確実にヘイトを貯める方法
「そもそも!」
フロスティ様が、お兄様に向き合います。
「5歳の時のお茶会以来、婚約者候補って、
何人か候補を集めて王子妃の教育をして適正を見る、って趣旨はわかりますわ。
でも、それを5年以上続ける意味は?!
それって、私達をキープし続けて、侍らせて、悦に浸ってるだけじゃ有りませんか!」
「そもそも、私は〝殿下と性格が合わないから、候補を降ろしてくれ〞って親からお願いして貰ったんだ。
私は淑女よりも騎士に、民を実際に守りたいと、直接ふれあえる場所にいたいのだと殿下にも言った事がある。
そしたら、
〝では私を守ってみよ、民を守るより、よっぽど難易度が高く己を高めるであろう?〞と、却下された」
ため息をつきながらイーリアン様が語ります。
「そんな事を言うのですもの、それを逆手にとって
〝では、ブライン家のオージーヌが一番良いでは有りませんか?ブライン家は護衛としても優秀ですもの〞
って言ったんですの。そしたら
〝うむ、彼女も候補のひとりに加えるのも良いな〞ですって!!
侍らせる人数を増やせ、って言ってるんじゃないんですのよ!!
キチンと1人に決めろ、って意味でしたのに、貴族的な言い回しをこれっぽっちも覚えない!
しかも、これ、そんなに裏のある言い方でもないでしょう?!
貴方の王子教育を徹底させてよ!!」
んもう!!とフロスティ様、相当貯まってますわ。
「そんな会話をして以来、オージーも一緒に居るようになったから、
私達はオージーも候補になったものだと思ってたのよ。
そしたら!この前、3人目の候補は保留とかいう発表があったじゃない?!
どういう事?!バカにしてるの?!
ハッ!!ごめんね、オージー、貴女の好きな人をけなしてるみたいになっちゃったわ。
王家のやり方が気に入らないだけよ?
…まぁ、ココがセンバ様のお屋敷内だから言えることだけど」
今さら不味いと思ったフロスティ様、センバのお屋敷ということを思い出して安心したようです。
「そして、ここにきて、殿下主催の茶会だろう?
いつもの4人はもちろん、
オージー、エアトル家の双子、そして、センバのご令嬢まで招待してる。
もう、何かやるぞ、って言ってるようなものだろう?」
ヤダヤダ、と言うイーリアン様。激しく同意ですわ。
「ですので、センバのお屋敷という、王都で一番安全じゃないかと思われる場所で、このメンバーを集めてくださった辺境伯夫人には感謝しかないんですのよ。
本当はギーニーも居たら良かったのだけど、他家主催の茶会にこの人も呼んで?なんて、厚かましい真似は致しませんとも、ええ!
さぁ、渦中のエアトルの双子が居ます。
私達は意思の疎通を計りましょう!
王家の思い通りになんて、なってやるもんですか!!」
フロスティ様のそういう性格、大好きですわ!!
フロスティ様達の希望は
婚約者候補に縛られたく無いこと。
オージーヌ様を婚約者にして欲しいこと。
爵位の問題は親がなんとかするのよね?と確定して欲しいこと。
候補から外れた場合の婚約者決めに口出ししないで欲しいこと。
「長年候補としてきた詫び、とか言って、王家に都合の良い縁談持って来そうで怖いんですわ!!」
うわー、やりそうですね、とお兄様が呟きます。
「なので、ぶっちゃけますけど、
候補から外れたら、私はギーニーを婚約者にすると、内々で決まってますの。
気心知れてますし、彼はキチンと周りも見れてますわ。
それで、さっき言った分家の優秀な人を補佐にするんです。
そこにユーディリア様がお嫁に来てくだされば、我が家は万々歳ですわ!!!
そうじゃなくて、ギーニーです、女公爵の伴侶です、教育が待ってるんですのよ!
早く始めたいんです、ギーニーも若干焦ってますわ!
だって、彼は1つ上です、官吏科に進むか、領地経営科に進むか、予習が待ってるんですのよ!」
「そうだ、側近って言ったって、彼は臣下に下るのが決まってるのに、必要なんですかね?」
お兄様が純粋に尋ねます。
「だから、我が家に婿入りじゃなければ、爵位を持たせて、兄君達の補佐として王城で働かせるのに側近が必要なんだろうな、と思っていたのよ!
なんか、今となっては、侍らせて悦に入るためだけな気がしてきたわ。
私達はアクセサリーじゃないのよ!
将来があるのよ!
ひとっつも考えてくれてないじゃない?!
中途半端にキープとかされてるから、将来設計が立てられないのよ!」
容赦なくこき下ろすフロスティ様。
ええ、思った以上に、王家ってば、傲慢じゃありません?
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