良心の呵責ぐらいあります、たぶん
「僕達が学園に入るまで、あと4年あるわけですが、まぁ貴族はある程度学んでから入って、一般教養の3年、派閥や人脈作りに勤しむわけですね。
まぁ、でも僕とディは、ぶっちゃけ王家嫌いなんで、センバが後見ついてくれてるし?
さっさと学園終わらせて領地に引っ込む所存です」
「ぬえっ?!天使さま達とのキラキラ学園生活は無しですか?!」
イチイ嬢がガーンという顔で私達を見ます。
「そうか、俺はそもそも重ならないのか。留年…」
「留年するようなヤツが、ディの側に居るなんて論外ですからね?何年居座るつもりですか?」
シラヌイ様の野望をサクっと打ち倒すお兄様。
「そもそも、なんで王家が嫌いなの?何かされた?」
夫人が心配そうに聞いてきます。
「ディが王家を嫌うからです」
「ブレないわね」
夫人が素面で答えます。
「ユーディリアちゃんは、なんで王家が嫌いなの?」
今度は私に、柔らかく尋ねてくる夫人。
「だって、側近って言って、優秀な人を回りに侍らせて、仕事を押し付けるのが王家の人ではないですか?
お兄様は優秀すぎるので、狙われるじゃないですか。
そしたら、日中、学園内で無駄に回りに侍らせられて時間を取られた挙げ句、仕事を押し付けられて、その後、帰ってからお家の仕事をしなくちゃいけなくなるじゃないですか。
王子殿下の側近になったなんて言ったら、家の便宜を図れ、コレもやれ、アレもやれって、余計家の仕事を押し付けてくる未来しか見えません。
生物学上の父も絡んでくるに違いありません。
学園でも家でも仕事漬けだなんて、ただでさえ少ない私とお兄様が一緒にいる時間が、全くなくなります。
そんなことになれば、お兄様が過労死に向かって全力疾走です。
そんな状況を招く厄介事しか運んでこない王家の人間なんて、嫌いです!!」
「言い切ったわね」ヒサギ様。
「言い切ったな」辺境伯様。
「僕との時間のため…」感動するお兄様。
「ユーディリアちゃんの言い分、あながち間違って無いから否定しづらいわぁ」
夫人は頬に手を当てため息混じりにつぶやきます。
「クズの製造元とクソ親父に関してなら、ディの見通しは100%正解です」
お兄様はキリッとした顔で答えます。
「エミリオくんの言う、クズの製造元って、なに?」
ヒサギ様が小声で夫人に尋ねてます。
「あんまりお口が悪いから、訂正しようかと思ったんだけど、あれ以上に的確な言葉が見つからないうちに、私も慣れちゃったのよね。忘れてたわ、そのままにしてたわ。
現エアトル侯爵家の御当主様で、あの子達の祖父ね。
つまり、何の仕事もせず愛人と遊んで暮らす父親を作り上げた元凶ってことね」
「ついでに、クソババァとクソ親父が結婚することになった原因もアレです」
キリッとした顔継続のお兄様が答えます。
「おおぅ…なんっていうか、言葉の選び方が辛辣なのに的確って、才能なのかしら?」
ヒサギ様が感心してます。
すると、いきなりイチイ嬢が立ち上がり
「つまり!!
私と天使さま達との〝キャッキャウフフ♡キラキラ学園生活〞を邪魔するのは、厄介事を運んで来るという王家の人間のせい、と言うことで良いですか?
私の未来のために、滅ぼして来ます!!」
いざ!!と言って走り出そうとするので、「待て!!」と、辺境伯様が慌てて捕獲します。
「キラキラ学園生活から、なんか、レベルアップしてませんでした?」
「ネーミングセンスがディより酷かった気がする。それ以上に、自分の欲望に忠実だったぞ、今」
私とお兄様で顔を見合せます。
「お嬢が王家をヤるなら、俺は現エアトル侯爵の担当で良いですか?」
素面でお兄様に尋ねるシラヌイ様。
「あ、まだダメ。
僕が15歳になって仮爵位を継いでからじゃないと、クソ親父が中継ぎ。
そうなると、15歳までの間にエアトル家が滅びそうだから、現侯爵はまだ必要。クソ親父よりマシ」
こちらも素面で答えるお兄様。
「ままならないものですね」
眉間にシワを寄せ腕を組み、真面目に答えるシラヌイ様。
「6歳の子が、まだって言った、まだって!!
ちょっと待って、息子が危険思想に寄ってきてるんだけど?!
ユーディリアちゃん、貴女がこの4人の良心よ?!全力で止めて!!?」
ヒサギ様が焦っています。
「あ、なんかこの3人が成長して徒党を組んだら、人類の最終兵器っぽいな?
うん、そしたら、嬢ちゃんが最後の良心だな」
辺境伯様がイチイ嬢を小脇に抱えて、恐ろしい事のたまいます。
ピコン〝ユーディリアに新しい称号・最終兵器の良心、が加わりました。
人類の滅亡は貴女にかかっています。くれぐれも命大事にしてください。
世界平和のために、鑑定師匠もお手伝いします〞
「え?」
鑑定師匠が好意的なのは嬉しいけど、いや、ちょっと待って!
なんか、トリガー増えた?!
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