第百十九話 機械師団バラロサ
ファイたち三人は、ずっとニミュエを誘拐した犯人を追っていた。
目の前に犯人が走っている。
ファイが躍起になって走りながら言った。
「待て、小僧!」
「くそ、なんて、脚の速い野郎だ」
ヒョウが苦言をいう。確かに犯人の小僧の脚は、普通の人よりはるかに速かった。
おまけに、道には人が沢山いてスムーズに前に進めなかった。人を三人はかき分けながら走っていた。
「この人の群れさえなければ、簡単に追いつくのに」
ウィードが悔しそうな顔つきで言った。
「へへん、ついてこれるもんならついてきてみな」
そういった矢先だった。
「煙幕弾!」
「ぐ、なに!」
「煙? 毒か?」
「いや、ただの煙だろうぜ、ほら吸っても大丈夫だ」
ファイたち三人は、煙で前が見えなくなり一瞬立ち往生した。
そして、三人は、煙のない所へ出た。
その瞬間、犯人の姿は何処へか消えていた。
「しまった、逃げた!」
ちょうど、煙幕が張られたところは、右左、前に進むことができる三方別れの交差点だった。どの方向に犯人がいったか見当がつかなかった。
「くそ、三方向の分かれ道か」
「ここは、僕たちみんな分散しましょう」
「俺はこっちだ」「じゃぁ、僕はこっちに」
「よし、俺はまっすぐ行く」
ヒョウが右に進み、ウィードが左に、そして、ファイはまっすぐ進むことになった。
そして、俊敏な動きで進んでいく。
そのとき、ファイたちが走っている建屋の上に例の犯人がいた。
犯人は不敵な笑みを見せ、嘲笑った。
「(へへん、馬鹿だな、建物の上にいるとも知らずに)ちょろいもんだぜ」
いうと、犯人はニミュエを見遣った。どうやら、鳥かごに鍵がかけられている。
それに鳥かごには言葉が外に聞こえないように壁のような透明のものが仕掛けられていた。音を吸収する素材のようだが。
「お前は、高く売れるぞ、俺たちの生活も当分、安泰だ、へへへ」
「えい!(んー、ファイ―)」
ニミュエはかごの持ち手のてっぺんの所だけ吸音材が張られてないのに気づき、そこからあるものを投げた。それは上手く下にあった、商店の水桶の中に入った。
「お前、今、何を投げた?」
「あんたになんか教えるもんじゃないわよ。早くここから解放して」
言葉は犯人に聞こえてないだろうが、ニミュエがそういうと、次の瞬間とんでもないことが起こった。
「きゃー、なに、この巨人!」
なんと、投げたものが水桶に入ったところから、水の巨人が誕生していた。
これはもしや?
「ん、何の騒ぎだ?」
ファイにもその騒ぎは聞こえた。
当然他の二人にも聞こえているものと察する。
「あれは、アクアゴーレムだ、ニミュエの武器の特殊効果だ」
ファイも覚えていた。ヘルムンガンドと戦った時、ニミュエが使った水仙針の特殊効果だった。
「ニミュエは近くにいるのか」
「ニミュエ―、どこだッ」
ファイはアクアゴーレムの方に走っていく。
「ち、気づかれたか、退散するか」
犯人は悔しそうに舌打った。
「(ファイ―)」
とりかごに入れられたままニミュエは連れられて行く。ニミュエは涙目だった。
そのときだった。
「ファイ、あそこだ、あの建物の上だ」
「ヒョウ! それにウィード様まで」
ヒョウが言うと同時に建物の屋上を指さした。
確かにそこには例の犯人がいた。ニミュエの姿も確認できる。
ウィードが一歩前に出た。
「見つけた。遠距離なら僕に任せて」
同時にウィードは背中に背負っていた魔剣を引き抜いた。
「はあああぁッ、魔剣フィンウィンドよ、風の弾よ出でよ」
ラスタが噴出し、魔剣から、数発の風の弾丸が飛び出て犯人の方へ飛んで行った。
「ウィンドブリッド!」
「畜生、なんだ、あの武器は」
そういい、上手く犯人は屋上から屋根を伝い、地上に降り立ち、走っていく。
DWOOOOONNNN!
ウィンドブリッドは例の犯人がいた前方、後方の地面に突き刺さった。
一体どうなる?
ウィードの目には勝算の色が浮かんでいた。
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