第十話 緊急招集
目が覚める。そうだ、そうだ。俺はあっちでは何の役にも立たないただの屑だった。でも、ここでは違う。人生をやり直して見せる!
ベッドから起き上がると洗面所に向かう。といってもここは、ファンタジー世界、なんでもありだ。歯磨き、洗顔と自動でやってくれる。ふう、なんて便利な魔法なんだ。
朝食をとろうと一階の食堂へ向かう。すでに冒険者や旅人たちでそこそこ賑わってるみたいだ。
「リョウイチさん!こっち、こっちです!」
アリエルが手を振っている。朝から元気いっぱいだな。
カウンターで朝食の乗ったお盆を受け取り、席へ着く。
「おはよう、アリエル。元気だね」
「はい、私はそれだけが取り柄なので!」
「いやいや、そんなことないだろう」
雑談をしながら朝食を食べ始める。内容は、パン、ベーコン、サラダ。どれも、らしきものだが。味はあっちの世界とほとんど変わらない。ううん、文化的だ!
「今日はどうするんですか?」
「うーんまあ、今日も地道にクエストを達成していこう」
「なるほどー。じゃあ、そうしましょう!」
朝食を食べ終わりお盆をカウンターに返すと俺達は宿をチェックアウトして外へ出た。チェックアウトするときもあのおやじ……ニヤニヤしてやがったな。
城外に向かって歩き始めて少しした途端、鐘が鳴り響き始めた。緊急招集か……
「アリエル、招集らしい。城へ急ごう!」
「はい!楽しみだなあ、やっとリョウイチさんの出番ですね!」
城に向かって歩き始めると、なにやら前方に冒険者のパーティらしき集団が見えてきた。まさかと思ったがそのまさかだった。勇者の一行じゃないか!俺も……勇者だけど。
ええとあれは、剣の勇者か。名前は、そうそう清水勇っていう奴だったな。あの翔とかっていう奴じゃなくてまだよかった。
とはいってもなんか嫌なので、早めに通り過ぎようと足を速めた。だが、しかし……
「おお、学術の勇者のリョウイチさんじゃねえか!」
あっちから話しかけてくるとは……
「仲間も出来たんじゃねえか、よかったな!お嬢さん、俺はイサム・シミズっていうんだ。これからよろしく!」
「は、はい!私は、アリエル・レオーヌっていいます!」
「へえ、アリエルお嬢さんね。リョウイチさん、なかなかやるね!」
この勇もあのおやじと同じような頭なのかよ、おい!
「まあな。ハハハッ!そっちはずいぶんと大勢で?」
勇のパーティは彼を含め6人だ。仲間は女3人、男2人。勇を入れれば3人。バランスが取れている。
「ああうん。リョウイチさんは、その、なんというか……ご愁傷さまなこって」
「いいんだ、いいんだ。仕方がない。あと、俺のことはリョウイチでいいよ。さん付けしなくても。たった一歳差なんだからさ」
「そうか。じゃあ、リョウイチ。一緒に城まで行こうぜ!」
「あ、ああ」
こいつは、なんかいい奴そうだ。




