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73 土の精霊


 フィニス達と別れ、別の道を歩くエラリスとルシオ、そしてアルテアの3人。

 どれくらい歩いたのだろう。しばらく歩いていると、少し開けた空間に辿り着いた。

 エラリスが灯を少し強めると……薄暗い空間の真ん中に突如現れるひとつの影……


「マジか……」

「目の前に現れるまで気づかなかった……」

「まさかこっちが当たりだなんて……」


 目の前の影が3人を睨みつける。


『何しに来た……』


 両手から伸びている鋭い爪。全身を覆う硬そうな鱗。ひと噛みで何でも砕きそうな牙と顎。まるでドラゴンのような風貌のその影が……


 ちょこんと地面から顔を出していた。


「かわいい……撫でてもいいですか?」

『うぬ……少しならば良かろう』

「いいのかよ……」


 しゃがみ込み、もぐら(?)の頭を撫でるアルテア。


「あなたは精霊?」


 エラリスが凛々しい顔でアルテアに撫でられているもぐら(?)に尋ねる。


『いかにも……私はモラティ。土を司る精霊だ。そしてお前達は何の用でここまで来た?』


 その答えを聞いたエラリスが、目を閉じてモラティの魔力の波長を合わせる。


『……!?』


 魔力のシンクロが終わり、ゆっくりと目を開けるエラリス。


「私と契約をしてほしい」

『……なるほど。エルシアの娘か』

「私は孫。おばあちゃんを知ってるって事はやっぱり……」

『あぁ。エルシアと契約をしていた。最後まで力になれずにすまなかったな……』


 首を左右に振るエラリス。


「おばあちゃんとはほとんど会った事なかったし。きっと貴方達と契約をした時点でそう言う覚悟はあったと思うから」

『そうか……』


 ふっと笑うモラティ。


『エルシアと同様に魔力操作ができるのであれば、契約をしてやらないこともないのだが……』


 言葉に詰まるモラティを見て、リヴァレーの時のことを思い出したルシオが口を開く。


「この奥にいる魔族が気がかり……とか?」


 ルシオの言葉に目を見開くモラティ。


『よく分かったな……その通りだ。そいつのせいでここの砂漠化が進んでいる。そいつさえ倒してくれれば心置きなく契約をしよう』


 ルシオ達と目を合わせ、小さくガッツポーズをするエラリス。


「わかった。この先にいるの?」

『いや、あいつ反対側だ。最近は魔力が回復してきたのか、たまに坑道内をうろつくこともあるが……基本的にあそこからは動かない』

「ってことはフィニス達が危ないな……急いで……!」


ドォーン!


 坑道に鳴り響く爆発音。


「この魔力……ニティア!」

「急ぎましょう!!」

「あぁ!」


 急いで踵を返し、その場を後にする3人の姿を見続けるモラティ。


『私も行くか……』



 薄黄色に光っている開けた空間に、もくもくと煙が立ち込めている。


「随分な挨拶だな」


 ニティアの前でふたつの剣を構えたフィニスが煙の向こう側に見える影を睨みつける。


「けほっけほっ……ごめん、ひとつ防げなかった」

「あれくらい問題ねーよ」


 徐々に薄れていく煙の奥から現れるひとつの影。


『なかなかやるやん、あんたら』


 黒く大きな鎌を両手で構え、黒い鎧を全身にまとった風貌。もちろん胸元には……赤黒く染まったコア。

 だが、今まで会ってきた黒い魔族達とは異なり、胸元のコアにはヒビひとつ入っていなかった。


「やっぱり魔族か……しかもコアが全く欠けてないってか……」

『なんや?おたくらウチらのこと知っとるんか?』


 フィニスの言葉に少しだけ目を見開き、興味津々な様子で女性のような高い声を発する魔族。


「ノクスが創り出した魔族だろ?」

「お仲間達をもう何体も倒してるわよ」

『え?あのムカつくガノスも?』

「あの魔法使いなら俺が倒した」

『気持ち悪いホルスも?』

「あのゾンビなら私が倒したわよ」

『ギースのじいさんも?』

「もう死んでる」

『……』


 2人の話を聞き、一瞬だけ目を伏せる魔族。


『マジかぁ……いい場所見つけたから、あいつらにも教えたろ思っとったのに……』


 鎌をゆらりゆらりと揺らす魔族。


『ほんならしゃーないな。魔力もだいぶ回復してきたし……あの白い魔女諸共、あんたらにも死んでもらいましょ!』


 足元の煙が小さく舞うのを見逃さなかったフィニス。魔族が一瞬で間合いを詰めて切り掛かるも、ふたつの剣でしっかりと受け止めた。


「っく!」

『へぇ……やるやんけ』

「いい加減慣れないと、話にならねぇからな!!」


 魔族の鎌を弾き返すフィニス。


『楽しなってきたで!ええやんお前!名前教えてや』

「あ?!フィニスだよ!」

『そっちの嬢ちゃんは?』

「……ニティア」

『ほーん。愛想悪いなあんた。まぁええや』

「魔族に愛想良くしてどうすんのよ」

『そりゃそうやな(笑)』


 そう言って距離を取った魔族が再び鎌をゆらゆらと揺らし始める。


『うちはノクス様直属の魔族、レヴスっちゅうねん。久々にやりがいのありそうな相手や、お互い楽しんで行こか♪』

「なんか変わった相手だな……でも……」

「うん……油断はしない。私たちはもう……負けてられないから……!」

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