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異世界転移の英雄譚 ~悩み多き英雄さま~  作者: 北山 歩
第3部 第2章 繭の中の世界 編
112/147

112話 世界を侵食する機械仕掛けの兵装 (2)

※当作品の登場人物名称(対象はフルネームの完全一致および酷似した名称)、貨幣の名称と特徴、特有の魔法名称と特徴、理力眼といった特有の能力スキルにおける名称と特徴、国家・大陸名称、魔力導線の構造及び魔石と魔力導線を使用した発明品・兵器の構造等の内容ならびにテキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

 休憩後、ロランは天井に吊るしていた大型石英ガラススクリーンを下すと議題である魔法袋と医療セットを映し出し説明を始めた。


 「…右腕のブレスレットは、魔力を込めると自動的に内径が広がり外れる…」


 「…魔法袋はこのようにブレスレットの内側に折りたたんで収納してある…」


 ロランは、最低でも魔法袋には、携帯型魔導迫撃砲、バイパーT31拳銃、閃光弾、手榴弾、フルフェイス防毒マスク、酸素ボンベ、トマホーク(手斧)、ミスリル製の黒刀、スペアの戦闘服と下着に医療セットを収納するよう熱弁する。


 ただし、ロランは医療セットに関しては医薬品を開発したブリジットに敬意を払い説明を行わせた。


 「…ブリジット、医療セットと医薬品の説明をお願いする…」

 

 ブリジットは、自席で手元のボタン操作を行うと天井から吊るされている大型石英ガラススクリーンに、自分が用意した医療セットの映像を映し出し説明を始めた。


 「…"ブリジット・フォン・フランソワ"です。"医療Labo"の責任者をしております…」


 中央戦闘指揮所に歓声が沸き上がる。


 ブリジットは控えめな性格で解毒薬と治療薬を開発していたため、男性指揮官達の人気が高かったのだ。


 「…白い容器に入っているのが消毒液です…傷は消毒後、局部麻酔をしてから縫合してださい…」


 レイチェルの時とは違い中央戦闘指揮所の男性指揮官達は頷いたり、メモを取ったりして、熱心にブリジットの説明に聞き入った。


 「…皮膚が固く縫合できない方は消毒後、傷口をこの接着剤で止血してください…」


 「…ただし、接着剤での止血は応急処置なので直ぐに治癒魔法を受けてください…」


 ブリジットに呼応するように中央戦闘指揮所の男性指揮官達は一斉に返事をする。


 「「「「「…はぁい…」」」」」


 ロランは、アリーチェとアルジュ、レイチェルの顔が強張ってきたため、皆に静粛を求め、ブリジットに本題である医薬品の説明を促した。


 「…医薬品ですが、この透明なカプセルに入っているものが解毒剤です…」


 「…私の身体の血清を使用していますので、世界のほぼ8割の毒を解毒できます…」


 中央戦闘指揮所の男性指揮官達は、一斉にゴクリと喉を鳴らし唾を飲み込む。


 「…この赤色のカプセルに入っている薬は強心剤です……」


 「…この黄色のカプセルに入っている薬は解熱剤、こちらの青色が血圧降下剤です…」


と薬品に対する説明が20分ほど続いた。


 ブリジットの説明が終わるとロランは開発が完了し実践投入を決めた兵器の操作説明を始めた。


 「…既にRedMace(レッドメイス)には周知済みであるが"シャルウル"について説明していく…」


「…シャルウルは"風属性・水属性・火属性・土属性"の魔法使用者で遠距離攻撃が行えない者…」


 「…あるいは敵が魔導迫撃砲やバイパーT31拳銃の弾丸より素早く動ける場合に使用すること想定した遠距離・近距離攻撃兵器である…」

 

 シャルウルは、攻撃性向上と隊員の負傷リスク軽減、戦闘意識を鼓舞する事を目的に開発された。


 「…使用はガントレットそのもの、利き腕の手にはめる…」


 「…長距離攻撃を行う場合は、脳内で長距離攻撃をイメージすることで前腕部が銃砲身となり魔力を弾丸として撃ち出せる…」


 「…接近戦の場合は、脳内で接近戦をイメージすると"両刃の剣"となり攻撃できる…」


 ロランは遠距離・近距離に対応する兵器であるため実践で重宝されると思い力説するのだが、中央戦闘指揮所の指揮官達の反応は予想に反し薄かった。


 ロランは気を取り直すと空間上に"疾風戦車″の立体ホログラム映像を映し出し説明を始めた。


 「…疾風戦車(ゲイルチャリオット)の形状は、このように人が入れる大きさの凸レンズ形状となっている…」


 「…中央部は平らでキャタピラ構造になっているため、平地や山岳、砂漠でも使用可能だ…」


 「…操作は"魔道一輪車"と同じで、アクセルとブレーキレバー付きのハンドル操作にしている…」


 中央戦闘指揮所の指揮官達が怪訝な顔を見せたがロランは構わず説明を続ける。

 

 「…姿勢制御装置は、飛行昆虫型魔物の脳を使用しているためバランス性が高く、絶対に倒れることはない…」


 「…武器は、左右についたカーバインブレードと魔導駆動式機関銃だ…」


 ダイヤモンドの3倍の硬度を持つカーバインで製造されたブレードの切れ味は容易に想像でき、ジェノサイド兵器であることから指揮官達の表情は自然と険しくなる。


 ロランは、ブリーフィングの雰囲気が重苦しいものに変化していることを承知しつつ、行うべき議題に集中しレイチェルが高機能化した戦闘服とその欠点について説明を始めた。


 「…戦闘服I型は白兵戦用であり、運動性・耐久性・軽量さを優先したカーバイン繊維製のスーツである…」


 「…一方、戦闘服Ⅱ型は潜伏時使用を想定しており、ルディスの皮膚を培養しナノ結晶化した素材とのハイブリッドスーツであるため、このように周囲の景色に溶け込み一般的な能力では見ることができない…」


 「…さらに今回、戦闘服からの熱放射をゼロにする機能を加えたため、熱感知によって位置を特定されることはない…」


 ロランは戦闘服の高機能化さと改良点を説明したのち、欠点を述べることで戦闘服が万能では無いことを伝える。


 「…だが、探知魔法やツュマの一族のように嗅覚が人の1億倍の獣人が敵側にいると匂いで位置を特定されてしまうという欠点がある…」


 中央戦闘指揮所の指揮官達が、今後使用する戦闘服の欠点をどのように克服するか思案し始めたため、ロランは再び休憩をとるのだった。

・2020/06/20 誤字・脱字・文書修正

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