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「奢ってもらえるんだからさ、ちょっとくらい付き合ってやったら?」
十刃は二牙の主張に乗ると、綾を優しく説得した。すると綾は顎に手をあて、数秒間考えた後、結論を出した。
「……はぁ…十刃君もそう言うなら仕方がない。不服だが共にクレープを食べてやる。」
ようやく綾が折れ、溜め息混じりに二牙の誘いを承諾した。
「お〜ありがとう十刃。君のお陰で助かったよ。」
二牙は十刃の背中をポンと叩いて礼を言う。
「そうだ十刃君、君も一緒にどうだい?」
綾が十刃も一緒にクレープを食べようと誘う。
「そうだな〜…」
十刃は横目で二牙を見ると、二牙の赤い瞳が何かを訴えていた。
「……い、いや、俺はもうちょっと腹が膨れるものにするよ。」
十刃はアハハと笑いながら綾からの誘いを断った。
「……そうか、ならば仕方がないな。」
綾が諦めると、二牙が十刃の耳元で囁いた。
「空気を読んでくれてありがとう。」
そして十刃の背中を綾から見えない角度でポンと叩くと、十刃を置いて綾の元へ向かった。そして二牙と綾は十刃と別れを告げ、クレープ屋の列に並んだ。
【園明寺二牙:『好感度1UP』】
一人になった十刃は、本来の目的である空腹を満たすためにラーメン屋へ向かう。そしてラーメン屋の列に並んでいると、後ろに並んできた女性二人組が二牙について会話を始めた。
「ねぇ見て!クレープ屋に園明寺様が並んでいるわよ!」
茶髪の女性が二牙に気が付き、隣の金髪の女性に教える。
「うそっ!?どこどこ!──ホントだ!やっぱりカッコいい〜!」
興奮する女性二人。
「でも知っている?園明寺家の噂。」
「噂?」
茶髪の女性の意味深な言葉に、金髪の女性が興味をもつ。十刃も聞き耳を立てている。
「ちょっと裕福な家系の知り合いから聞いたんだけどさ、園明寺家って所謂ちょーお金持ちの家系なんだけど、家族関係はすっっごい悪いらしいよ。」
「え〜うそ〜そんなに悪いの?」
「ホントに噂だけどね。」
そんな女性二人の会話を聞いていた十刃が、
(今の話が本当なら…二牙の奴ってなかなかの家系で育ったんだな。)
そんな事を思っていると、自分の順番に回ってきたので、醤油ラーメンを頼んだ。
休憩スペースで食事を終えた十刃が満足気な顔をしていると、クレープを食べ終えた二牙と綾に再度合流した。
「十刃君、メールをチェックしたかい?」
「メール?」
綾に言われ、十刃が左手首に巻いている腕時計型スキャン装置を操作し、メールを開いた。そこには新着のメールが一通届いている。
「送信者は…字史隊長じゃないか!?」
メールの送信者の名前を見て十刃が驚く。
「そのメールはナンバーズ全員に一斉に送られていて、内容は『ホープビルの会議室に集まれ。』ってさ。」
二牙がメールの内容を告げる。
「そっか…ま、隊長からのご命令だ。素直に従って会議室に行くか。」
十刃はゴミを捨てた後、二牙、綾と共に指示されたホープビルの会議室へ向かった。
〔Cへ〕




