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異世界転移の英雄譚 ~悩み多き英雄さま~  作者: 北山 歩
白き鼓動 編
143/147

143話 電光朝露(3)

※当作品の登場人物名称(対象はフルネームの完全一致および酷似した名称)、貨幣の名称と特徴、特有の魔法名称と特徴、理力眼といった特有の能力スキルにおける名称と特徴、国家・大陸名称、魔力導線の構造及び魔石と魔力導線を使用した発明品・兵器の構造等の内容ならびにテキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。


 ロランは悠真・グレイチェスカに広域を破壊する魔法を使用させないため悠真の3m先に出現する。


 悠真・グレイチェスカもロランと剣技で交戦したいと考えており光属性魔法と闇属性魔法を聖剣に込めるとロランに切りかかった。


 「ロラン!我が聖剣クンルンの力を思い知れ!」


 ロランは雷鳴朱雀を鞘から抜き出し応戦する。


 ロランの雷鳴朱雀と悠真の聖剣クンルンが目に見えぬ速度でぶつかり合い、衝突の振動が大気を揺らす剣技の応酬となった。


 その頃上空ではルミールがシュバルツ・ドラゴンと激しい交戦を繰り広げていた。


 「審判の光翼!」


 ルミールは悪行の数に比例し細胞一つ一つに激痛を与えると共にあらゆる不浄を浄化する「審判の光翼」を発動し続ける。


 一方、シュバルツ・ドラゴンはルミールの攻撃により負傷するものも天竜の生命力で一瞬で負傷した細胞を修復させ、細胞と精神を腐敗させるブレスによる魔法攻撃を行い応戦する。


 「テンネブリスインペラートル(闇の皇帝)」

 

 ルミールはシュバルツ・ドラゴンからの攻撃をあらゆる攻撃を無効化する金色の「アブソリュートジャスティス(絶対正義)の大盾」で防いだ。

 

 ルミールは地上でケルベロスに乗り全く参戦しないアルジュに腹が立ち参戦を求める。


 「ちょっとアルジュ。私ばかりに戦いを押し付けて何をしているのですか」


 アルジュは全く興味なさげに返事をする。


 「私はダーリンの雄姿を見ているの。黒トカゲの相手はあなたに任せてあげる」


 アルジュの中傷が耳に入ったシュバルツ・ドラゴンは言ってはいけない発言をしてしまう。


 「どうやら貴様の仲間の穢れたエルフは、あのドラゴンの成り損ないの小僧に夢中のようだな」


 その言葉にルミールも激怒したがアルジュの怒りはルミールを遥かに超えていた。


 アルジュは転移を使用しルミールの前に出現するとシュバルツ・ドラゴンに罵声を浴びせる。


 「黒トカゲが何を偉そうに発言しているの」


 「あの子は私の推しなのよ。あの子への中傷は私が許さない」


 「黒トカゲちゃん。本当の闇を教えてあげる」


 アルジュは異界の言語で魔力を込めた歌を歌いシュバルツ・ドラゴンの動きを封じた。


  ""…限りない絶対暗黒物質(アンリミテッド・アブソリュートダークマター)…""


「まだ終わりじゃないわよ黒トカゲちゃん」


  ""…究極重力(アルティメット・グラビティ)…""


シュバルツ・ドラゴンは得体のしれない暗黒物質に体を拘束されながら味わったことのない重力によって圧迫され続けブレスどころか瞬き一つ出来ない状態にされる。


 「私は精神感応の魔法より重力を操作する魔法が得意なのよ。トカゲちゃん」


 「あの子は私の究極重力(アルティメット・グラビティ)を瞳でコピーしただけ」


 「あなたへの攻撃の仕上げはあの子がしてくれるわ」


 そういうとアルジュはシュバルツ・ドラゴンへの攻撃を止めてしまうのだった。


 地上でのロランと悠真の戦闘はいまだ続いていたが、時が経つにつれ悠真が劣勢になってきた。


 焦りを感じた悠真はこの状況を挽回するため、自身も損傷することを覚悟のうえで使用できる最強の魔法を発動した。


 「聖魔滅覇斬!」


 TNTに換算すると100キロトンの破壊力がある光と闇の属性を持つ魔法は本来ロランに向かって放たれるはずなのだが実際には上空に向かって放たれた。


 疑問に思う間もなく悠真は両腕から血を放ち雄たけびを上げながら両膝を地につけた。


 ロランは悠真が魔法を発動する前に両手首を雷鳴朱雀で切断し蹴り上げていたからであった。


 ロランは戦闘不可能となった悠真をその場に残すとシュバルツ・ドラゴンのもとへと飛翔する。


 ロランがシュバルツ・ドラゴンの前に飛翔してきた瞬間、アルジュは指を鳴らしシュバルツ・ドラゴンへの魔法を解いた。


 ロランはシュバルツ・ドラゴンがかなり疲弊していたが分かったが構わず全力で攻撃を加える。


 「ケラウノス!」


 数百の雷の槍がシュバルツ・ドラゴンを貫いた。


 ロランはイワン・ヴィン・プロストライン・ツー・オーディンに加護を与えルミール達を失いかけた張本人であり、悠真・グレイチェスカの人生を狂わせたシュバルツ・ドラゴンに激怒していた。


 シュバルツ・ドラゴンがブレス攻撃を行おうとした直前、ロランは奈落の鎖を顕現させ口を拘束することで攻撃を封じるのだった。


 「……アポリオンチェーン……」


 シュバルツ・ドラゴンは自分が一方的に攻撃されている、この現実を受け入れられずにいた。


 それもそのはずである、天竜同士の戦闘は力が拮抗し数ヶ月の戦闘となるため禁忌とされていたからであった。


 『我の動きをこうも容易く止める者がいるとは』


 ロランはアポリオンチェーンを左腕に巻き付けると雷鳴朱雀に真の力を解放するよう命じた。


 「異界の仙器たる雷鳴朱雀よ。我が命の欠片を吸い真の力を解放せよ」


 ロランの命の欠片を吸った雷鳴朱雀の刀身が赤く染まる。


 ロランはアポリオンチェーンを力任せに引き寄せシュバルツ・ドラゴンとの距離を詰めると渾身の一撃を加えた。


 「不可説斬(ふかせつざん)


 首の切断を間一髪で避けたシュバルツ・ドラゴンであったが右腕が切断された。


 天竜は人智を超える生命力からどんな損傷も回復できるのだがいつまで経っても回復しないことにシュバルツ・ドラゴンは始めての恐怖を感じた。


 「無駄だ。シュバルツ」


 「その傷は修復できない。同じ時空に天竜は2体もいらない」


 「この時空から立ち去れ」


 ロランはアポリオンチェーンによる拘束を解除しシュバルツ・ドラゴンを立ち去らせた。


 ロランは全ての決着がつき振り返るとアルジュは両腕を交差させながら身もだえし、ルミールは潤んだ自分を見つめていた姿を見てしまう。


 ロランは気を取り直しこの戦争の首謀者に責任を取らせるため、脳波通信を使用しバークスに指令を出した。


 「プロストライン帝国の首都テスタツァーリを含め、主要都市にある行政府と軍施設に対しロンギヌスを撃込め」


 数分後、プロストライン帝国の主要都市にある行政府と軍施設に対し音速の20倍を超える速度のミリニウム製の杭が撃込まれ半径1㎞の範囲を粉粉に粉砕した。


 ロランは千里眼(クレボヤンス)の能力で結果を確認すると脳波通信を使用し全軍に新秩序構築のための布石を打つのだった。


 「皆よく戦ってくれた」


 「戦時賠償として、この地より後方2,000㎞におけるプロストライン帝国の国土を我が領土とする」


 「そこに存在する都市と村は我らの財産であり領民である。適切に掌握せよ」


 儚く虚しい戦争は終結し、世界は矛盾を抱えながらそれでも続いていく。

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