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幻想怪物討伐組織  作者: 眼鏡 純
2話:『蠢く影』
82/176

B─1─2─1

 「奢ってもらえるんだからさ、ちょっとくらい付き合ってやったら?」

十刃は二牙の主張に乗ると、綾を優しく説得した。すると綾は顎に手をあて、数秒間考えた後、結論を出した。

「……はぁ…十刃君もそう言うなら仕方がない。不服だが共にクレープを食べてやる。」

ようやく綾が折れ、溜め息混じりに二牙の誘いを承諾した。

「お〜ありがとう十刃。君のお陰で助かったよ。」

二牙は十刃の背中をポンと叩いて礼を言う。

「そうだ十刃君、君も一緒にどうだい?」

綾が十刃も一緒にクレープを食べようと誘う。

「そうだな〜…」

十刃は横目で二牙を見ると、二牙の赤い瞳が何かを訴えていた。

「……い、いや、俺はもうちょっと腹が膨れるものにするよ。」

十刃はアハハと笑いながら綾からの誘いを断った。

「……そうか、ならば仕方がないな。」

綾が諦めると、二牙が十刃の耳元で囁いた。

「空気を読んでくれてありがとう。」

そして十刃の背中を綾から見えない角度でポンと叩くと、十刃を置いて綾の元へ向かった。そして二牙と綾は十刃と別れを告げ、クレープ屋の列に並んだ。


【園明寺二牙:『好感度1UP』】


 一人になった十刃は、本来の目的である空腹を満たすためにラーメン屋へ向かう。そしてラーメン屋の列に並んでいると、後ろに並んできた女性二人組が二牙について会話を始めた。

「ねぇ見て!クレープ屋に園明寺様が並んでいるわよ!」

茶髪の女性が二牙に気が付き、隣の金髪の女性に教える。

「うそっ!?どこどこ!──ホントだ!やっぱりカッコいい〜!」

興奮する女性二人。

「でも知っている?園明寺家の噂。」

「噂?」

茶髪の女性の意味深な言葉に、金髪の女性が興味をもつ。十刃も聞き耳を立てている。

「ちょっと裕福な家系の知り合いから聞いたんだけどさ、園明寺家って所謂ちょーお金持ちの家系なんだけど、家族関係はすっっごい悪いらしいよ。」

「え〜うそ〜そんなに悪いの?」

「ホントに噂だけどね。」

そんな女性二人の会話を聞いていた十刃が、

(今の話が本当なら…二牙の奴ってなかなかの家系で育ったんだな。)

そんな事を思っていると、自分の順番に回ってきたので、醤油ラーメンを頼んだ。


 休憩スペースで食事を終えた十刃が満足気な顔をしていると、クレープを食べ終えた二牙と綾に再度合流した。

「十刃君、メールをチェックしたかい?」

「メール?」

綾に言われ、十刃が左手首に巻いている腕時計型スキャン装置を操作し、メールを開いた。そこには新着のメールが一通届いている。

「送信者は…字史隊長じゃないか!?」

メールの送信者の名前を見て十刃が驚く。

「そのメールはナンバーズ全員に一斉に送られていて、内容は『ホープビルの会議室に集まれ。』ってさ。」

二牙がメールの内容を告げる。

「そっか…ま、隊長からのご命令だ。素直に従って会議室に行くか。」

十刃はゴミを捨てた後、二牙、綾と共に指示されたホープビルの会議室へ向かった。



〔Cへ〕

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