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私の初恋。  作者: 葵 扶桑花
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8/10

#8 雨

強い風。黒い雲。

今にも降り出しそうな雨。

人通りが少ない道。

只々何事もなかったように歩く私。


あたかも何事もないようにーー…。


「美香ちん、おはよ〜。」

「…風佳。おはよう。」

「今日ってさ〜雨振りそうじゃない?だから念の為、傘持ってきたんだ〜。」

「まじか。天気予報では晴れって言ってたよ?」

そう何事もなく接するのにすごく苦労して。

貴方のせいで私は大変だったなんて…………って人のせいにするのは駄目だってば。

「え〜。じゃあただの荷物になったかも〜(笑)」

「あはは…。」


ーーー…


「皆、席に着いて〜。HR始めまますよ〜。」

今日はどんな日になるんだろう。

楽しい日になるかな。

悲しい日になるかな。

悲しい日にならないといいな…なんて。

「「「起立、礼、おはようございます。」」」

ほら、彼もいつも通りじゃん。

私、なに、目赤くして昨日泣いてたわけ?

まだ本当かどうか分からないんだから。

もう、諦めても……。

「美香ちん?どうしたの?なんか今日沈んでるね?」

「別にそんな事ないよ〜(笑)」

1オクターブ高い声で何事もなかったように接する。

これが1番いい方法。

…良い方法なんだから。

風佳は優しすぎる。

周りをちゃんとみてる。

さすが班長。って言っても推薦したの私だけど。


改めて、1日って長いなって思った。

色んな事があった。

プリントを回す時に彼と手を触れてしまい、自分が赤面していないか不安だった。

風佳はすごく優しい子なのにヤキモチを妬く自分が嫌だった。

でも

何もかもなかったように。

いつも通り接しられるように。


ーー…

窓ガラスに一滴の水が落ちた。

どんどん落ちてきて、まるで水玉模様のようになった。

雨が降ってきたのだ。

風佳、傘持ってきて正解だったと思うよ。

あー私、今日傘持ってきてないや。

別に夕立だと思うし1時間くらいしたら止むよね?


1時間たっても振り続けている。

やばい。

どうしよ。

風佳に傘、貸してもらおっかな…。

でも相合い傘っていう年頃じゃないし。

なおかつ女子と女子だったら気狂いにも程がある。

今は掃除時間。

下校時間までに止むと良いんだけどー…。


『ザーーーーーッッ!!』

雨は一層強く降る。

私はもう下駄箱まで来ていた。

もう、無しで行くのかな。

情けないな〜。

「はぁ…。」

ため息が漏れた。

「美香ちん?大丈夫?やっぱり傘忘れてるでしょ〜?もう、貸してあげるからさ!風邪ひかないようにしなよ?」

「大丈夫、大丈夫!!折りたたみ、いつも持って来てるから本当に平気。風佳の方こそ自分で使いなよ?」

「持ってたのか〜。ごめんね〜。お節介だったかな?」

「全っ然!本当大丈夫だから!」

「そう?じゃ、気をつけて帰ってね。」

あーあ。行っちゃった。

しょうがない。もう、1人でー…。

「…っ…やっべ。傘忘れた。」

その小さな小さな声を私は逃さなかった。

え…。彼も傘、忘れたの?

同じ…でも傘、貸してあげられない。

私も忘れたから。

2人でトボトボびしょ濡れで歩くってのも手かも。

でもなんか青春青春してて嫌だな。

そもそもどうやって誘うの?

どうしたの?傘忘れたの?同じだね〜っていてお終い?

それとも良かったら忘れた同士一緒に歩くって誘う?

こうしている間に時は流れる。

「拓真?何?お前傘忘れたの?」

風佳だの声だ。

「ん…まぁ…そういうことになるのかな?分かんね。」

「それって忘れてんじゃん。ほら!家近いんだから一緒に帰るよ!傘貸すから。」

「はっ?女子のなんか使いたくねーし。」

「んもう!いいから!じゃあたし傘なしで帰るから!」

「それ駄目だろ。お前風邪引くぞ。」

「じゃああたしの傘の中に早く来いやッ」

「…。」

「相合い傘だけはやめてくれ。」

「わぁってる!」

2人はそう言い合いながら同じ道を2人で帰っていった。

あ…あ…

もう駄目だ。

なんだろ。

なんか見ちゃったな。

これで私、1人で帰るんだ。

何それ?訳分かんない。なんか今日本当最悪。

瞳の奥から何か熱いものが込み上げてくる。

泣くな。泣くな。泣くな。

涙が滴り落ちてくる。

本当泣きすぎ。

雨で誤魔化そうとした。

雨で濡れて…。

「…もぅ…本当、何のなの…? 」

たとえ涙が隠せたとしても鼻は赤く泣いた後が残る。

そんな日でも必ずいい事は起きるんだから。


そう信じて、私はその後を完全に消してから家に入った。

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