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幻想怪物討伐組織  作者: 眼鏡 純
2話:『蠢く影』
99/176

B─2─3─2

 (そう言えば麗華って辛いの好きだったような…)

十刃はぼやけた記憶を頼りに、ハバネロシュークリームを購入すると、麗華の元へ戻っていった。


 十刃が戻ってきた時に、麗華はまた空中に『PERFECT』の文字を表示させていた。そしてまた観衆から拍手が送られた。

「ふぅ…」

流石に疲れた麗華は、休憩するべく個室演習場から出た。観衆は出てきた麗華を褒めてから解散していく。麗華自身はいつもの事をしただけなのに、何故こんなにも賞賛されたのか疑問を抱きながらも、通路の休憩用の長椅子に腰掛けた。

「よ、麗華。」

その時に声をかけてきたのは十刃であった。

「緋雀十刃か。君も訓練してきたのか?」

麗華が綺麗な桃色の瞳で十刃を見詰める。

「いや、散歩がてら麗華に会いにきたんだ。」

「私に会いに?それに何の利点がある?」

麗華が真顔で首を傾げる。

「いや…利点とか言われると難しいんだけど…。ま、まぁ同じ隊の仲間なんだし、コミュニケーションをとりにきたって思ってくれ。」

「……確かに隊内の信頼関係を築いておくのは大事なことだ。」

麗華は納得してくれたようだ。十刃としては何か腑に落ちないが。

「それで、差し入れとしてこれを渡したくって。」

十刃は先程購入したハバネロシュークリームを麗華に差し出した。

「これは…!ハバネロシュークリーム…!」

普段は感情を表に出さないタイプの麗華だが、ハバネロシュークリームを前にした瞬間、確認が出来るくらいの喜びを顔に浮かべた。そして十刃からハバネロシュークリームを奪い取るように受け取ると、すぐに開封してパクッと一口食べた。

「……美味しい…!」

少し興奮気味の表情で十刃を見詰める麗華。

「はは…本当に辛いのが好きなんだな。まぁ喜んでもらったなら良かったよ。」

十刃は麗華が喜んでくれたことに安堵の笑みを浮かべると、麗華の隣に腰掛けた。

「麗華ってさ、自由時間の時ってずっと自主トレしてるのか?」

十刃が気になっていたことを訊いてみると、

「ずっとは体に悪い。しっかりとした休息も必要だ。」

麗華は真顔で返答した後、ハバネロシュークリームを一口食べる。

「いや、そうなんだけど…。じゃ、じゃあ質問を変えるな。その休息中には何をしているんだ?」

「そうだな……本を読んだりしている。」

麗華は返答した後に、ハバネロシュークリームの最後の一口を口に入れた。

「へぇ〜どんな本を読むの?」

「武術や剣術、銃術などの本だ。」

「……それって本というより…指南書じゃないか?」

十刃が苦笑いしながら訂正すると、「……そうとも言うかもな。」と、麗華が真顔で肯定した。

(ホント…麗華って狩人(カサドール)の鑑みたいな生活してるな…)

十刃が大きく溜め息をついた。

「そうだ。シュークリームの礼をしなければ……」

麗華が何かお礼をしようとすると、

「別にいいよ。ただの差し入れだし。」

十刃が笑顔で大丈夫だよと告げた。

「……そうか。ならばお言葉に甘えよう。だが改めて礼は言わせてほしい。ありがとう、緋雀十刃。」

麗華が少し微笑むと、その可愛さに十刃は顔を赤らめ、視線を少し逸らした。


 二人の会話が終わった時、同時に腕時計型スキャン装置へメールが届いた。

「ん?誰からだろ?」

十刃がスキャン装置を操作し、メールを開ける。

「送信者は字史隊長。内容は…『ホープビルの会議室に集まれ。』のこと。」

麗華が送信者の名前と内容を読み上げる。

「受信者はナンバーズ全員…ということは任務か。」

十刃が告げると、麗華がコクッと頷いて賛同する。

「行くぞ緋雀十刃。」

「ああ。」

二人は支度を終えると、指示されたホープビルの会議室へと向かった。


【壱桜麗華:『好感度1UP』】


〔Cへ〕

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