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世界を救い、そして滅ぼした魔女ニティア  作者: 月白
第2章〜 ギルドと白い影
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24 ぷるぷるふわふわ


「それではお二方、お元気で!またどこかでお会いしましょう!」


 王都に入り、商人と別れた2人。

 たまにジャヌスと一緒に王都へ来ていたニティアとは異なり、人混みが嫌と言う理由であまり来たことがないフィニス。

 人の多さに圧倒されていた。


「どうしようか?」


 ニティアの声で我に変えるフィニス。


「とりあえず、おっちゃんに聞いた店で食べようぜ。フワフワのパンケーキ」

「うん!」


 その言葉に目をキラキラと輝かせるニティア。

 別れる前に商人から聞いていたおすすめの店を目指し、2人は賑やかな城下の街へと消えていった。



「いらっしゃいませ。フィニス様とニティア様でお間違いありませんか?」


 店に入るや否や、ビシッとした服を着た店員が出迎えてくれた。

 名前を呼ばれたことに驚く2人。


「ガルド様からお話を聞いております。私はこの店の店主を務めております、ローウェンと申します。どうぞこちらへ」


 そう言い、ローウェンに案内される2人。


「えっと……ガルド様って……?」

「ロイヤル商会の会長ですよ」

「そうだったんですか!そう言えばお名前を聞いていなかったかも……」

「あの方らしいですね(笑)」


 テーブルに案内されると、改めてローウェンが話をはじめた。


「ここは、ロイヤル商会が経営しているお店でございます。もともとは、食料品を取り扱う小さな商会でしたが、会長の手腕であれよあれよと大きくなりまして……

本当に、会長の命を助けてくれてありがとうございました」


 大きく頭を下げるローウェン。


「あのおっちゃん……本当にすごい人だったんだな……」

「ちょっ!フィニス!!」


 思わず思ったことが口に出てしまったフィニス。

 その言葉にローウェンはくすりと笑う。


「見た目からは想像つかないですよね(笑)。でもあの方の人を見る目は本物です。だからこそここまで大きくなりました。また、職業柄、道中に旅人や傭兵に助けられることも少なくはないのに……」


 笑いながら2人を交互に見つめる。


「その会長が、ここまでお二方を気に入っていらっしゃる。であれば、我々も全力でおもてなしさせていただくだけです」


 ごゆっくりと一言述べた後、ローウェンは店の奥へと消えていった。


「……本当にすごい人だったんだね」

「でもまぁ……その気持ちを、今はありがたく貰っておこうぜ」

「そうだね」


 そう言いながら鼻歌を歌っているニティア。多分頭の中はパンケーキに支配されているのだろう。身体がゆっくりと左右に揺れていた。


 しばらくすると……


ぷるん


 みたこともない揺れをしながらテーブルへと運ばれてくるパンケーキ。もはやパンケーキなのか疑問に思うほどぷるんぷるんしている。

 ニティアはすでに両手にナイフとフォークを構え、よだれを垂らしていた。


「いただきます!」


 たっぷりの蜂蜜と生クリームがかけられたパンケーキをナイフとフォークで一口大に切り……大きな口へ放り込む。


「…………!」


 口に入れた瞬間目を大きく見開いたニティア。次の瞬間には逆に目をぎゅっと閉じて足をバタバタさせていた。


「くぅ〜〜〜〜〜♪」


 このリアクションで、ニティアが大満足したことがわかったフィニスは、自分に運ばれてきた上品に焼かれている肉にかぶりついた。


「……!!」


 この2人の反応にくすりと笑うローウェン。


「このパンケーキはうちの店の中でも1番人気のものです。貴重な朱雀鶯の卵を使用することで、そのぷるぶるふわふわを実現させているんですよ」

「そしてそちら肉は、うちの農場で飼育している一角牛のお肉でして、柔らかい口溶けなのに非常にさっぱりとしている、大好評のお肉になっているんですよ」


 口へ運ぶ手は止めず……


「本当に美味しいです!こんなに美味しいものがあるなんて……」

もぐもぐ


「すごい柔らかいのに、油っぽくなくて……いくらでも食べれそうだ!」

もぐもぐ


 100点満点のリアクション。ローウェンもついつい嬉しくなる。


ガチャ……


「いらっしゃいませー」


 他のお客が来たのか、別の店員がフィニス達の隣のテーブルへ案内する。

 振り返り、席についた客に一度深々とお辞儀をした後、再びフィニス達の方に向き直り、持っていた瓶の封をあける。


ポン!


 その音に反応するフィニス。


「それは?」

「こちらはうちで取り扱っているワインになります」


 お酒と聞いて、慌てるフィニス。


「あ、ごめん!うちら酒は飲めないんだ」


 年齢的には飲んでも問題ない。しかし、以前に一度悪酔いしたニティアは魔法で店を破壊しかけ、フィニスは二日酔いで最悪の気分を味わった経験がある。それ以降、2人はお酒をほとんど飲んでいなかった。


「左様でしたか……確認せずに申し訳ございませんでした……」


 手に持ったグラスとワインを下げようとしたその時……


「ちょっ!それ封開けちゃってるし、勿体無いでしょ!」


 隣に座っているフィニスよりも少し年上の男。


「早く飲まないと風味も落ちちゃうしさ、せっかくなら俺にくれない♪?」


 騎士だろうか。甲冑を着ており、大きな盾をテーブルに立てかけている。

 確かに勿体無いという気持ちもあったため、フィニスはローウェンにあの人にあげてもいいか尋ねると、ローウェンはニコッと笑い、隣のテーブルにワインとグラスを差し出した。


「おぉ!サンキュー!言ってみるもんだ♪」


 そう言って早速ワインを一杯飲み干す男。


「ぷはぁ〜!うめぇ!」


 うまそうに飲む男。


「そこまで喜んでくれるならよかったよ」


 そう言って笑うフィニス。

 酒を飲んでいる男がフィニスとニティアの顔を交互にみると、笑いながら尋ねる。


「そう言えば見ない顔だけど、冒険者か?」


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