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異世界転移の英雄譚 ~悩み多き英雄さま~  作者: 北山 歩
白き鼓動 編
138/147

138話 白き恐怖の始まり

※当作品の登場人物名称(対象はフルネームの完全一致および酷似した名称)、貨幣の名称と特徴、特有の魔法名称と特徴、理力眼といった特有の能力スキルにおける名称と特徴、国家・大陸名称、魔力導線の構造及び魔石と魔力導線を使用した発明品・兵器の構造等の内容ならびにテキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

 「おばあさん。大丈夫ですか」

 

 占いに納得のいかなかった客が腹いせに占い台を強く叩いたせいで老婆が椅子から転げ落ちたところに気の優しい少女が助け起こしに来た。

 

 老婆は少女に感謝するとともに不思議な言葉を贈った。

 

 「お嬢ちゃんはいい子だからとっておきの秘密を教えてあげるよ」

 

 「眩き光と漆黒の闇は対極にあるもののようだが同じもの」

 

 「どちらも私らにとっちゃ恐怖そのもの。決して心を許してはいけないよ」

 

 占師の老婆の言葉に少女が困惑していると母親が少女のもとにやって来て娘を連れてその場から立ち去った。


 老婆は呟く。


 「今度の眩き光はあまりにも眩しすぎる」

 


 黄金郷の世界から帰還したロランはリンデンス帝国の邸に地下に存在する【時空観測Labo】の最下層に位置するエリア9(ナイン)にて【光輝く女性】によって引き起されたエアストテラ世界の改変についてレイチェルとともに検証していた。


 最も危惧すべきカルキーズ達の存在は消滅したがシュマッド大陸は存在し、カルキーズ達の存在を埋めるように魔王率いる魔族達が大陸を支配していた。


 『まぁ、危機的状況は脱したということで良しとすべきだな。それよりも』


 ロランは観測者であるレイチェルから改変後の世界の詳細について説明を受けると足早に【時空観測Labo】から立ち去ろうとした。


 それもそのはずである。


 イワン雷帝との一戦で失ったルミール、バルトス、マルコ、フェネク、ディアナが肉体を保ち冥界に存在することを感知したからであった。


 レイチェルは足早に立ち去ろうとするロランを引き留める。


 「ロラン様。先ずは治癒能力、情報通信能力、偽装能力を高めてからです」


 レイチェルはロランが何を行おうとしているのか察したうえ、黄金郷の世界で失った無限の魔力と無限の命、戦闘天使達を召喚できる神の(バベル)が宿りし右目の能力を少しでも補うため、最新技術のナノマシンとバージョンアップした脳波通信インプラントをロランの体内に設置した。


 手術から3時間後、ロランは甘いチャイの香りで目覚める。


 「レイチェル。僕は冥界に忘れ物を取り戻しに行くよ」


 「その間、ジェルドとツュマとともに部隊をよりコンパクトに再編してほしい」


 レイチェルは寂しそうな微笑みを見せながら返事をした。


 ロランは脳波通信インプラントを使用し千里眼(クリアボヤンス)部隊を率いるアルゴス(Argos)の司令官であるオムに命令を下す。


 「オム。これより監視はメッサッリア共和国とトロイト連邦共和国及びシュマッド大陸に特化せよ」


 オムはロランからの通信よりこれまで感じた事のない氷結の空気を思わせる冷たさを感じたもののいつものように命に従った。


 繋門を使用し邸の中庭に移動したロランは強化された脳波通信インプラントを使用しマイクロ波衛星であるオミクロンにアクセスし高出力マイクロ波をプロストライン帝国の凍土地帯に照射し永久凍土を溶解させた。


 『僕の不在時に進軍されては困るのでね。』


 ロランは武装したクロスとアルジュが中庭に転移してくると目的を告げた。


 「クロス、アルジュ。これから冥界に僕の至宝を取り戻しに行くよ」


 「交渉がうまくいかなかった場合は宜しく頼むね」


 アルジュは神話の思わせる赤い甲冑を身に纏い赤黒い三叉の槍を肩に担ぎ、ケルベルスの頭を撫でながらロランにお願いをする。


 「ダーリン。この子も一緒に連れていっていいかしら」


 ロランは笑みを見せながら承認する。


 ロランはというとプラチナがかった光り輝くフォース・ドラゴンの翼とルミールの白き翼が混成した光り輝く白い翼にルミールを思わせる金色の甲冑を身に纏い、左手には雷鳴朱雀朱雀を持ち佇んでいた。


 一方、クロスは天使の翼に鎌と神話を思わせるブラックシルバーの甲冑を身に纏い満足げに笑った。


 『まるで眩き天使ですな今のロラン様は。』


 『さらに強烈に、激しく苛烈に、直視できぬほど燃え盛り大儀をもって光り輝いてくれるのであれば、それはそれで私が仕えるに相応しい御方となるのですから』


 ロランは黄金郷の世界から帰還してから魔力やカルマを失ったことで禍々しさはなく清らかな過ぎる存在となったが魂は大いに傷ついた。


 そして自己肯定が考えが一線を越えた。


 『僕が世界を救わなくても僕より大きな力を持った者がいとも簡単に世界を作り変え救ってしまう』

 

 『僕は無力で、僕のこれまでしてきたことは無意味であった』


 『だから今度は大切な者だけを守りきる。例え全てを破壊してでもだ』


 理力眼は一度見た能力は使用可能となる。


 ロランは右目の理力眼を使用し冥界の王の能力で冥界の門を出現させるとクロスとアルジュを引連れ、冥界へと向かうのであった。

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