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異世界転移の英雄譚 ~悩み多き英雄さま~  作者: 北山 歩
第3部 第3章 パンタレイ 編
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137話 フィンレー空軍基地攻略戦(5)

※当作品の登場人物名称(対象はフルネームの完全一致および酷似した名称)、貨幣の名称と特徴、特有の魔法名称と特徴、理力眼といった特有の能力スキルにおける名称と特徴、国家・大陸名称、魔力導線の構造及び魔石と魔力導線を使用した発明品・兵器の構造等の内容ならびにテキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

呆然と立ち尽くすロランにバークスから叱咤の脳波通信が入る。

 

 ""何をぼっとしているです。貴方ならアークとスティオンを蘇生できるはずです""

 

 ""しっかりしろ。アークとスティオンをKnight Ravenで回収する""

 

  ""その直後、エルガにハッキングさせた敵攻撃衛星からマッハ15でチタン合金製の杭を敵基地に射出させる""

 

 "" 我らは撤収する。この作戦は完全な失敗だ""

 

 ""聞いているのか。いいな""

 

  ロランはバルトス達を失った事を思い出し完全に自分を見失っていた。そんなロランに対し今度はファビアンから脳波通信が入った。

 

  ""ボス。どうしました""

 

  ""ボス。『赤い薬と青い薬』の奪取を優先するのか。アークとスティオンの蘇生を優先するのか""

 

  ""ボス。悩んだところで何も先に進まない。いつものようにわがままを貫けばいいんですよ""

 

  ロランはファビアンの言葉で我を取り戻した。

 

  ""『赤い薬と青い薬』の奪取は中止する。アークとスティオンを回収し蘇生させ帰ろう""

 

  ""『赤い薬と青い薬』が無くても何とかするさ、何とか""

 

  ロランの脳波通信を聞いたバークスとファビアンはいつものロランに戻った事を確信しアビオニクスのヘルメット内で苦笑いをする。

 

  ロランはラファーガに乗ると前方の地雷を冥界の王の能力で急成長させた植物により粉砕しながらアークとスティオンのもとへ鬼神の如く爆進する。

 

  『『はぁ、合図ぐらいはしてほしいものだ』』

 

  バークスとファビアンもラファーガに乗り後方からロランを援護する。

 

  カークス共和国兵の中でNBC対策が施された戦闘服を装備していたものは僅かであるためロラン達に対する反撃は皆無に近かった。

 

  基地の指令室ではマイロがタブレットを手に取り、愛する妻と我が子の画像を見つめ話しかけていた。

 

  「愛するコレット。エブリン。パパは約束を果たせそうにない」

 

  「コレット。エブリンを頼むよ。」

 

  マイロは一条の涙を流すと首にかけていたキーを起爆装置に挿入し、起爆コードを入力した後、キーを回した。

 

  数秒後。

 

  フィンレー空軍基地から天に向かって巨大な火柱が立ち上がり、衝撃波が基地を中心に同心円状に広がり後を追うように超高温の赤黒い熱風が広がった。

 

  それは一瞬で戦場の兵士達やアークとスティオンを飲み込み、ロラン、バークス、ファビアンをも飲み込むと全てを焼き尽くした。

 

  ロランだけがその業火の中、冥界の王の能力が自動で発動し植物がロランを守るように急成長し燃え尽きると別の植物が急成長することを刹那の時間で繰り返し、肉体も焼き焦げた皮膚や筋肉は瞬時に再生するを繰り返すことで生存を可能とした。

 

  超高温の熱風が過ぎ去った後も見渡す限りの大地は焼け焦げ灰燼と化した。

 

  ロランは正気を保つように脳波通信インプラントを使用し脳波通信でエルガに被害状況を報告するよう求めたが巨大な戦略級核兵器の使用により電磁パルスが発生し通信を遮断した。

 

  ロランは理力眼と千里眼を使用し周囲の被害状況を確認し膝から崩れ落ちた。

 

  フィンレー空軍基地を中心に半径50Kmの範囲は焦土と化し草木一つない無機質な光景を見たのだ。

 

  天にまで届いた火柱は多量の土煙を対流圏に上空に運び日光を遮り世界は闇となる。

 

  放射能を帯びた黒い雨が降り始め、地表を鎮火していく。

 

  ロランは一人立ち尽くす。

 

  ロランの中でまたも何かが壊れた。

 

  ロランは何を思ったか。額の理力眼に魔力と天竜としての霊力、冥界の王の力を集中し強制的に開眼させこの世界を消滅させようとする。

 

  ふいに天眼通の能力が発動しアーク、スティオン、バークス、ファビアンの輪廻転生を見た瞬間、ロランの前に光輝く女性が現れた。

 

  「やれやれ、凄惨な光景を目の当たりにし暴走するとはな」

 

  「私は御前に吸収された高次元体の一体であるが、私は御前や他の高次元体よりさらに高位の存在」

 

  「この姿も御前の脳が3次元的に再構成した姿に過ぎない」

 

  ロランは光輝く女性の話に全く興味を示すことが出来ずにいた。

 

  「はぁ。私はこの事実を書き換えることが出来る。ただし相応の対価を払ってもらうがの」

 

  ロランは光輝く女性のその言葉で瞳に生気が戻る。

 

  「しかしアーカーシャを使用すれば現実が予期せず変化してしまう」

 

  ロランの言葉に光輝く女性は呆れ果てながら答えた。

 

  「今。御前は理力眼を使用しこの世界を消滅させようとしていたのだぞ。現実の改変がそんなに気になることか」

 

  「安心しろ。私は使用するのはアーカーシャを使用しアカシックレコードを書き換えるものではない」

 

  「分かりやすく言うならアカシックレコードの一部でなくそのものを創造し交換するもの。改変の影響はごくわずかに出来るぞ」

 

  ロランはすがる思いで光輝く女性に懇願する。

 

  「僕は対価として何を支払えばいい」

 

  光輝く女性はニヤリと口元を緩ませながらロランに対価を伝える。

 

  「御前が提供できる全て」

 

  ロランは瞬時に快諾する。

 

  「先ずは私は御前に吸収されているため私を開放する。私も力を貸してやる理力眼に強く念じればいい」

 

  光輝く女性は次々と対価を要求していく。

 

  「理力眼と天竜の力は御前と切り離せぬか。では御前の無限の魔力と無限の命、冥界の王の力をもらい受けるぞ」

 

  「まだ足りぬ。黄金郷の世界を元に戻しアーク、スティオン、バークス、ファビアンを蘇らせ、カルキーズを消滅させるにはな」

 

  光輝く女性はさらに対価を要求した。

 

  「では天竜を示す金色と次期魔王たる真紅、創造と破壊を行う者を示す虹色の3つの瞳孔を持つ左目と天使を召喚できる神の門を宿す右目を頂こう」

 

  光輝く女性はロランから両目を奪ってもなお対価を要求した。

 

  「まだ足りぬ。御前が背負うカルマ全てをもらい受けよう」

 

  「それでもまだ足りぬ。」

 

  光輝く女性はロランから受け取ることが出来るものはないか見定めていると名案でも思い浮かんだようにさらに対価を要求した。

 

  「まだ、御前の未来の可能性があったぞ。では御前が将来、千雷理眼蓮華帝になる未来をもらい受けることにしよう」

 

  「まだ足りぬが、もはや御前からもらい受けるものはないようだ」

 

  そういうと光輝く女性はロランに近づき唇を奪うと望みを叶える約束をし姿を消した。

 

  「御前の望み全てを叶えよう。ルミール、バルトス、マルコ、フェネクも復活させる。冥界に行く力をもらい受けたからの…」

 

  ロランは強力な力を使用するときのみ顕現させていた額の理力眼を右目に移動させ、左目は天竜の霊力を集結させることで新たな左目を創造した。

 

  その直後、世界が歪みロランは気を失ってしまう。

 

  気が付くとロランはアーク、スティオン、バークス、ファビアンとともに無人島にいた。

 

  ロランだけが自分の瞳の変化から世界が改変されたことを知るのだった。

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