第103話 にゃ
「そっか。なら仕方ないね。」
桜も桜で納得しないで!?もしかして桜の認識もバグってきたの!?
☆☆☆
「お姉ちゃん、異変を解決しに行くの?」
「うーん…」
いまだに夜は明けていない。そして卯月もいる。
「にゃっ」
なんか窓際から変な声が聞こえたような気がする。
窓際を開けて見てみる。
暗い空が見えるだけだった。
「気のせいじゃないかな?」
桜の言う通り気のせいだったのかもしれない。
猫のような鳴き声が聞こえたような気がするけど。
僕らは今異変の解決方法について話し合っている。
「見つけ出して倒さねばならんのじゃ。」
「戦闘と外出は不可避。」
「外出しても大丈夫かな。誰かに見られないかな。」
不安はそこである。多分誰かに見られる気がするけれども。
「うーん。たしかにお姉ちゃんの格好は異常だから誰かに見られそうだよね」
僕の体は異常だ。異常の反対ってなんて言うんだっけ。
普通?通常?無常?まあいいや。
あまり外に出るには推奨されていない。なにかに見を隠さなきゃいけない。
ガリガリガリガリ
窓を爪で引っ掻くような音が聞こえる。やっぱり何かいるのではないか
卯月が窓に近付き、扉を開けた。
「うにゃ。」
「のじゃ。」
卯月と今の僕を混ぜ合わせたような青色の狐っ娘がいた。
「私の妹にゃ!」
目を合わせた途端、僕の方を指さして青色の狐っ娘はそういった。
☆☆☆
「お姉ちゃんは 私 の お姉ちゃんだよ?」
桜が反論する。"私の"と言う部分だけ強調されていた気がしなくもない。
「妹の弥生にゃ」
弥生。旧暦で3月を表す言葉だ。この青色狐っ娘もきっと旧暦の名前なのだろう。
「ぼくはやよいじゃないです。」
「あれ?弥生も水色の髪と狐耳が特徴にゃのに。」
「言われてみれば凄く似てるのじゃ」
どうやら弥生は水色らしい。
僕の髪色も水色と言ってもいい。かもしれない。
「私は水無月にゃ!よろしくにゃ!」
水無月というらしい。水無月は6月を意味する。
それにしても卯月と同じくらいの子である。
頭領様もこんな感じなのかな?
「お姉ちゃんきせかえたいむはじめるよー!」
桜が突然そんなことを言い出した。
「いみがわかんない。」
「意味がわかんないじゃなくて流石に水着で外に出るのはダメだと思うんだ。獣耳生えてるし。」
「妾達の狐耳尻尾は隠せるのじゃ。」
卯月が狐っ娘じゃないとなんか違和感しかない。水無月も同様。
それにしてもどうやって隠してるのだろう。
桜は部屋から出るとトントンと階段を降りて1階に降りていった。なんなんだろう。
「これは幻術なのじゃ。」
「幻術にゃ」
幻術?
「幻術とは、視覚に作用し目に見えるものを別のものに見せる術なのじゃ」
幻覚とか目の催眠とかそんなもの?
「だいたいその認識であってるのじゃ」
「頭領様も隠神様も使うから大変だにゃ。」
頭領様もきっと狐の種族なのかな?隠神様って…どんな種族なんだろう。
とりあえず、人を騙せる種族なのだろう。妖怪かな。
「お姉ちゃん!これきてよー!」
と桜が服を持ってきた。メイド服だった。流石に無理だ。
しかも見るからに桜のサイズだ。
僕が着ても袖が余るしサイズがあっていない。
「やだ」
「えー。」
「それは流石に妾もどうかと思うのじゃ。」
それにしても何処にあったんだろう。こんな服は持ってないはず。
卯月も拒否している。卯月が着る訳ではなく僕が着るのだけれども。
「まあ、サイズあってないよね。私も変装しなきゃならないし」
なんで?僕は首を傾げる。
「お姉ちゃんわかってないようだね。私はお姉ちゃんの友達にあったことがあるよ?」
「そだっけ?」
「そだよ?市河とか名乗るお姉ちゃんの友達と坂城とか言ってたかな?」
悠くんと愁くんだ。桜も会ったことあるんだ。何時あったんだろう。
「悠くんと愁くん…」
「去年のことだからあまり覚えてないけども…」
桜も変装しなくちゃいけない。変装しなくてもバレなさそうだけども。
☆☆☆
桜がメイド服をしまわずそのまま桜は着て
次に持ってきた服は魔法少女服だった。魔法少女は悲惨な末路が…
あれ?なんか変な洗脳じみたものが聞こえたような気がしたんだけども
でも間違ってないよね。魔法少女っていえば大体アニメは欝な展開があったりする。
「お姉ちゃん、着てみて。」
「いやだ」
「妾も無理なのじゃ」「流石に引くのにゃ」
そういえば妖怪の世界に魔法少女とかっているのかな?
「いないのじゃ、魔女ならいるのじゃ。」
魔女って妖怪だっけ?妖怪じゃなかったような気がするんだけれども。
桜のメイド服結構似合っているような気がする。
「でもそれだとひとめひくからさくらはいつものふくでいいとおもう」
「えー。」
なんでそこで不満そうにするかなあ。僕も変装は嫌だよ。
「妾は幻術で姿変えられるのじゃ、変装はいらぬのじゃ。楓も幻術は出来そうなのじゃ。」
「ぼく?」
僕が幻術を覚える?どういう風に?どうやって?そもそも妖力なんてないでしょ?
幻術って妖力でやるものだよね?間違ってる?間違ってないよね?
「例えば、そうなのじゃ、うーん。どろん。」
卯月が一瞬消えたかと思ったらそこには短く活発そうな黒髪の少女がたっていた。
やんちゃしてた頃の桜だった。小学生くらいの頃かな。
あの頃の桜は男の子にしか見えなかったから違和感がなかったんだっけ。
みんなでよく遊んでいた。今の子達は外で遊ばないけど。
桜の子供の時の姿を思い出す。僕より身長高いのがあれだけれども
「桜を元にして化けてみたのじゃ、化けれてるのじゃ?」
凄い上手だった。
「懐かしい、ちっちゃい頃の私だ。」
やっぱり桜も卯月の幻術に思うところがあるようだ。可愛かった。
今も桜は十分に可愛いけども。
☆☆☆
「ぼくもばけれるの?」
「確かにお姉ちゃんなら出来そうな気がする。」
「お姉ちゃんも化けよ?」
卯月が僕に目線を合わせ桜っぽい口調で話しかけてくる。ちっちゃい桜が話しかけてるようで
なんか変な気持ちになる。泣きそうな気持ちになる。
目線を合わせている時点で僕の方がお姉ちゃんじゃないと傍から見れば思われそうなきがする。
「そもそもどうやって…」
「それはこう、妖力を体全体に覆わせるの。」
妖怪にとっては当たり前なのだろう。説明があまり上手とは言えない。
僕は妖力を思い浮かべる。果たしてそれは失敗か成功か、頭の中に眩い白色の光が見えた。
眩い白色の光は凄く輝いている。
僕はそれを手に取るようにイメージすると手の中から体全体に染み渡らせていく
「凄い妖力なのじゃ、もしかすれば頭領様以上なのかもしれないのじゃ。」
桜の姿をした卯月が吃驚している。口調が素に戻っている。
「なににばければいい?」
「うーん。じゃあ、私に化けて!お姉ちゃん!」
桜だった。桜が挙手をしていた。可愛い。
けれど桜に化けるのはあれだから卯月と瓜二つに化ければいいのかな?
僕は目を瞑る。桜の小さな頃の姿を思い浮かべた。
なんか引き締まった感覚がする。皮に包まれているような感じだ。
目を開いてみよう。手が写った。ちっちゃくてぷにぷにした白くて汚れのない子供の手だった。
変わってないように思える。
「凄い、私が2人居る!」
桜の声が聞こえた。驚愕しているようだった。




