無表情なアイツ
「ああぁ…、シラヌイな。
アイツが嬢ちゃんと合う、のか?」
辺境伯様が首をかしげて、ヒサギ様を見ます。
「まぁ、会ってみないことには、なんとも。
でも、シラヌイを気に入ってくれたら、ユーディリアちゃんは私の義理の娘よ!!」
ヒサギ様がガッツポーズをします。そして
「ユーディリアちゃんは、無表情な男でも大丈夫かしら?」
と、身を乗り出して尋ねてきます。
「え、えーっと…」
困惑する私に代わって
「この一週間の間にお会いする事は可能でしょうか?」
お兄様が真剣な顔で答えてくれました。
「もしかしたらディの未来の夫になるという不届きなヤカラはこの手」「落ち着け坊主!」
辺境伯様が止めます。
「シラヌイは、今、王都の学園に通ってるからな、週末、ここに来いと言えばくるだろう」
「じゃあ、私から知らせておくわね。
では、母親のワタクシが、僭越ながら息子のプロフィールをご紹介させて頂きましょう!!
シラヌイ・センバ、13歳!
ただいま王都の学園騎士科に所属中!今年修了予定、今後官吏科に転属させようと思ってるわ!
どう、エミリオくんのお眼鏡に叶うかしら!」
私じゃなくて、お兄様に聞くんですのね?
「13歳って、また年上ですね?性格は?」
「そう、私の愛の暴走?若気の至り?でも、後悔はしてないわ。愛する旦那様との子供だもの!!
えーっと、そこ語っちゃう?
いっくらでもしゃべるけど、知りたいのはそこじゃないわよね?」
「「はい」」
「清々しい位、私に興味ないわね!?
まぁ、親子になれば、いっくらでも語る時間はあるから、追々ね♪
シラヌイの性格は、バカ真面目で、一つに集中したいタイプね!
あの子は我が家の両親にとって初孫だったから、猫っ可愛がりされて、興味を示したものは全て与えられちゃったのよ。
そこで付け上がるんじゃなくて、困惑する子だったのよ。もう要らないって言っても買ってきちゃうもんだから。
気に入った物でずっと遊び続けたいのに、次から次と与えられて。
私もこの子には必要ない、って伝えても、両親からは遠慮しないの、とか言われちゃって止めないし。
3歳ぐらいの時かしら。
実家に2泊、預けて帰って来たら、無表情になっちゃってて。
何があったの?!って聞いても、部屋に足の踏み場もない程の、溢れるおもちゃを見るだけだし、
かまわれすぎて、この子の取った自衛手段じゃないかと思って。
5歳になって、下の子ができて、6歳になって末っ子ができて、うちの両親の興味が分散した頃には、表情筋が全く仕事しなくなってたわね。
旦那も、子供がこんなに無表情?って心配したんだけど、話せばわかるし、感情を理解してないわけでもない。
ムリに笑わせようともしないで、この子の個性ね、と思ってるわ!」
「なんで、イチイ嬢は彼を推したんでしょう?」
「さぁ?イチイに聞かないとわからないけど。
シラヌイが8歳の時にイチイが生まれて、その頃には、〝無愛想な僕には商会は務まりません。センバで軍に入ります〞って、センバで鍛え始めてたから、イチイの遊び相手兼護衛みたいに一緒にいたからから、イチイが何か通じる物があるんじゃないかしら?」
「ああ、そういえば、お守り様を見つけて来たのもシラヌイだった」
思い出した、と言って辺境伯様も語りだした。
「ある日、いきなり〝ちょっと出掛けてきますから、お嬢をお願いします〞と言って、俺にイチイを渡すといきなり駆けて行ってな、夕方帰って来たら〝今回のお守り様です。洗います〞って、真っ黒になった犬を連れてきてな、はぁ?!ってびっくりしたんだ。
お守り様はいつのまにか側にいる、って言われてたのに連れてきて、問答無用でごしごし洗って出てきたのが、衰弱したお守り様で、すぐにイチイがハイハイで側に行って一緒に寝たんだ。
そういえば、お守り様、あの大きさから、変わってないな」
「いろいろ、ツッコミ所満載なんですが。
まず、大前提として、センバ一族、イロイロ大丈夫なんですか?」
お兄様が真面目な顔して夫人に尋ねた。
苦笑いした夫人
「だから、しっかり者が選ばれるんじゃないかしら?」
「「イヤイヤイヤイヤ」」
お兄様と声が揃った。
しっかりした人ってだけじゃなくて、器の大きい人じゃないとムリじゃないかしら?
…私、センバの人を紹介されて、大丈夫かしら?
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