第一話 プロローグ
俺は北川涼一。22歳引きこもりだ。
もうこんな生活を始めて6年になる。
両親も最初は、引きこもりから脱却できるようにと応援していてくれたが、最近は、どうやって俺を追い出そうか画策している始末。
「あー昔に戻れればなー」
そんな言葉をつい、つぶやく。
なんでこんなことになったか分からない。俺だって昔は、昔は……。
二人兄弟の兄として生まれた俺は、小中の頃は、頭がいいねと褒められていた。
友達もたくさんいて、充実した中学校生活を送っていた。
高校も地元の進学校に進学。人生は明るい。そう、その時は思っていた。
頭のいい高校には、いじめなんてない。俺は、安心していた。だが、俺はいじめられた。
いじめたやつらは、同級生のリーダー格の奴らだった。なぜかいじめられたかは分からない。たぶん、俺の何かが鼻についたのだろう。
ばれやすい暴力などはせず、罵倒や物を隠す、壊すといったいじめ。知恵のあるやつらのいじめだった。
担任の先生に相談しても、逆に俺があいつらをはめようとしていると疑われる有様。
俺は、耐え切れず二学期の半分あたりで退学した。
その後の俺は、ネットとゲーム、漫画に没頭した。
そんな生活の途中、いろいろと俺もやってみた。
大学入学のために勉強してみたり、小説家になろうと自作の小説をネットに投稿したりした。
だが、それもすべて途中であきらめた。俺には無駄だと。
その間、弟は俺の入った高校とは違う高校を卒業して、有名大学に入学。いまでは、両親は弟にすべての期待をかけている。
戻りたい、本当に戻りたい。
だが、俺は考えるのをやめた。いまさらどうしようもない。さあてと、やりかけのゲームを再開するためにパソコンに向かう。
すると、デスクに見慣れない本が置いてある。いかにも古そうな革装の本だ。
「おかしいな?」
俺は、少し驚いて、ぼやくようにして言った。
こんな本さっきはなかったはずだ。俺は興味を惹かれて、表紙を見た。
「四勇者救世伝」
いかにも、王道といった題名だ。
俺は、椅子に座り、四勇者救世伝を開いて読みだす。
中身もいかにも王道といった話だ。魔王が蘇り、世界が危機に瀕する。滅亡の運命から逃れるために人々は、古来から伝わる秘伝の魔法で、異世界から勇者を召還して助けを求めた。その勇者たちは、剣、槍、弓、魔術の達人であった。というもの。
本当に王道そのものとしか言いようがない。なんだか眠くなってくる。本に使われている紙や革も本当に古そうだし、昔の小説なんだろうから、しかたがないけど。まあ、ここまで来たら最後まで読み切ってやろう。どうせ引きこもりなんだから、時間は余りまくっている。
本が終盤にさしかかろうというときだ。なぜか、眠気が急激に襲ってくる。
俺はどうにかして、眠らずに最後まで読もうとしたが無理だった。
俺の意識は消えていった。




