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【SF5位達成】『哀しみのマグナム』リバイバル  作者: 虫松
第二部 ヨーロッパ大陸戦線

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第七話 ハンガリーでの再戦

――マーシャル視点――


ハンガリー地球軍拠点。湿った風が、空気に鉄の匂いを漂わせている。

遠くで警報が鳴り響き、兵士たちが慌ただしく走り回るのが見えた。


「ハンニバル将軍、火星軍が攻撃をしかけてきました!」


司令部に緊張が走る。その声を聞いた瞬間、私は嫌な予感を覚えた。

敵はアーマドコア部隊。派手に突っ込んできては退却を繰り返す戦術だ。見え透いている。


「また来たか!しつこい奴らだ!殲滅してくれるわ。全軍出撃開始せよ!」


将軍は咆哮し、躊躇なく出撃命令を下す。だが私は、口を挟まなかった。彼の性格はわかっている。


静かに足音が近づいてきた。


「大佐、火星軍がしかけて来ましたわ。」


声の主はバーバラ。長い髪を束ねたまま、整備班のデータ端末を携えている。息を切らしていないところを見ると、すぐに私を探しに来たようだ。


「罠をしかけてくるに違いない。後方から支援して様子を見よう。」


私は答えた。彼らは真正面から戦うつもりなどない。陽動か、誘導か、あるいはもっと複雑な構図か。


「了解です、大佐。」


バーバラはすぐに部隊へ伝達に走った。


私はゆっくりと、戦術マップを睨んだ。数分前に取得した敵部隊の動き。微細な速度の上下。交互に出入りするアーマドコア。――やはりな。


「一点集中ではない。複数のフェイントを含む、多段構成……」


だが、情報が足りない。こちらが動けば動くほど、彼らの狙いに引き込まれる可能性が高い。


私は即座に判断を下す。


「中距離砲陣形を保て。前進はせず、敵が踏み込むまで待つ。レーダーのノイズも解析しろ。恐らく爆撃機が来る。」


予想はすぐに的中した。空が唸るような音を立てて、火星軍の爆撃機編隊が接近してくる。

ハンニバル将軍は、前線で待ち構えていた。


「ハンニバル将軍止まったか。……よし、空軍から爆撃後、アーマドコア部隊はサーベルタイガ部隊を叩け」


敵の作戦を読み取ったのは一瞬だった。彼らは私たちを静止させ、重装部隊を“焼き払った後”、急襲してくる。わかりやすい。しかし――


わかっていても止められない作戦こそ、最も恐ろしい。


「ガードカウンターでサーベルタイガ部隊は破壊する。」


アーマドコア部隊の隊長アクスの声が、戦場通信から流れた。あの男――読めない。

肉体的な反応も、戦術の癖も奇妙に揃っていない。だからこそ、不気味だ。


爆撃音がハンガリーの地を焼く。


ボーン…ドカーン!!


ボーン…ドカーン!!


火の雨が地を染め、煙の向こうから現れるアーマドコア。サーベルタイガ部隊が突撃しようとする、その刹那。


「盾で吹っ飛びなぁ!」


アーマドコア部隊の重装機が、タイガを大きく弾き飛ばした。

反撃の隙も与えず、そこに集中砲火が浴びせられる。


ダダダダダダッ――どカーン!!


「……くそ、動きが洗練されている。演習じゃない、“実戦慣れ”だ。」


私は歯を食いしばった。


地球軍の象部隊が突撃を開始するも、それすらも敵の“導線”の上を進んでいた。


「退却しろ、象が突進するぞ!」


叫ぶが遅い。敵は象の行動範囲を完全に読んでいた。左右に展開するアーマドコア――その先には罠。


「象部隊、罠だ!止まれ!」


だが叫びもむなしく、先頭の数頭が落とし穴に落ちていった。

そこに現れる、ドミノ軍曹率いる特殊部隊。象の腹に次々と仕掛けられる爆弾。


「……完敗か。」


私は握った拳を解き、深く息を吐いた。

マグナム・ヴァイスのコックピットに乗り込む前に、ひとつ通信を入れた。


「バーバラ、あの樹獣 象に仕掛けている特殊部隊の動き、分析を急げ。あれは次の作戦への“布石”だ。敵はこのまま引かない。」


そして、私はつぶやいた。


「この戦場に、感情を持ち込む余裕はない。だが次は、こちらから叩く。」


重く、静かに。白いマグナムの起動音が響いた。


再戦は、まだ始まったばかりだった。


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