表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移の英雄譚 ~悩み多き英雄さま~  作者: 北山 歩
白き鼓動 編
142/147

142話 電光朝露(2)

※当作品の登場人物名称(対象はフルネームの完全一致および酷似した名称)、貨幣の名称と特徴、特有の魔法名称と特徴、理力眼といった特有の能力スキルにおける名称と特徴、国家・大陸名称、魔力導線の構造及び魔石と魔力導線を使用した発明品・兵器の構造等の内容ならびにテキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。


 ロラン達は繋門(ケイモン)を使用し悠真・グレイチェスカに率いるプロストライン帝国軍20万の前方50㎞の位置に出現した。


 ロラン達が出現した数秒後、ロランの後方に全方位型転送システムにより転送されたアーク率いる5,000人規模のRedMace(レッドメイス)が出現し戦闘隊列を整え始める。


 アークは装甲部隊が効果的に砲弾を射出しながら進軍できるよう両翼に装甲が厚い200台から成る魔導戦車をV字型に縦に数十列、その後方に射程距離が70㎞ある自走魔導榴弾砲を50門、最後尾に魔導迫撃砲を操る重武装の白兵部隊員を乗せた魔導装甲車50台を配置する隊列とした。


 アーク自身は中央に位置する魔導指揮戦闘車に乗り、右翼の指揮を副官のパイロンに左翼の指揮を同じく副官であるオッペンヘルガーに任せ、最後尾の両翼合わせ100台からなる魔導装甲車の指揮は水陸両用部隊を指揮する副官のテノン・バトラーに任せた。


 時を同じくスティンはロランの上空10㎞の位置でKnight Raven(ナイトレイブンを、配下のグリーンアイズ達には汎用型Knight Raven(ナイトレイブンを操縦させホバリング飛行を行い待機している。


 20機体制のKnight Raven(ナイトレイブンの後方には天竜であるロランの眷属である数百体の生命を司るドラゴンが隊列を組み飛行していた。


 地上において最前列に位置するロランは雷鳴朱雀を地面に突き立てると(つか)(かしらに両手を置き審判の天使であるルミールに審判を求めた。


 「我、ロランは審判の天使に対し正義の審判を求める」


 「我は進軍するプロストライン帝国軍に何度警告を発すれば我が行う一切の行為が正義と認められるのか教示いただきたい」

 

 審判の天使であるルミール・ウェヌス・アスタルティーは右手に黄金の剣、左手に黄金の天秤を顕現させると白き翼を広げ眼が眩むほどの光を放ちながらロランの問いに答えた。


 「10回とする」


 「なお、必ず警告はビジョンとともに知らしめよ」


 審判の天使であるルミールから警告の回数を確認したロランは脳波通信を使用しスティオンに進軍するプロストライン軍の前方1㎞に空対地ミサイルを一斉射出するよう命じた。


 数秒後、空対地ミサイルの破壊力に驚愕したプロストライン帝国軍は歩みを停止する。


 ロランは、千里眼(クレボヤンス)の能力でプロストライン帝国軍が進軍を停止したことを確認すると白き大翼を広げ、声なき(ラウトロスシュテイン)を使用した。


 ""僕はロラン・デ・スタイナー・ツー・リンデフォース""


 ""僕は君達を消滅させたくはない。君達はこの世界で自由に幸せに生きる権利があるからだ""


 ""退却する者に攻撃はしない。だが一歩でも進軍する者には降伏は許さず塵となってもらう。そうなりたくない者は退却せよ""


ロランは通常であればシエルシエルヴォルトを使用しプロストライン帝国軍を退却させることが出来るのだが今回はそれが出来ない。


なぜなら、プロストライン帝国軍を率いる悠真・グレイチェスカの頭上には闇を司る天竜のシュバルツ・ドラゴンが同行し、プロストライン帝国軍に加護を与えシエルヴォルトを無効化してしまうからであった。


 ロランは声なき(ラウトロスシュテイン)によりプロストライン軍の兵士一人一人の脳にダイレクトに警告を響かせるとともに焦土と化し電光朝露といえる無情な光景を脳裏に何度も映し出した。


 ロランから送られる凄惨な光景を見続けた影響により、プロストライン軍は錯乱する者や失禁する者、嘔吐する者が続出し10回の警告までに5万人ほどの兵が我先にと退却した。


 続々と退却する兵の姿を見かねた勇者である悠真・グレイチェスカが激を飛ばす。


 「聞け!大儀は我らにあるのだ」


 「リンデンス帝国は言語は違えど元を辿ればプロストライン帝国の分家である。いわば同族なのだ」


 「我らは数百年に渡りリンデンス帝国に貸し与えていた領土を返してもらいにきただけなのだ」


 悠真・グレイチェスカの歴史的客観性の無い誇大妄想とプロストライン帝国は優秀な民族であるという選民主義を煽り立てる激に呼応しプロストライン帝国の兵士は再び闘志を沸き立たせロランの警告を破ってしまう。


 ロランはプロストライン帝国軍の進軍を見ると深い溜息を一息つくと脳波通信を使用し全軍に強烈な光から目を保護する遮光ゴーグルを着用するよう命じた。


 するとロランは審判の天使であるルミールに対し審判の実行を願い出た。


 「我は審判の天使に対し審判の実行を求める」


 ロランの願いを聞いたルミールは白き翼を広げ空中に飛び立つとプロストライン帝国軍に対し宣言を行のだった。


 「……我が名はルミール・ウェヌス・アスタルティー……」


 「……光の守護者にして審判の天使である者……」


 「……これより審判を下す……」


ルミールは宣言を言い終わると白き翼を極限まで輝かせ一帯を白き世界へと変化させた。

 悠真・グレイチェスカ以外のプロストライン兵は経験したことのない強烈な眩しい光により視神経が損傷し両目を失明してしまう。


 また、強烈な光を浴びたことで視神経以外の神経も損傷しプロストラインの兵士達は身動きが取れずにその場で立ち尽くした。


 ロランは停止した15万のプロストライン兵に対し1億度の火球であるレグルスを投げつけた。


 「レグルス(小さな王)!」


 レグルスの一撃で7万人が消滅したプロストライン軍に対し、さらにロランは脳波通信を使用し静止軌道上に存在する複数のマイクロ波衛星にアクセスすると高出力の指向性マイクロ波による攻撃を行う。


 悲鳴と叫び声が渦巻くなか指向性高出力マイクロ波の攻撃により5万人のプロストライン軍の兵士達が茹で上がる。


 大地と10万人を超える人々が溶け燃え盛るという凄惨な光景。


 負傷のみで済んだプロストライン軍の兵達は凄惨な光景を目のあたりにし精神が崩壊する。


 ロランの攻撃は止まらない。

 

 ロランは脳波通信を使用しスティオンにプロストライン帝国軍の後方2,000㎞の位置に残りの空対地ミサイルを全弾撃ち込み、その後Knight Ravenの操縦をAIである「エルガ」に任さ、戦闘態勢を整えたうえで戦線に参加するよう指示を出す。


 スティオンはロランからの命に従い全員にウイングスーツを着用させると配下のグリーンアイズ部隊200名とともにKnight Ravenから飛び出し時速300㎞で戦場へと降下した。


 残りの空対地ミサイルを打ち終えたKnight Raven20機が戦線を離脱すると上空では、ロランの眷属であるドラゴンとシュバルツ・ドラゴンの眷属であるドラゴンによる交戦が始まる。


 ロランの眷属であるドラゴン達は光属性魔法のブレス攻撃を行いシュバルツ・ドラゴンの眷属であるドラゴン達は闇属性魔法のブレス攻撃を行ったため、天空は光り輝く領域と漆黒の闇の領域に明確に分かれるという異常な光景が繰り広げられた。


 さらにロランはアークとスティオンに対し残存するプロストライン軍を掃討するよう指示を出す。


 アークは釈然としないものの副官であるパイロンとオッペンヘルガーに自走魔導榴弾砲を使用し残存するプロストライン軍を攻撃するよう指示を出した。


 一方スティオンは固有魔法である天宮開放ヒメールテンペルオッフェンを発動し数千の光の矢を放ち、配下のグリーンアイズ達はスティオンには遠く及ばないものの光の矢をプロストライン軍に対しあびせ続けた。


 ロランはこの戦闘に終止符をうつため、ルミールとアルジュに対し少しの間、上空のシュバルツ・ドラゴンと交戦するよう依頼する。


 ロランは2人を残し悠真と決着すべく繋門を使用し魔王とシュバルツ・ドラゴンの加護により勇者として相応しい力を得た悠真・グレイチェスカの3m先に出現し対峙するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ