通りすがりのただのホネさ
深く、ふかぁく、ホネマントが潜って行きます。
「深いな?」
お兄様が呟くと
「3日も経ってるからな」
ホネマントが答えます。
「もう少し、魔力糸を強くした方がいい。少しづつ削れてるぞ」
とアドバイスまでくれます。
イメージイメージ。
ミサンガだっけ?あんな感じで糸を編んだら良いんじゃない?
切れたら願いが叶うって言われたけど、切れたこと無いのよね!
「うぉ?!なんか魔力糸、いきなり丈夫になった?!あ、でも、ボクにそこまで負担じゃないや」
おお、ミサンガ願いのパワー!模様とか作っちゃおうかしら?
こう《《《《 進め進めみたいな。
「ディ?なんか余計なこと考えてない?」
〝ピコン!エミリオの負担増加。集中してください〞
あ、はい。ごめんなさい。
「気配がある。多分、もうすぐ着くぞ。
なんかよくわからんピコンくん、魔力糸、外す準備しとけ。
これを要救助者に付け替えろ」
し、師匠をピコンくん、って!!
〝ブッブー!ピコンくんではありません。鑑定師匠です。訂正を求めます〞
師匠!お知らせサインのバリエーションが増えましたね!!
「師匠!ディの集中力途切れさせるようなこと、しない!!!」
あ、お兄様ごめんなさい。
〝ピコン!陳謝します〞
「オマエラ、真面目にやれよ!!」
ホネマントに怒られるって、心外ですわ。
それからわりとすぐに
「いたぞ!!!
おい!おい!自分が分かるか?!
思い出せ!お前は誰だ!!」
「ワ…タシ…ワタシ…わたしは…」
「お前、何で囚われた?何が不満だった?何が嫌だった?」
「ワタシ、わたしのふまん…?イヤなこと…?」
「そう、思い出せ!!
ココに溢れてる誰かの不満や妬みじゃない、これはお前の思いじゃない。
思い出せ!!何でここに堕ちてきた?」
「わたし、私は……そう、男に生まれたかった」
「は?なんで?」
「男なら、走り回っても、木に登っても、剣術を習っても何も言われない、
女だから、アザができたら、傷が残ったら。アレもダメ、コレもダメ。
女のクセに、男より強くなってどうする、野蛮だ、可愛くない。
そう、フロスティを見習え」
「それを言ったのは誰?」
「だれ?…そう、そう、殿下。
ちゃんとした女がそこに居るのに、お前は出来ないんだな?」
「うわー!素で人を傷つけるのは昔からか?!」
お兄様!全くもって同感ですわ!!!
「むかし、昔、そう、小さい頃。フロスティと一緒に勉強した頃」
「あの女もお前にそう言ったのか?」
「あの女?フーティは、ううん、違う。
フーティは、切り替えなさいよ、って。
外面を完璧にすれば、家で好きなことすれば良いじゃない、って。
そう、そう、フーティは言ったんだ。
〝貴女、そんなに動けるってすごいわね!!〞
褒めたんだ、私を。
〝女性を守る女性騎士が居てもいいと思うのよ、ってか、私が欲しいわ!!〞って」
「じゃぁ、なんでココまで堕ちた?」
「だって、フーティは、私がスゴく頑張ってるの、見てくれなくなったから。
一緒に訓練に参加してくれなくなったから」
「「そりゃあ、ムリだ」」
お兄様と声も揃うってもんです。
「むり?やっぱり、女だから…」
「違いますわ!!!逆ですわ!!
イーリー様の動きにフーティ様がついて行けるわけないじゃないですか!!
例えるなら、
食事のマナーを学びにきたら、ダンスレッスン始まったみたいなものですわ!!」
「「なんか違う!!」」
お兄様とホネマント、声を揃えなくても。
「ふ、ふふ、フフフ」
「笑えるじゃないか。楽しい事、あったろ?」
「うん、うん。
フーティ全然動けないんだ。そしたら言うんだ。
〝貴女が守ってくれるから、私は安心して動かないのよ!!〞
〝動けない、だろ?〞って言われたんだ。えっと…そう、ギーニーに。
そしたら〝動かないのよ!!〞って真っ赤な顔して言うんだ、フーティが。
一緒に笑ったんだ、そう、そう、ヨークも一緒に!
〝そうだね、動かなくて良いように頑張るよ!〞
そう!!私が言ったんだ!!」
「思い出してきたね。
じゃぁ、ココにいる必要ないじゃんか。
コレはお前の不満じゃない。
これをたどって行きな?お前の友達、みぃんな、待ってるよ!!」
「うん、うん!
キミも一緒に行かないかい?キミを紹介したいんだ!!」
ああ、なんて素直で素敵なイーリー様。
ホネマントの驚きの感情が流れてきましたわ。
「ボクはまだ、やることがあるからね。
もう大丈夫、ほら、あの光に向かって。もう1人で行けるさ」
「キミはだれだい?」
「ボクは…
ボクは、通りすがりの、ただのホネさ」
「ホネぇっっ???!!!」
そう叫んで、イーリー様は目が覚めました。
フー・ギー・ヨー ホネ????
リオリア・イチイ うん、ホネだね…
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