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【二十六人目】 恋人にするなら可愛い女子高生か大人の魅力を持つ美女なのか俺が選ぶなんてできない

 今日、俺はお見合いをする。

 親の会社の娘さんだそうだ。

 俺はもうすぐ三十歳だ。


 結婚は当たり前だがしていないし、彼女もいない。

 毎日、仕事してゲームをして好きな物を食べて生きている。


 そんな俺を心配した親が、お見合いをセッティングした。

 結婚なんて興味ないし、彼女なんて必要ない。

 俺が飼っている、猫のモンちゃんだけいてくれればそれでいい。


「お見合いは十時からだから遅れずに行きなさいよ」

「分かってるよ」


 母親に何度も遅刻するなと言われながら、猫のモンちゃんと遊ぶ。

 お見合いと言っても、ただ相手の女の子と会って話をするだけ。


 これをお見合いと言うのか分からないが、お見合いということにしておこう。


「ヤバい。モンちゃんと遊んでいたら十時過ぎていた」


 俺は急いでお見合いの場所へ行く。

 すると道端で座り込んでいる人がいた。


「どうしたんですか?」

「えっ」


 女性は俺を見て驚いている。


「えっと、大丈夫ですか?」

「あっ、大丈夫です。少し目眩がしただけなので」

「そうなんですね。今からどこへ行くんですか?」

「えっ」

「送りますよ。また目眩が起きたら大変ですので」

「えっ、そんな大丈夫です。あなたは遅刻しているでしょう?」

「遅刻? あっ、そうだった」

「私は大丈夫です」

「そうですか? ごめんなさい」

「そんな、謝らないで下さい。心配して下さりありがとうございます」

「えっと、何かあったらここに電話して下さい。ここに俺の携帯の電話番号が載っているので」


 俺は女性に名刺を渡した。

 彼女は名刺を受け取った。

 そして俺はお見合いの場所まで走った。


 お見合いの場所に着いて、窓側の一番端が約束の場所だ。

 女性が座っている。

 何て言って謝ろう?


「あの~すみません。遅れました」

「あっ、大丈夫ですよ」


 俺よりも若い女性のようだ。

 綺麗な女性だ。


「モンちゃんと遊んでいて遅れたと思ったら、女性が体調を悪くしてて、、、」

「ふふっ。大丈夫ですよ。来てくれたんですから。それでいいんです」


 彼女はふんわりと笑った。

 彼女の笑顔は場が和むようだ。


「次は絶対、遅刻しませんから」

「えっ、次があるんですか?」

「えっ、あっ、次? あっ、すみません」

「ふふっ。あなたって面白い方ですね」

「そんなこと初めて言われました」

「あなたといると笑っちゃいます」


 彼女はそう言って微笑んだ。


「今日はどうしますか?」

「今日はあなたのことを教えて下さい」

「俺のこと?」

「はい。モンちゃんって誰ですか?」

「あっ、モンちゃんは俺が飼っている猫なんです」

「どうしてモンちゃんなんですか?」

「お猿さんみたいな模様がおでこのところにあるんです」

「だからモンちゃんなんですね。見てみたいです」

「携帯の待ち受けにしているんですが、見ますか?」


「はい」


 彼女は微笑みながら言った。



 それから彼女に色んなことを訊かれた。

 俺の年齢、俺の仕事のこと、俺の趣味、俺の好きな食べ物など、色んなことを聞かれた。


 俺も彼女のことを訊いた。

 年齢は二十歳で、まだ大学生で、趣味は読書で、好きな食べ物がチョコレートだそうだ。


 そんな話をしていると、あっという間に時間は過ぎた。

 連絡先の交換をして今日は帰ることにした。


「今日は楽しかったです」

「俺も楽しかったです」

「それではまた今度、お会いしましょうね」

「はい。また今度会いましょう」


 そして俺達はそれぞれ違う方向へ歩く。


「あの」


 彼女が叫んだのが聞こえて振り返る。


「あの、えっと」


 彼女は恥ずかしそうに携帯電話を握り締めていた。


「後でお電話しますね」

「はい。待ってます」


 彼女が恥ずかしそうにしていたから、俺から彼女の言いたいことを言った。

 彼女は嬉しそうに笑って言った。


 そしてまた帰ろうと彼女に背を向けて歩こうとした時、携帯電話が鳴った。

 もう、彼女から電話が?


 そう思いながら液晶画面を見ると知らない電話番号が載っていた。

 彼女の番号は登録しているから彼女の名前が出るはずなのに。

 誰なんだ?


「もしもし?」

「あっ、あの。先ほどあなたから名刺を貰った者ですが」

「えっ、名刺? あっ座り込んでいた方ですか?」

「はい」

「また体調が悪くなったんですか?」

「あの。それが、助けて頂きたくてですね」

「ん? 何かありましたか?」

「あの、今から言う所に来て頂けませんか?」

「いいですよ」


 どうせこれから家へ帰るだけなのだから、暇だし彼女を助けてあげようと思った。

 そして彼女に言われた場所へ向かう。


「あっ、ここです」


 彼女とは一度しか会っていないのに、彼女は俺を覚えていた。


「えっと、それでここは?」

「このお店にずっと入りたかったんですけど、カップルしか入れなくて」

「カップル? それってまさか」

「はい。そのまさかです」

「君には恋人がいるでしょう?」

「いないからあなたを呼んだんですよ?」

「俺おじさんだし、こんな若い女の子が好きそうな可愛らしいお店はちょっと」

「えっ、せっかくここまで来たのに?」

「そんな顔をしても無理だよ」


 彼女は泣きそうで、うるうるした目で俺を見たが、俺はそんな可愛い彼女の作戦にはのらない。


「いいじゃん」


 彼女はわがままな子供のように言っている。


「君はもう、大人でしょう?」

「えっ、私まだ高校生だよ? ピチピチの女子高生だよ?」

「嘘だろう? 大人にしか見えないんだけど?」

「それは褒め言葉だよね?」

「そうだと思う」


 彼女は俺の言葉を聞いて嬉しそうに笑った。


 そのまま彼女に腕を引っ張られ、お店の中に入った。

 どこを見てもピンクでキラキラしている。

 おじさんには目が痛くなるほどだ。


「甘い」


 俺は彼女に、甘い何かピンクの食べ物を食べさせられている。

 これはもう、砂糖を食べている。


「美味しいでしょう?」

「ただ甘い」

「もう。それならコーヒーをどうぞ」

「おっ、コーヒーあるんだ?」


 俺はコーヒーを一口飲んだ。


「甘い」

「えっ、コーヒーには砂糖を入れるでしょう?」

「俺はブラックが飲みたいのに」

「えっ、ごめんね」


 彼女はしょんぼりと落ち込んだ。

 他の甘い物よりはマシだ。


「甘くても大丈夫だよ。ありがとう」

「えっ」

「君が俺の為に作ってくれたんでしょう?」

「うん」

「甘くても美味しいよ」

「やったぁ」


 彼女は嬉しそうにピンクの甘い塊を食べていた。

 彼女から教えてもらったのだが、ピンクの甘い塊はマカロンと言う食べ物らしい。


 俺には甘すぎる食べ物だな。

 彼女がいなければこんな物を食べることはなかったかな?


 今日は二人の女の子に出会った。

 こんな出会いはもう、俺にはないと思う。

 だって今までなかったのだから。


 家に帰りお見合い相手の彼女に電話をした。

 そして女子高生の彼女の話をした。

 お見合い相手の彼女は笑いながら、マカロンを知らない人がいるんですねって言っていた。


 お見合い相手の彼女とは、次の約束はせずに電話を切った。

 俺は彼女とは、これを最後にしようと思ったからだ。


 やっぱり俺は、モンちゃんだけがいればそれでいい。

 モンちゃんの頭を撫でると、モンちゃんは俺の手を払いのけた。


 えっ、モンちゃん?

 モンちゃんは俺から離れるように、ゆっくりと俺の部屋を出ていった。

 モンちゃんは気まぐれだから仕方ない。



 彼女達と出会って何日か過ぎた頃、俺の携帯電話に着信があった。


「もしもし?」

「あの、私です」


 着信の相手は、お見合いをした彼女だった。


「はい。どうしました?」

「どうして次の約束をしてくれないんですか?」

「君みたいな綺麗な人は、俺なんかよりもっといい人がいますよ」

「それはあなたが思っていることでしょう? 私はそんなこと思いません。あなたと話をしていて、とても楽しいんです。もっとあなたと話をしたいんです」

「えっと」

「私、この前のお見合いをした場所で待っています」

「でも、俺は、、、」

「待ってます」


 彼女はそう言って電話を切った。

 行かないと決めても、彼女が待っていると思ったら、もう一度だけでも会って、彼女に俺の気持ちをちゃんと話した方がいいのかもしれない。


 お見合い相手の彼女のことを考えていると、また電話が鳴った。

 そんなに俺の電話が鳴ることはないのに。


「もしもし?」

「ねぇ、私だよ」

「うん。女子高生に見えない女子高生の子でしょう?」

「そう。大人の魅力がある女子高生だよ」

「大人の魅力はないよ。君は見た目だけ大人。中身はお子ちゃまだよ」

「もう。ゴホッ、ゴホッ」


 彼女は咳をしている。


「えっ、大丈夫?」

「うん。大丈夫だと思う」

「思うって何? 自分の体調のことも分からないの?」

「熱は少し高くて、喉も痛いけど大丈夫」

「大丈夫じゃないよ。ちゃんと寝てる?」

「ううん」

「何で?」

「あなたに会いたいから」

「えっ、何それ?」

「初めて会った場所にいるの」

「待ってて、今から行くから」

「えっ」

「待ってるんだよ」


 俺は電話を切ってすぐに家を出る。

 彼女が苦しそうにしている顔が頭の中に浮かぶ。


「何してんの?」


 俺は彼女をすぐに見つけて、後ろから声をかけた。


「本当に来たんだね」


 彼女は驚いている。


「帰るよ」

「でも、お姉ちゃんが待ってるよ?」

「えっ、お姉ちゃん?」


 俺は彼女が見ている方を見る。

 そこにはお見合い相手の彼女がいた。


「お姉ちゃんが帰らないなら、私も帰らないよ」

「それって俺に、お姉さんのところに行けって言ってるの?」

「うん」


 彼女は悲しそうにうなずいた。

 本当は行ってほしくないって顔に書いてある。


「分かったよ」


 俺はそう言って彼女の手を引いてお姉さんの所へ行く。


「えっ、待ってよ。何で私も?」

「君がいないと彼女に説明ができないから」

「えっ、そんなの私がいなくてもいいじゃない?」

「良くないよ。俺は君が好きだから」

「えっ」

「君は俺がお姉さんと二人で話すのも嫌でしょう?」

「うん」

「だから君の為に、君をお姉さんの所に連れていくんだよ」

「うん」


 彼女は大人しく俺についてきた。

 そしてお姉さんの前に彼女と立つ。


「えっ」


 案の定、お姉さんは驚いていた。


「俺は君の妹さんのことが好きです。ですのであなたとはお付き合いはできません」

「え?」

「本当にすみません」

「あの? 何か勘違いをしていませんか?」

「勘違い?」

「私はあなたのお友達になりたいんです」

「えっ」

「あなたは私の好きな小説の主人公にそっくりなんです」

「小説? 主人公?」

「私の好きな小説が最近、アニメ化してその主人公があなたにそっくりで、だからあなたとお友達になりたいと思ったんです」

「そっ、そうなんですね」


 俺はホッとした。

 すると手を繋いでいた彼女が俺に倒れてきた。


「えっ」

「ごめん。もう、無理」


 彼女はそう言って目を閉じた。

 彼女の熱は高くなっていた。

 彼女の体が熱い。


 俺達がいるこのお店はホテルの一階にある為、ホテルの一室を借りて、彼女を横抱きにして運んだ。

 お姉さんも彼女を心配していた。

 何度も彼女の汗を拭いていた。


「俺は帰ります」

「えっ、どうしてですか?」

「お姉さんがいれば彼女も安心ですので」

「この子はあなたがいないと安心できませんよ?」

「えっ」

「私が帰ります。後はお願いできますか?」

「俺が彼女の側にいてもいいんですか?」

「私はあなたを信じています」

「えっと、それはどういう意味でしょうか?」

「大人なら分かりますよね?」

「あっ、はい」

「それでは妹を宜しくお願いします」

「はい。お姉さんもお気をつけて」

「はい。失礼します」


 そしてお姉さんは帰っていった。

 あんなお姉さんがいる彼女が羨ましい。


「んっ、喉が乾いたよ」


 彼女が目を覚まして俺に言った。


「あっ、待って。机にあるから持ってくるよ」


 俺は彼女にペットボトルの水を渡した。

 彼女の水を飲む音が部屋に響く。


「あれ? お姉ちゃんは?」

「帰ったよ」

「そうなの? ここはどこ?」

「ホテルだよ」

「ホテル?」

「君を家へ帰せなかったから、このホテルに連れてきたんだよ」

「そうなんだ。ごめんね」

「いいよ。今は君と二人きりになれたからね」

「私も二人きりになれたからいいよ」

「何がいいんだよ?」

「大人の関係?」

「病人が何を言ってんだよ」


 俺は優しく彼女のおでこにデコピンをした。


「じゃあ治ったらいいよ」

「ダメ。君のお姉さんが俺を信じてくれているからね」

「お姉ちゃんは関係ないよ。私とあなたのことでしょう?」

「俺達、二人のことだから、俺は君を大切に扱うよ」

「手も繋がないの?」

「それはできるときはするけど、君が成人するまでは君を大人にしないから」

「大人にしない?」

「そう。君は成人するまで子供でいいんだよ」

「子供扱いは嫌よ」

「子供扱いはしないよ。恋人扱いをするよ。愛してるから」

「あっ、愛してる?」


 彼女は恥ずかしそうにしている。


「もう少し、寝た方がいいよ」

「でも、あなたともっと話をしたいのに」

「それはこれから、いつでもできるだろう?」

「そうね。おやすみなさい」

「うん。おやすみ」


 そして俺は彼女のおでこにキスをした。


「えっ、キスした。大切にするんじゃなかったの?」

「今のは海外でもよくする、おやすみの挨拶だよ」

「そうね」


 そして彼女は目を閉じた。

 可愛い彼女の寝顔を俺は眠くなるまで見ていた。


◇◇


「おはよう」


 朝、起きると彼女に見られていた。

 そんな彼女に挨拶をする。


「おはよう。何で起きたの? せっかくキスをしようとしたのに」

「だから昨日も言ったけど、君を大切にしたいから、君からもダメだよ」

「だってそんなのつまらないよ」

「仕方ないよ。君は未成年だからね」

「あなたは我慢できるの?」

「我慢するよ。俺達の為にね」

「じゃあ私も我慢するもん」


 彼女は頬を膨らませ拗ねたように言った。

 子供がしそうな仕草を見せる彼女は、俺の為にしているんだと思う。


 そんな彼女に萌えを感じながら俺は見ていた。

 逆効果なのは秘密にしておこう。

読んでいただき誠に、ありがとうございます。

ブックマーク登録や評価や感想など執筆の励みになっております。

次のお話は、主人公の彼が好きになったのは兄の恋人という物語。

兄より先に彼女に出会っていないから彼女を好きになっても、もう遅い。

諦めようとしていた彼が本当のことを知った時、二人の関係が変わります。

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