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「では…ドライアド討伐班でお願いします。」
十刃が自分の入る班を決定する。
「了解した。──では、これで作戦会議を終了する。各自準備を済ませ、十分後にガレージに集合せよ。」
字史が作戦会議を終了させると、全員各々の返事をした後、自分の部屋へと戻っていった。
十分後。様々な種類の車やバイクが置かれているガレージに集合したナンバーズは、全員バイクに股がっている。
「準備はいいなお前達?」
先頭にいる字史がブルートゥースを使ってナンバーズに確認すると、ナンバーズのメンバーから各々の返事で準備完了を告げられた。
「これより、ドライアド、グリフォン討伐作戦を開始する。相手としてはさほどだが、一瞬の油断が命取りだ。充分に気を引き締めろ。俺からの命令は一つ…死ぬな。」
字史の目的確認と命令を聴いたナンバーズは、了解!と声を揃えて返事をした。
「ナンバーズ出動!」
字史はバイクのエンジンを鳴らして走り始めた。ナンバーズのメンバーも順番にバイクを走らせる。そして最後に走り出すのは十刃。
(……よし!)
初陣の不安から少し震えていた手を止めると、バイクのアクセルを回した。そして二十メートルほどの通路を走行した後、ワープゲートに入った。そして目の前に広がったのは、一週間前に人生で初めて見た外の世界であった。
(またこの景色を拝めることになるとは…)
十刃は前を走るナンバーズを追いながら、自分の周りに広がる大自然を堪能する。
「森が見えたらドライアド討伐班は別行動に移れ。グリフォン討伐班はそのまま森へ入り、グリフォンを討伐する。」
先頭を走る字史が最後に行動の確認をすると、ブルートゥースを通じて全員から了解の返事がきた。
そして五分ほど草原を走ると、前方に高い木々が生い茂る森が見えてきた。
「見えてきたな…ドライアド討伐班!別行動に移れ!」
字史の号令を合図に、十刃含むドライアド討伐班は、グリフォン討伐班と別の進路へ変更した。
別行動を開始したドライアド討伐班は、森の東を回って北側へ移動中である。
「なぁ、そう言えばこっちの班の指揮って誰がとるんだ?」
バイクを走らせながら、凛之介が同じ班のメンバーにブルートゥースを使用して問う。
「あてや凛之介はんには統率力はないし、初陣の十刃はんにも無理や。そうなると、綾はん、麗華はん、それか霧宗はんの誰かが妥当やね。」
花魁の着物にバイクというミスマッチを発生させている天星が答える。
「ならば私は参歌花綾を推薦する。」
麗華が綾を推薦する。
「わ、私だと!?私に統率なんて不可能だ!」
まさか自分の名前が出るとは思っていなかった綾が謙遜する。
「私は戦闘には自信はある。でも的確な指示を出すことは出来ない。隊長に必要なのは強さより判断力だ。参歌花綾、君にはその判断力がある。」
麗華が綾を推薦した理由を淡々と告げる。
「き、霧宗君は?霧宗君だって頭が良いだろ?」
綾が霧宗を勧めると、
「確かに私は頭は良いですが、だからと言って判断力があるわけでありません。私も参歌花の方が指揮官としてふさわしいと思いますよ。」
霧宗も綾を指揮官として推薦する。
「霧宗君まで…。でも私にそんな大役は…」
まだ綾が踏ん切りがつかない時、十刃と凛之介が左に広がる森の中で何かが動いたことに気が付いた。
「おい!何かいるぞ!」
凛之介が叫ぶと、十刃も続けて叫ぶ。
「こっちに来る!」
次の瞬間、バキバキと木々を薙ぎ倒して現れたのは、全長約三メートル、闘牛の頭をもち、首から下は筋肉質で毛深い人間の体の幻想怪物であった。
──その名は『ミノタウロス』。
その数は三頭。一頭ずつ武器を所持しており、戦斧、大剣、棍棒の三種類である。
「……っ!全員バイクを下りて戦闘準備!」
綾が咄嗟に命令を下すと、他のメンバーは全員バイクを下り、データチップ化させてポーチに収納すると、各々のファンタジーマタールを具現化させて戦闘態勢となった。
「どうするよ代理指揮官?」
凛之介が自分のファンタジーマタールである『金属バット』を構えつつ、右隣にいる綾に尋ねる。
「本当に私なのか……」
綾はまだ代理指揮官になる覚悟は決まっていなかったが、駄駄を捏ねている状況ではないため、半ば強引に自分に言い聞かせ、代理指揮官の肩書きを受け入れた。
「……敵は三頭!二人一組で迎撃せよ!」
綾が命令を下すと、近くにいた同士でペアを組み、一斉にUFを起動した。
十刃は綾と組み、戦斧を持ったミノタウロスと対峙することになった。
「私がメインでダメージを蓄積させる。君はフォローを頼む。」
麗華がファンタジーマタールである二丁の『ガンソード』を構える。十刃もファンタジーマタールである刀を構えつつ、了解と承諾した。
「ヴモオォォォオォォオ!」
戦斧ミノタウロスが叫びながら、両手で握る戦斧を振り上げ、十刃と麗華に向かって振り下ろした。十刃は右にステップして回避し、麗華は真上に跳び上がると、そのまま空中からミノタウロスの体に何発も銃弾を浴びせた。だが筋肉質の体は伊達ではなく、銃弾を弾き飛ばし、一発も貫通しなかった。
(固い…ならば…)
麗華は動揺することなく、冷静に次の攻撃を仕掛ける。一丁のガンソードを拳銃から剣の柄へと形を変換させると、鍔となった銃口から粒子の刃が出現した。
「はぁああ!」
麗華は落下速度を加え、粒子の刃をミノタウロスの左肩に突き刺した。
「ヴモオォォォオォォオ!」
ミノタウロスは己の体を振り回し、左肩に乗る麗華を振り落とそうとした。麗華はより粒子の刃を突き刺すことにより耐える。
「麗華!」
十刃は暴れるミノタウロスの脹ら脛を切り裂いてバランスを崩し、仰向けに転倒させた。麗華は粒子剣を引き抜いて拳銃へ形を戻すと、十刃の元へ後退する。
「次の私の攻撃で瀕死まで追い込む。止めは君に任せた。」
麗華の作戦に、十刃が分かったと頷いた。
「ヴモオォォォオォォオ!」
立ち上がったミノタウロスは戦斧を構え、怒りに任せて振り回してきた。麗華は一切怯むことなく、真っ向から迎撃する。
「次は弾かれない…」
麗華が二丁のガンソードから風属性の銃弾を連射する。銃弾の一発一発に風を纏わせたことにより、銃弾の回転速度が増した。つまり、貫通力が増したということだ。風の銃弾はミノタウロスに次々と命中し、その度に風穴を空けていく。
(よ、容赦ねぇ〜…)
ミノタウロスは倒すべく敵。それは当然だ。だとしても、表情を一切変えない女性に淡々と銃弾で体を撃ち抜かれている姿を見ていると、ほんの僅かばかり同情が生まれる十刃であった。
「ヴモォオォォォォオオオ!」
ミノタウロスは最後の力を振り絞り、麗華に向かって戦斧を薙ぎ払ってきた。麗華は真上に跳び上がってそれを回避した瞬間に、ミノタウロスの両目を風の銃弾で撃ち抜いた。それによりミノタウロスは戦斧を離し、両手で両目を押さえた。
「今だ緋雀十刃!」
麗華が十刃に止めを刺せと叫ぶ。十刃は分かったと返事をすると、刀を構えてミノタウロスで走り出した。
〔頭を刺しにいく→L─1へ〕
〔心臓を刺しにいく→L─2へ〕




