表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界事変 ~狂いし妄者は殺戮の日々を味わう~  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/101

第90話 異界事変⑲

 "終焉"の攻撃が止まった。

 疲労によるものではなく、単に区切りが付いたからだろう。


 ようやく手の空いた俺は周囲の光景を眺める。

 誰も彼もが等しく死に果てていた。

 まだしぶとく生き残っているのは、俺の他には医者と騎士のみである。


 その戦況を前に手を打って苦笑する。


「こいつは最高の展開だな。助っ人が全滅しちまった」


「笑っている場合かね」


「絶望して泣き喚けば満足かよ」


 背後の医者に言葉を返す。

 視線は"終焉"に固定しているので表情は分からないが、医者の口調はまだ冷静だった。


「まあ、彼らは役目を果たしてくれた。おかげで"終焉"は消耗している」


「あいつらを使い潰すのも計算のうちか」


「当然だろう。犠牲無しで勝てる相手ではないからね」


 医者は平然と述べる。

 今はこうして味方のような関係になっているが、そもそもこいつは冷酷な死霊術師だ。

 教会の裏の仕事を任されていた汚れ役である。

 基本的な倫理観は外道そのもので、目的のためならば何であろうと切り捨てられる性格をしていた。

 だからこそ信頼できる男なのだ。


 三人の妄者を始末した"終焉"は、静かに佇んでいる。

 そして感情に乏しい口調で呟いた。


「弱い。もう終わり?」


「言ってくれるじゃねぇか。お前こそ弱ってるぜ。大丈夫かよ。なんなら手加減してやろうか」


「馬鹿にしないで」


「ハハッ、これくらいで怒るなよ。ただの冗談さ」


 俺は飛んできた光の槍を打ち払いながら笑う。

 無機質に見えるが、やはり感情は備えているようだ。

 むしろ子供っぽい印象さえ受ける。


 能力は反則気味ながら、精神面に脆さを感じた。

 数少ない弱点と言えるだろう。


 俺はゆっくりと歩み寄りながら"終焉"に提案する。


「さて、そろそろ互いに本気を出していこうか。準備運動はこれくらいで十分だろう」


「いいよ」


 "終焉"が答えると同時に、周囲を巡る裂け目が巨大化した。

 裂け目はその場に固定されると、途端に何もかもを吸引し始める。

 大地が重力に逆らってめくれ上がり、空間ごとひしゃげながら圧縮されて消えていく。

 無数の裂け目が空も大地も空気も無差別に吸い込んでいった。


 そうして取り込まれた分だけ空間に皺が寄って歪む。

 歪みがさらなる歪みを生んで、それらは連鎖しながら最果ての地を変貌させていく。

 "終焉"を中心に、世界が不可逆の破壊を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 第90話到達、おめでとうございます! ……妄者殺しの女騎士、装備による強化が有るにせよ、人の身でまだ生き残っているのが素晴らしい。 ぜひとも、ハワードや大王医者と共に勝って生き延びて欲し…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ