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当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!  作者: 犬丸 大福
溺愛に振り回される、振り回す

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スパルタ、なのにご褒美

私達は一旦家に帰ることにした。

お兄様がセバスやハジカミとお仕事の調整をしなければ、どれくらい家を空けても大丈夫か、わからなかったからだ。


そして、3日間で向こう1週間分のお仕事を、お兄様は怒涛の勢いで片付けたらしい。

「ディと一緒にアカシアと駄犬を触り放題…」

なんか違う、と思ったのは声に出さずに、私達は再び辺境伯様のお屋敷にやってきた。


「ねぇ、貴方達、6歳のはずよね?前倒しで一週間分の仕事…。旦那様?見習いましょうね!」

とは夫人の談だ。

私達は苦笑いするしかなかった。


そして、いざ、イチイ嬢とのご対面。


また鼻血を吹き出したら家の掃除が大変だと、庭のガゼボに案内された。

さぁ、三度目の正直なるか?


「ごきげんよう、センバ辺境伯ご令嬢。エミリオ・エアトルです」

「ユーディリア・エアトルです。今日こそはご令嬢とお話…」


…イチイ嬢、鼻血垂れてきましたわ。


私達は、揃って夫人の方を見ました。

夫人は、ため息ひとつつくと

「イチイ、鼻血出てきてるわ」と、ハンカチを渡します。

「でも、倒れてはいないわね。イチイ、ご挨拶しなさいな」


鼻血を拭きながら、コクコクとうなずいたイチイ嬢、

「せんじつから、いろいろごめいわくおかけしてましゅ、って噛んだぁ!!」


「大丈夫ですわ!最後まで頑張ってくださいまし!!」

私は両手で握り拳を作って、松岡○造スタイルで応援してみた。


「や、やさしぃぃー!!」

そう叫んだイチイ嬢、ハンカチを握りしめて、後ろに倒れてしまった。

事前準備万端、そこには、クッションが敷き詰められていた。


「私、口を出さない方が良かったんでしょうか?」

「いや、遅かれ早かれ、倒れてたんじゃない?ってか、このクッションの量、倒れる事、前提じゃん?」

「た、確かに…」

「一応、言葉は交わしたんだから、一歩前進じゃね?」

お兄様がそう言うと、夫人が


「イチイの目が覚めるのも早くなって来てる気がするのよ。

これだけクッション敷いたから、アカシアも連れて来たのよ。まぁ、しばらくアカシアと戯れましょうか」

そう言って、お屋敷の方を振り返ると辺境伯様がアカシアくんを抱っこして、足元にはワンちゃんもいて、てとてとこちらに向かって歩いて来る。

「「アカシアくんのほっぺ~♪」」

私とお兄様が揃って叫ぶと、ワンちゃんは〝ガーン〞という効果音がついたような顔して立ち止まった。


「あらあらお守り様、ユーディリアちゃんに呼ばれなくてショック受けてるわ。

今日のために使用人達から丁寧にブラッシングされて最高のもっふもふになったらしいわよ?

さぁ、その毛並みを披露するんでしょう?こっちいらっしゃい」

ウフフと笑いながら、夫人が立ち止まったワンちゃんを呼びます。


辺境伯様がアカシアくんを抱っこして座り、ワンちゃんも私の近く、伏せで待機です。

右手にお兄様、左手に私の指を掴んだアカシアくん。そのほっぺたをお兄様と一緒に左右からツンツンします。

楽しげにきゃっきゃと笑いながら腕を上下に振るアカシアくんを私とお兄様がうふふと見つめたら


「カメラ、カメラは無いのぉぉぉ!!」


突然叫び声がして、そちらを向くとイチイ嬢が


「天使と赤ちゃんと仔犬とか、ここは天国ぅぅ」


そう言って、また倒れました。


「確かに、目覚めるまでの時間、早くなってるかも?」

私が言うと

「でも倒れるよね?鼻血も出るね?ご令嬢が叫ぶだけで、会話には、なってないよね?」

「「確かに」」

お兄様の言葉に、辺境伯様と私は納得してしまいました。


「先は長そうね…」

夫人のつぶやきに全員が苦笑いしかできませんでした。

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