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異世界転移の英雄譚 ~悩み多き英雄さま~  作者: 北山 歩
第3部 第1章 神がダイスを振りすぎた世界 編
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107話 審判 (1)

※当作品の登場人物名称(対象はフルネームの完全一致および酷似した名称)、貨幣の名称と特徴、特有の魔法名称と特徴、理力眼といった特有の能力スキルにおける名称と特徴、国家・大陸名称、魔力導線の構造及び魔石と魔力導線を使用した発明品・兵器の構造等の内容ならびにテキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

 ロランは繋門(ケイモン)を使い、雷帝こと『イワン・ヴィン・プロストライン・ツー・オーディン』が座す【イディルラビエ王宮 月桂樹の間】に雷を伴い現れた。


 イワンはロランを見ると微かに口元を緩ませ、攻撃を放つのだった。


 「……インドラ……」


 ロランは雷帝が雷魔法を使用したことに一瞬躊躇するもすかざす反撃する。


 「……ケラウノス……」


インドラとケラウノスが激しく衝突し【月桂樹の間】は激しい光と高温に包まれ、雷帝の警護にあたっていた衛兵19名を一瞬で蒸発させた。


 「……余が雷魔法を使用したことに動揺しているようだが……」


 「……」


ロランが沈黙をしているため雷帝はさらに心理的動揺を誘い、あるシステムを作動させるための時間かせぎを行った。


 「……安心せい……インドラはあと2発しか放つことができない……」


と言うと雷帝は玉座に深く座り直し両手を顎の前で組むとロランに再び語りかけた。


 「……少し話をせぬかロランよ……」


ロランは雷帝の命を奪うことが目的では無かったため雷帝と話をすることにした。


 「……イワン雷帝…何故アークを総大将として進軍させたのだ……」


 「……ジェルドとアークが親子だと知ってるはず…それにジェルドは元プロストラインの猛将であり数々の功績があったにもかかわらず…」


ロランの問いに雷帝は顔色一つ変えず答えるのだった。


 「……アークを差し向ければ貴様が余の前に現れると思ったからである……」


 『そんな事のために5万の兵を動かしたというのか…』と思い雷帝という漢の器を図りかねていた。

 

 雷帝はロランの戸惑いなど気にせず話を続ける。

 

 「……貴様は余が待ち焦がれた人類と地球の生態系を【西暦2515年07月20日00:00:00】の状態に復元するスタイナー計画をその手で握りつぶしたな……」


 ロランは雷帝から想像だにしていない話をされ語気を強めて問いただす。


 「……何故、あなたがそのことを知っているのだ……」


すると雷帝は玉座の左アームレストに彫金されたドラゴンの瞳を押し眼前の空間に立体ホログラム映像を投影させた。


 「…貴様は一度この映像を神聖ティモール教国の地下遺跡で見ているはずだ…」


そこには白衣を着た11名の男女が映し出され、よく見るとそこには雷帝に似た研究者と思われる男がいた。


 「…察しの良い貴様なら理解したはずだ…」


 「…私はこの男の記憶を受け継いでいる…それどころか代々の皇帝の記憶も強制的に受け継いでいるのだ……」


 「…貴様がスタイナー計画を実行するか確認するため、数万年もの間、代々の皇帝が通常の人間では使用しないNIGHT HEAD(ナイトヘッド)の領域を使用し、苦痛に耐えながら記憶を継承し続けた結果がこのありさまか……」


 雷帝は怒りに身を震わせながら今度は右アームレストに彫金されたドラゴンの瞳を押し、″あれ″により生物化したスタイナーシステムである『理力眼』を暴走させることが出来るシステム名を叫んだ。


 「……バルバロッサ……」


 その瞬間、ロランの北西、北、北東の方角からオベリスクが出現し『理力眼』と共鳴する魔力を載せた特殊な振動数の音波が発生し『理力眼』を暴走させた。


 暴走した『理力眼』はロランの体内を循環する魔力と霊力を急激に吸い込み激しい乱れを生じさせたためロランは【竜現体】になることも出来ず、直ぐに体の自由を失うのだった。


 「……ロランよ、不思議であろう…」


 「…余が貴様を攻撃し致命的な損傷を与えているのに何故天竜達が助けに来ないのか……」


 ロランは正気を保つのに精一杯であり雷帝の問いである天竜達については考えてもいなかった。


 「…それはな…余が闇を司るシュバルツ・ドラゴンの加護を受ける存在だからである…」


天竜達は『暗黙の了解』で他の天竜が加護した者や国家には攻撃を加えないことになっていた。


そのため、初代プロストライン帝国皇帝とシュバルツ・ドラゴンとの間の約定により、シュバルツ・ドラゴンの加護を受ける雷帝とプロストライン帝国に対し天竜達は攻撃を加えることが出来ずにいた。


 ロランは反撃を試みるも指一本動かす事が出来ず、咄嗟に雷鳴朱雀(らいめいすざく)を顕現させる。


 仙人の姿で顕現した雷鳴朱雀は一瞬で状況を把握すると雷帝に対し攻撃力の高い雷魔法を仕掛けた。


 「……雷豪(らいごう)……」


雷帝は間髪入れず雷魔法を炸裂させた。


 「……インドラ……」


雷帝はインドラにより雷豪の威力を打ち消すと雷鳴朱雀に対し続けざまに攻撃を加えた。


 「……アウローラ……」


すると雷鳴朱雀の体は輝くオーロラで包まれ生体電流が極度に乱された事により動きを封じ込まれるのだった。


 「……天竜の加護とは凄いものだな…そう思わんか……」


雷帝はゆっくり玉座から立ち上げるとロランに向かい右手をかざし最終攻撃を仕掛けた。


  「……シュペルノヴァ(超新星)……」


雷帝はシュバルツ・ドラゴンの加護により大質量の恒星の爆発であるシュペルノヴァを発生させると可能な限り収束させロランの『理力眼』に向けて放出した。


 シュペルノヴァの直撃を『理力眼』に受けたロランは、直撃を受けた『理力眼』から体中の様々な方向に亀裂が伝搬していく。


 体中に複数の亀裂が伝搬していくロランの姿を見た雷鳴朱雀は我を忘れ叫ぶのだった。


 「……閻輝(えんき)様……」


 ロランの身に発生した窮地を感じ取ったマー二・エクス・ディアナは冥界からロランのもとに向かった。


 また、邸ではルミール・ウェヌス・アスタルティーが本来の姿である『審判の天使』の姿となり、バルトスは『大きな黒い翼を持つ狩人』の姿に、マルコは『大きな黒い翼を持つ狼』の姿に、フェネクは『燃え盛る翼を持ち真紅の甲冑を身に纏う戦士』の姿となり、今までロランに気兼ねし使用していなかった転移魔法を使いロランのもとへ向かう。


 転移魔法を使用する直前、バルトスはクロスとアルジュに対しテレパスを送る。


 ""……我らはこれより審判を行なう…クロス、アルジュ…ロラン様を任せたぞ……""


クロス、アルジュの瞳から一条の涙がこぼれ続けるのだった。

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