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異世界転移の英雄譚 ~悩み多き英雄さま~  作者: 北山 歩
第3部 第3章 パンタレイ 編
131/147

131話 11次元を飛び越えて巡り逢う乙女

※当作品の登場人物名称(対象はフルネームの完全一致および酷似した名称)、貨幣の名称と特徴、特有の魔法名称と特徴、理力眼といった特有の能力スキルにおける名称と特徴、国家・大陸名称、魔力導線の構造及び魔石と魔力導線を使用した発明品・兵器の構造等の内容ならびにテキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

「緑の瞳を持ちし小さき者よ…感謝する…」


 スティオンが千雷理眼蓮華帝(せんらいりがんれんげてい)より与えられた黒き光を放つウロボロスの円環をロランの額に置いた瞬間、その刹那の時の中でスティンはロランとの未来を見て自らの役目を悟った。


 普段は額に現れることがない『理力眼』。


 その理力眼をウロボロスの円環が取り囲み、半眼の理力眼は瞳を閉じると再び消え去った。


 時は10分ほど巻き戻されスティンはロランの元に駆けつける前の場所に立ち尽くしていた。


 ロランが持つ理力眼はレイチェルの時空観測Laboに設置された観測装置と同じく、時空の歪みや不連続性を感知するのだが千雷理眼蓮華帝が出現に伴う時空の歪みと10分間時間が巻き戻された事は感知することがなかった。


 その一時間後、ロランは脳波通信インプラントを使用し皆を集合させた。


 「この世界では魔法を思うように使用できないが煉気化神の鍛錬によって魔法に代わる能力とこの世界の言葉も身につけた…」


 「僕達には時間がない…上陸して『赤い薬と青い薬』を手に入れ帰還しよう…」


 その後、ロラン達はKnight Raven(ナイトレイブンの戦闘指揮所で光学迷彩機能を搭載したドローンにより情報収集を行っていたスティオンより上陸ポイントと『赤い薬と青い薬』が存在すると思われる軍事施設、作戦行動について検討を行った。


 「既に上陸する大陸で最大の国家であるカークスは静止軌道上の光学衛星とレーダー察衛星によって我々を捕捉しております…」


 「しかし彼らは私達が敵国の特殊部隊かレジスタンスなのか判断がつかず、どう処理すべきか迷っている…」


 「人類小型化政策に反旗を翻したこの世界のレジスタンスと共闘しその混乱に乗じて我らはラファーガとオーガスを使用し軍事施設より『赤い薬と青い薬』を奪取する…」


 ラファーガとはロランとワーグが設計しレイチェルが魔改造した戦闘用大型バイクであり、オーガスとは人工知能「ロンド」が搭載された多連装ロケット自走発射戦闘車である。


 「スティオン殿にしては、随分大雑把な作戦行動ではないですか…」


 バークスは左手の中指と人差し指をこめかみに触れながら不満げに口を挟む。


 「この世界の兵器はどのくらいの破壊力があり、軍人は我々のような異能が使用できるかが問題でしょう…それに高度な光学迷彩を施している我々を捕捉しているのですよ…

さすがに智将のスティオンさんでも用意周到とはいかないでしょう…」


 諜報機関SilentSpecter(サイレントスペクター)の副指令であるファビアンからすると陳腐な情報収集と分析しか出来ない指令達の論争などに全く興味がなく、如何にして偵察衛星から捕捉されずに攻撃を仕掛けることが出来るかに考えを巡らせていた。


 「心理戦を仕掛けようとしても今の状況下では無理。しかも我々は衛星に監視されている。」


 「であれば、先ずはこの世界のレジスタンスと接触するまでは堂々と進軍あるのみ…」

 アークの言葉に皆は渋々賛同する。


 ロランはアークの皆を纏め上げる能力を改めて心強く思うのであった。


 「さぁ、方針は固まった。Knight RavenにもAI「エルガ」が搭載されているから最高レベルの防御態勢を取らせ、この砂浜が砂金だらけの島に待機させておこう…」


 「では、明朝07:00(マルナナマルマル)時に出発だ…」


 明朝、ロラン・アーク・スティオン・バークス・ファビアンは戦闘服Ⅱ型スーツとフルフェイスの戦闘用ヘッドマウントディスプレイに身を包み大型戦闘用バイクであるラファーガに跨り大陸に向かい核融合エンジンを高鳴らす。


 するとロランは海に向かって左手を向けるとテレキネシスで海を割り、島から大陸までの道を作り出した。


 「『赤い薬と青い薬』を奪取し早期に帰還する…皆が待っているからね…」


 『『『『この御方はいつも我々の斜め上をいく…』』』』


 5人とオーガスは海底を疾風の如く走り抜け上陸し3時間ほど走り続けると好機が訪れた。

 

 ""…ロラン様…前方30㎞で3台のバイクが5台の戦闘車と10台の軽装甲車に追われています…""


バークスは煉気化神の鍛錬で新たに得た天耳通の能力で30㎞先の音から状況を映像化し脳波通信インプラントを介してロランに情報を伝えた。


 ロランは迷わずに皆に3台のバイクを保護するよう指示を出す。


 5台の戦闘車より砲撃を受けたがロラン達は難なく砲撃を交わす。


 バークスは天耳通の能力を使用し敵戦闘車との距離を正確に感知すると共に風速・風向・空気密度・湿度や気温などの情報をオーガスに与えマッハ10の超音速ミサイルで戦闘車を殲滅させた。


 ロランとアークはダイヤモンドの3倍の硬度を持つカーバイン製の黒刀を使用し、スティオンはパイロキネシスを使用し、ファビアンは携帯型地対地ミサイル「グリオン」を使用し軽装甲車を殲滅した。


 ロラン達に窮地を救われた3人のリーダーと思われる者がヘルメットを外すと5人は目を見張った。


 その姿は『アリーチェ・クロエ』そのものであったからであった。


 ロランは皆には黙っていたが冥界の王の力を使用し冥界にてルミールやバルトス、マルコ、フェネク達と会っており、その際フェネクより忠告された言葉を思い出していた。


 『真に恐るべきはアリーチェ・クロエ。あの魔女は全次元全時空に存在する者』


 『ロラン様。アリーチェ・クロエと別次元に存在するアリーチェ・クロエには決して心を許してはなりません…』


 巡り逢うべくして巡り逢う定めからは、ロランもまた逃れることは出来ずにいるのだった。

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