↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界事変 ~狂いし妄者は殺戮の日々を味わう~  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/101

第47話 死霊退治⑪

(常人が妄者の力を制御できるのか?)


 俺は当然の疑問を抱く。

 妄者は特殊な存在で、ただの人間とは絶対的な隔たりがある。

 それを無視して己の力にするとは、かなりの無茶だろう。

 普通は何らかの不具合が生じて自滅する。


 しかし、目の前の医者は見事に実現させていた。

 哭いた片腕は、歪ながらも安定している。

 ただの幸運や偶然などではない。

 彼自身が、知識と技術で成功させたのだろう。


「僕は昔から負けず嫌いでね。妄者という理不尽な存在に屈するのが我慢ならなかったのだよ」


「ならお前も妄者になればいい」


「駄目なんだ。妄者になったら意味がない。僕は人間のまま妄者を超えたかった」


 医者は毅然とした態度で述べる。

 その双眸は、内なる狂気を垣間見せた。

 揺るぎなき対抗意識だ。


 俺は医者の精神力の根幹を悟る。


(人並外れた劣等感と拒絶。それがこいつの力であり、妄者になれない原因か)


 この男なら妄者になる素質があるが、本人が拒んでいる。

 妄者を嫌いながらも、憧れと劣等感を抱いていた。

 そうして芽生えた執念が、奴の力を支えている。


 医者は騎士を指差しながら語る。


「そちらの"妄者殺し"は卓越した戦闘技術で二つ名を得た。僕は知識で挑むことにした。その集大成がこの腕だ」


「大した成果だな。感動で涙が出そうだ」


「皮肉も称賛として受け取っておこう。君には理解できないことだからね。僕だけが僕の努力を知っている」


 医者は己に言い聞かせるように語る。

 表面上は正気を保っているが、実際はかなりの狂気を持っているようだ。

 そうでなければ、妄者の移植なんて不可能であった。


 俺は指の刃を擦り合わせながら観察を続ける。


(あの腕……よく馴染んでやがる。医術と死霊術の合わせ技か)


 本人の能力を考えるに、そう解釈するのが妥当だ。

 どちらか一方が欠けた時点で成し遂げられないことである。


 医者は嬉しそうに片腕を撫でる。


「妄者は能力の発動を"哭く"と表現するね。僕はこの解放を"起こす"と呼んでいる。なかなかに的を射ているとは思わないかな」


「どうでもいい。さっさと殺し合おうぜ」


「やれやれ、血気盛んなことだ」


 医者は肩をすくめると、妄者の片腕を前に持ち上げた。

 そして、全身から禍々しい魔力を放出していく。


 死霊術師の力だ。

 奴を中心に土壌が汚染されている。


「妄者を超えた僕の力を披露しよう。あっけなく死なないでくれ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! [気になる点] >「そちらの"妄者殺し"は卓越した戦闘技術で二つ名を得た。僕は知識で挑むことにした。その集大成がこの腕だ」 妄者殺しは今でも隙有らばハワード…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。