったか。」


司令室に響いたその声に、一瞬の静寂が走る。


「よし、空軍、爆撃開始! アーマードコア部隊は続いて、サーベルタイガを叩け!」


火星の赤空を裂くように、爆撃機が次々と発進していく。


――ボォォォンッ!! カァァァンッ!!

轟音と共に爆発の火柱が吹き上がり、地表を真っ赤に染めた。


「ガードカウンター、発動!」


アクスの機体が前進し、サーベルタイガ部隊に真正面から突っ込む。


◆戦術名【ガードカウンター】◆


挿絵(By みてみん)


盾で敵の攻撃を受け止め、そのままぶつかって吹き飛ばし、

体勢を崩した敵に集中砲火を浴びせる近接迎撃戦術。


「行けえぇぇ! 盾で吹っ飛ばしなぁ!!」


ドォォォン!!


サーベルタイガの機体がひしゃげ、「くの字」に折れて吹き飛んだ。


「頂き子猫ちゃん♪」


イーグルのマシンガンが牙をむく。


――ダダダダダッッ!!


砲弾がサーベルタイガのコックピットを貫き、爆発四散させた。


「象の部隊、突撃せよぉぉっ!!」


怒声が響く。全高10メートル超の鉄の象たちが、怒涛のごとく突進してくる。


「退けぇぇっ!!」


アーマードコア部隊が散開、左右に別れた瞬間だった。


――ズドォォォォンッ!!


先頭の象部隊数体が、地中に仕掛けられた巨大な落とし穴に落下。


「罠だッ! 止まれ! 止まれぇぇッ!!」


だが、止まらぬ象。後続が先頭を押し込み、さらに犠牲が続出。


そのとき――


「突撃だ!!」


ドミノ軍曹率いる特殊部隊が動いた。黒い影が一斉に跳び出す。


「腹部に爆薬設置! 内部から突入するぞッ!」


パシッ、パシッ、パシィィィン!


腹部に仕掛けられた爆薬が次々に爆発。装甲が裂け、象の内部へ通路が開かれる。


「よし! 各班、内部侵入!制御中枢を破壊しろ!」


爆炎の中、影のように侵入していく兵士たち。


象の内部は制御室では火花が飛び交い、警報が鳴り響いていた。


「象の部隊が……全滅しそうです!」


後方の高台から、その様子を双眼鏡で見ていたハンニバル将軍が叫ぶ。


「……ここで退けば、地球軍の我が名が廃る。絶対に退けん!」


ハンニバル将軍は歯ぎしりしながら前線へ歩み出そうとした。


その時


ドゴォォン!!!


遠くで、巨大な象の1体が内部から火を噴いて崩れ落ちた。


マーシャルとバーバラのアーマードコアは、静かにその様子を見守っていた。


「……ひどい有様ね。」


バーバラの赤い機体がつぶやく。


「奴ら、本気だ。」


マーシャルは言葉少なに返す。


「どうする、大佐? もう止まらないよ。ドミノ軍曹たちは突き進む。」


「……わかっている。」


爆発の向こう側で、ドミノ軍曹の隊がついにハンニバル将軍の座する中央象に到達。


パンッ! パンッ!!


数発の乾いた音のあと―


ハンニバル将軍討ち死に。

戦局は完全に、火星軍へと傾いていく。


「……ハンニバル将軍、銃殺された。」


通信が届くと同時に、すべての象部隊が沈黙した。


「……終わったな。」


マーシャルは目を閉じた。

バーバラの機体が肩越しに振り返る。


ハンニバル将軍がいなくなったヨーロッパは火星軍の統治下となった。

ヨーロッパでの戦いが終わり。アクスは曹長となった。

イーグル、ディックは軍曹となった。それぞれ進級した。

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