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閑話回想13 一対のスピード、背水の陣

 



ヒョウは一瞬後ろを振り返り、馬車が遠のいていくのを確認した。

「行ったか。よし、殺人コウモリども、来い、俺が飛べないようにしてやる」

 ヒョウの目の前にいる魔物の奥に人型がみえた。


「魔族め、毒殺しようと諮ったか。だが、その思惑は全て俺が壊してやる」


「くけけけ、シエラを逃がしたか。だが、帰るところはわかっておる」


「何だお前は魔族か」


「いかにも、我はダラフの洞窟に住む、魔族ダラスエルだ」


「ダラスエル? フ、俺に殺されに来たのか」

 ヒョウは鼻で笑った。


 魔族は動揺の色一つも見せない。黒装束の魔族は高笑いした。


「笑止だな、我を見くびりすぎだ、小僧め」


 魔族は一瞬動きを止めたが、再び間合いを詰めだした。


 一歩踏み込めば、至近距離での戦いになるのは必至だった。


「普通の人間風情の剣士が我に勝てるはずもなかろう」


「普通の人間ならな、お前はわかってない。ディスチャージ」


 ヒョウの左手に瞬時に魔剣が現れた。


 透明状態を解除したのだ。


「なに? 剣だと?」


 魔族はいびつな形の剣をみ、驚きの色が隠せなかった。


 目を見開いた。

「その剣から発する魔闘気? まさか、魔剣アイスブレイカー?」


「フン、さすが魔族だな、よくしってやがるぜ、御名答だ」


「おのれ、なぜ、シエラの所に魔剣士が」


「かかってくるなら、全力でくるんだな、そうしないとお前は一撃だ」


「おのれぃ、愚弄しおって、いけ、キラーバルド!」

 命令を聞くと殺人コウモリが一斉にヒョウに集っていった。


 それを上手いこと、ヒョウは一撃一撃を紙一重で躱していく。


「(速い、瞬速移動で)いけ、オートナイフ!」


BYU!


 ヒョウの左手から自動で発射される、小型ナイフが何丁も発射された。


 普通の人間ならまず、躱せない速度だった。確実に直撃している。


 しかし、キラーバルドの飛行スピードは凄まじかった。


 ヒョウは瞬速移動をしながら、躱し、発射していくが、ほとんど躱されていく。


「ち、オートナイフの速度より速いか。(残りあと二丁どうする?)」


「小僧、妙な武器を持っているな。どこ製だ? 機工都市か?」

 ダラスエルはにやりと不気味に笑い、横やりを入れた。


 そんな言葉に耳を貸すヒョウではなかった。


「余裕ぶってんな、そこだ!」


BYU!


 ダラスエルの首元目掛けて発射された二丁のオートナイフは首に直撃というところで、見事に二つの両腕の指に挟まれて止められた。ヒョウのオートナイフはもうない。


「笑止、そんなナイフごときで我が倒せるとは思えんがな」


「ちぃ、からか。(どうする、殺人コウモリの数が多い、それに速い。紙一重で瞬速移動をしなければ、やつの毒牙にかかる)」


 ヒョウは懸念し眉毛を顰めた。しかし、動じるヒョウではなかった。


 切り返しが早く、すぐに対処できるのがヒョウの回転力と戦闘の才があるところだ。


 ヒョウは不敵な笑みをみせた。


 魔族と対峙する。


 間合いに入る所だった。周りには殺人コウモリがわんさかいる。


 どうするヒョウ? 


 嚢中にはなにか、秘策があるものと考えられる。



 次の瞬間、一瞬のうちに事態は急変した。














☆☆

更新予定。

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おはようございます。

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