悪い貴族
そして放課後、歓談室へ向かいます。
セリ達が先に来ていましたわ。
「お呼びたてして申し訳ありません」
セリが真っ先に謝罪します。
「大丈夫、大丈夫。で、彼が?」
お兄様がにこやかに対応します。
「はい。
私の主人です。さ、きちんと挨拶してください」
「うん。知ってる!殿下と仲の悪いお昼ご飯無料にしてくれたエアトル侯爵家の双子さま!」
「ブファ!何この子!普通、思ってても言わないよ?!」
お兄様が大爆笑してます。
「私は挨拶しろ、と言ったのですが?おやつナシで良いんですね?」
セリ、威圧感が、っていうか、おやつの方が大事なの?
「イイエ!
エアトル侯爵御令息様、御令嬢様、お目もじ叶いまして光栄に存じます、
シュロスと申します、平民です!2年生です!」
「「やれば出来る?」感じですの?」
極端な変貌ぶりにお兄様と声が揃いましたわぁ。
「はぁ、初めからそうすれば良いものを。
コレは、餌付けに成功して、捕獲しました」
セリがため息混じりに言います。
「「はぁ???」」
「セリさん、頑張ったご褒美おやつは?」
「…後で、シめる。
コレがうるさいので、先にお茶の用意をしてもよろしいでしょうか?」
睨みながらセリが言うので、シュロスさん、ガクブルしながら席に着きますわ。
その後は、一心不乱におやつを食べています。
アレ?でも所作は割と身についてます?
「じゃ、セリ説明を」
「ハッ。
コレは、学園の目立たない所で花壇を作ってたんです。
ですが、そこで作ってるモノがあまりに物騒だったんで、声をかけました。
そしたら、食えるモノが成らないか試しているけど、自分がやるとこれしか育たない、などと、普通じゃない事を言い出したんで、学食のサンドイッチ弁当を提供して、お嬢様が昔、薬草を育てたいと言っていたのも思い出して、捕獲しました」
それだけ言うと、お茶とおやつを補充し始めるセリ。
無言です。
「うん、はしょりすぎじゃね?意味がわからん」
「お兄様、同意見ですが、セリにしたら頑張ってしゃべった方です。
こちらから質問しましょう。
シュロスさん?
おやつは持ち帰りも、なんなら、おかず的なものも用意するので、こちらの質問に答えてくれます?」
「喜んで!!!」
ばっと顔を上げてきちんと座り直すシュロスさん。
「じゃ、まず、キミは本当に平民?それともどこかで礼儀作法とか習った?」
「平民です!ただ、祖母の祖父が貴族だったそうです。礼儀作法とかは、祖母に習いました。祖母はもういません」
「どこの貴族かは聞いてる?」
「マンドル家です!」
「2年生って事は、マンドル家のギニタス様が居るよね?キミの事情とか知ってる?」
「知らないと思います!休み時間、マンドルご令息様には肉食令嬢が群がっていて、近づけません!学園以前にはお会いした事もありません!」
「では、花壇で育てていた、物騒なモノって、なんですの?」
「世間一般的には、毒草と言われています!」
「は?それしか育たないって、どういう事?!」
「自分はどうも先祖返り的要素があるらしく、前髪で隠してますが、片方だけ瞳が緑色でマンドル家の要素が出ました。でも、育つのが毒草だけで、祖母に、絶対に貴族に知られちゃいけないって隠せって言われました!」
「イヤイヤイヤ、俺らにしゃべってるじゃんか?!」
「お二人からは、嫌な気配がしません!自分を信じます!」
「飯奢ったせいだろ?!オマエ、食い物で釣られるの、絶対直せよ?!
マジで悪い貴族に連れてかれるぞ?!!!」
「ほら!平民を心配してくれるお貴族様なんて、そうそう居ません!
ご飯で釣って、本当に連れていくだけです!
昔、花屋のねぇちゃんが連れて行かれて、それっきり見なくなりました!
おばさんが、うちは、純粋にただの花屋なのにって、泣いて泣いて!!そんで!
気がついたら花屋が無くなってました…」
だんだんと肩を丸めてうつむいていくシュロスさん。
「おおぅ、実体験済みかよ…」
お兄様が額に手を当て天を仰ぎます。
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