無表情なアイツは情熱家
ヒサギ様とシラヌイ様が到着する時間になったので、庭のガゼボに向かいます。
「シラヌイに会うの久しぶりだー」
イチイ嬢が言います。
「護衛兼遊び相手だったんですよね?」
お兄様が尋ねます。
「ハイ。でも10歳になったら、貴族は王都の学園に通わなくちゃいけないとかで、長期休暇の時しか帰って来なくなりました。
その時は、一緒に魔の森に入ったり、薬草取り競争したり、全力で遊びます」
全力を出しても大丈夫なのが、パパとシラヌイぐらいなので、とイチイ嬢が付け足します。
「つまり、同世代では飛び抜けた身体能力ということですね?」
お兄様は辺境伯様に確認を取ります。
「そうだなぁ、同世代やちょっと上の世代でも、アイツに敵う奴はいないんじゃないか?
まぁ、センバの軍人ぐらいの実力は余裕であるな。
だから、厄介なのが王家なんだよなぁ。ちょうど第一王子の世代なんだよ。
1つ下だったか?
護衛に寄越せってしつこいんだよなぁ。本人はそんなのヤダって言ってるし。
王命出しそうな勢いだったから、本人が王子殿下に仕えたい、っていうのならいいけど、強制したところでセンバの忠誠は得られんよって言ってある。
王子や取り巻きから、本人は逃げ回ってるな」
ここでも王家が絡んでくるんですの?めんどくさいですわ。
ガゼボについたら、ちょうど、ヒサギ様達も到着したと連絡がきました。
「おお、良いタイミングだ。
ヒサギは数日ぶり、シラヌイは久しぶりだな!!
さっさと紹介しよう、イチイの婚約者、エミリオ君と、その妹のユーディリア嬢だ」
辺境伯様が紹介してくださったので
「初めまして、エミリオ・エアトルです」
「その妹のユーディリア・エアトルです」
「「よろしくお願いします」」
お兄様と息ピッタリのご挨拶です。
「いやーん、相変わらず、可愛い!!
エミリオくん、ユーディリアちゃん、今日はよろしくね!!
ほら、シラヌイ、貴方も挨拶なさい!!」
ご機嫌で返事をしてくれたヒサギ様。その声に合わせて顔を上げました。
そこに居たのは切れ長の瞳で黒目に黒髪、細身の少年でした。
どうしましょう。
一言でいうと、めっちゃ好みな顔です。
思わずガン見してしまいました。
そしたら、シラヌイ様の顔がポンと真っ赤になりました。
「ししししし、シラヌイ・センバと申します!!!」
そこから、いきなり私の前に来て跪くと、
「貴女を生涯お守りさせて下さい!!!」
そう言って、いきなり剣を捧げてきます。
「ど、ど、ど、どうしたらいいんでしょう、お兄様!!!」
「え、あ、うん」
そう言ってお兄様は大きく息を吸うと
「いきなり来たお前に妹はやらん!!」
はいぃ?!
「兄上殿で在らせられますか!
俺、いや私はシラヌイ・センバと申します!!
彼女に似合う男になります!!
妹さんを私に下さい!!!」
「似合う男に成ってから言え!!」
「かしこまりました!!修行してきます!!!」
「ちょっと待ったーーー!!!」
ゴンゴン
「オマエラ、何勝手に話進めてるんだ!!」
シラヌイ様とお兄様に、辺境伯様から物理的なげんこつが落ちました。
お二人は、頭を抱えて、その場にうずくまってしまいました。
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