久しぶりの…
「どうかしました?」
夫人に声をかけられました。
「あ、いえ、ちょっと、3人で相談したいので、席を外します」
そう言ってお兄様は私とチィちゃんを連れて廊下に出ました。
「ディとイチイ、大声を出しちゃダメだよ。
俺が前にホネに瘴気に落とされたけど、自力で上がっただろう?
でも普通は無理なんだって。
で、ホネなら瘴気の中に入れるそうだ。
ただ、そこから引っ張りあげるにはイーリー様も自分で目指すための目印が必要らしい。
そこで、ディの浄化が光みたいに差し込めば良いんじゃないか、と言っている。
けど、ディの魔法制御がポンコツ過ぎて不安だと「ポンコツ…」ホネが言っているんだよ?
でもねディ、最近、魔力制御サボってたでしょう?イチイが全部粉砕するからいっか、とか思ってたでしょう?」
図星過ぎて、ぐぅの音も出ません。
「で、イチイの極振りされた幸運値を味方にしようって言ってる。
俺がイーリー様の手を握る。その手をディとイチイで覆って欲しい。
ディは、浄化を俺に流す。俺が魔力制御を補助する。
ホネは隠して、言い訳したい」
「こう言う時は嘘に真実を混ぜるんですのよね?
イーリー様が夢に囚われてるとか?
私が浄化を流して内側から浄化するけど、お兄様とチィちゃんの手助けが必要だと。
ええ、ええ、魔力制御がポンコツだって、皆さまご存知ですわ。
今さらですわ。イーリー様が救えるのなら、ポンコツの汚名を甘んじて受け入れますわ!」
「「ポンコツ?!」」
あ、最後声が大きかったですわ。
「ディが浄化ができる事を絶対に口外しないと約束してもらおう。
このメンバーなら、信用して良いだろう。
よし、言い訳は俺に任せて。
イーリー様を皆で助けよう」「「ハイ!」」
意を決して、部屋に戻ります。
「これから言うこと、起こる事を絶対に他人に、親兄弟にもしゃべらないと、お約束してくださいますか?」
お兄様が口火を切ります。
「どう言う事なの?」
夫人が尋ねます。
「私達なら、イーリアン様を救える可能性があります。
どうしますか?」
「「「しゃべらないと誓う!!」わ!!」」
フーティ様、ヨーク様、ギーニー様は即答です。
お兄様は、夫人を見ます。
「娘を救うためなら、ええそうよ、センバもいるのだもの。
ええ、ええ、私の事は不安でしょう。私は席を外しましょう。使用人も下がらせます。
だからお願い、娘を、頼みます…」
そう言って、夫人は部屋から出ていきました。
なんて素晴らしい判断力、決断力。
夫人が部屋から出た後、お兄様が私達の回りに風の結界まで張ります。
「今から言うことは、絶対に王家に知られたくありません。
いいですね?」
「「「もちろん!!」」ですわ!!」
「ディは浄化が使えます」
「「「ッ!!!」」まさかの2属性…」
「でも、魔力制御がポンコツです」
「「「ああーー……」」」
皆さま、残念なものを見る目、やめてくださいませ。
「イーリー様はどうも悪夢に囚われています。
イーリー様の内側からディが浄化をかけます。「「「ッ!!!」」」
俺が魔力制御を手伝います。「「「ふー」」」
それに、イチイの幸運値が味方につけば、イーリー様が目覚める可能性があります。
これは、俺やディやイチイが、イーリー様を、その魔力を、その人柄を知っているから、絶対に助けたいと思っているから、出来ることです。
誰彼構わず出来ることじゃありません。
もし、自分のクソ親父が同じ目に合ってても、絶対に助けない自信があります」
「クソ親父…」「絶対なのね…」「ナニその自信?」
ヨークさま、フーティ様、ギーニー様、微妙に気にする所違いますのね?
ってか、お兄様が魔力制御するって言ったら、あからさまに安心しませんでした?
「ディ?細かいことはこの際気にせず、魔力に集中しようね?」
あ、はい。
「では、イーリー様から離れてもらって。
ディ?俺にゆっくりゆっくり流すんだよ?
イチイは一番上から手を握って、祈ってて。
よし、深呼吸。じゃぁ、やってみようか」
〝ピコン!魔力干渉可能。対象エミリオ・イチイ。魔力制御補助します〞
ビクゥッ!!って、3人とも肩が揺れてしまったじゃありませんか!!
「し、師匠…」お兄様が囁きます。
チィちゃんの目がオロオロしてます。
「イチイ、俺を信じて。ディを受け入れて」「ハイ!!」
なぁんの疑いもなく笑顔で受け入れるチィちゃんが愛しいですわ。
〝ピコン!ホネマント、マント部分に魔力紐付け完了。細く細く繋げます。太いとホネマント浄化され消滅します〞
ウッソぉ!!師匠!!!なんて爆弾落とすんですの?!
ほらまた3人、肩がビクゥってなったじゃないですか!!
「おい!なんだ、これは?!」って、ホネマントの声も聞こえますわ!
〝ピコン!魔力紐付けにより一時的感覚共有。ホネマントの視覚不明。ホネマント声による随時報告強制〞
「ホネ!!さっさと行け!!」「お、おう」「ディ!集中して!魔力細くして!」
〝ピコン!エミリオの負担増。ユーディリア、魔力はイメージと教えたはずです〞
あ、ハイ。
イメージ。釣り糸ですね。
細く、でも強く。ホネマントという餌が深く沈んで行くのを邪魔しないのですわ。
ふー、っとお兄様息を吐くのが聞こえます。
お兄様にばかり負担をかけてごめんなさい。
さぁ、イーリー様を釣り上げますわ!!
リア 師匠ーーー!!
リオ さすが師匠!頼りになります!
イチイ ふむ!この声の主はリオリア様の師匠なんですね!よろしくお願いします!
〝ピコン!師匠は頑張る子供達を全力で応援します〞
ホネ …コイツらおかしくないか?!
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